ギターの基礎・知識

ギターで起こりやすい金属アレルギー、その対策

金属アレルギーとギター

ギターを趣味にしている人の中でも、金属アレルギーを持っている人というのは、意外と少なくないようです。

エレキギターでもアコースティックギターでも、様々なパーツで金属が使われており、場合によってはギターを諦めざるを得ないという方もいるかもしれません。この記事では、金属アレルギーでもギターを楽しむための対策を紹介したいと思います。

ギターに使われるアレルギーを起こしやすい金属

ギターの各パーツには、様々な金属が使われていますが、その中でも金属アレルギーを起こしやすい金属とそうでない金属とがあります。アレルギーを起こしやすいのは汗で溶けやすい金属です。酸性の汗が金属を溶かしてイオン化し、身体に入りこむことでアレルギー反応が起こってしまいます。

ニッケル

たくさんある金属の中でも、アレルギーを最も起こしやすいと言われているのがニッケルです。ニッケルは特に酸に弱いため溶け出しやすいことと、非常に多くの製品に使われていることがその理由です。

ギターの場合、ニッケル、銅、亜鉛でできた合金であるニッケルシルバーフレットエレキギター弦の巻線(メッキ)に使われており、ギターを演奏するなら触れることは避けられない金属と言えます。

クロム

クロムもアレルギーが出やすい金属とされており、エレキギターにおいてもペグブリッジネックプレートなど様々なパーツのメッキに使われています。

シルバーのパーツだとニッケルなのかクロームなのか判別が難しい場合もあるかもしれません。例えば、定番のロックピンであるシャーラー社製のロックピンでは、同じようなシルバーの色に見えて『クローム』と『ニッケル』のものがあります。パッと見だとわかりづらいかもしれませんが、クロームの方が光沢感が強くニッケルの方がやや黄色みがあります

シャーラー ストラップロックピン S-Locks クローム
↑がクローム
↓がニッケル
シャーラー ストラップロックピン S-Locks ニッケル

また、他にもアコースティックギターの弦に含まれる銅やスズ、フレットに含まれる亜鉛などもアレルギーを起こしやすい金属とされています。一方で金や銀といった金属はアレルギーを起こす可能性は低いと言われているようです。

金属アレルギーの対処法

金属アレルギーの対処法としてできる方法は大きく分けて2つ。一つはアレルギーの無い金属パーツに変更すること。もう一つは物理的に触れないように工夫することです。

フレットを交換する

ニッケルが含まれているニッケルシルバーフレットの場合、ステンレスフレットやブラス(真鍮)のフレットに交換、あるいはそういったギターに持ち替えることで対処できます。

ステンレスフレット

ステンレスフレットは耐久性の高さなど様々なメリットがあることから、近年ハイエンドギターを中心に採用されており、アレルギー対策と機能性の向上ができて一石二鳥とも言えます。

ステンレスフレット
ステンレスフレットとは ‐ 耐久性の高いステンレス製のフレットステンレスフレットとは 「ステンレスフレット」は、その名の通りステンレス製のフレットのこと。一般的なニッケルシルバーのフレットと比べて...

Evolutionフレット

他にも、Jescar社から発売されている「Evolutionフレット」という金色のフレットも、銅、錫、鉄、チタンから成る合金でニッケルが含まれていないので候補の一つとなります

金色のフレットということであればブラスという選択肢もあるが、こちらの方が硬度が高く、耐久性を考えればオススメ。

Evolutionフレット(Jescar EVO Gold) − ニッケルシルバーとステンレスの中間の硬さEvolutionフレットとは Evolution(エヴォリューション)フレットは、ドイツのJescar社から発売されているフレット。...

弦を交換する

ステンレス弦

一般的なエレキギターの弦にはニッケルが使われていますが、ニッケルを含まないステンレス弦に交換することで解決できます。ニッケルと比べて耐久性も高い。もちろんサウンド面での変化は否めませんが、こちらの方が好みという人も少なくありません

アーニーボールやダダリオ等、定番の弦メーカーからステンレス弦が発売されている。

ステンレス弦
ステンレス弦 − 錆びに強く耐久性の高い弦ステンレス弦とは 一般的なエレキギターの弦はニッケル素材でできているものがほとんどだが、ステンレス弦はその名の通りステンレス(クロムと...

コーティング弦

薄い皮膜によってコーティングされたコーティング弦を使うというのも一つの選択肢。価格は高めだが、長持ちするのでコスパ良し。ただし、コーティングは徐々に剥がれてしまうため、そのタイミングで交換が必要となります。

コーティング弦
コーティング弦とは ‐ 表面の特殊コーティングで長持ちする弦コーティング弦とは 表面に特殊なコーティングを施した弦のこと。手汗や空気中の水分などによって弦が錆びるのを防ぐことができ、通常の弦と比...

アコースティックギター弦

アコースティックギター用の弦の場合、巻線はカッパーや銅・錫が使われておりニッケルアレルギーには有効と言えます。ただし、ピックアップで音を拾いづらいため、サウンド面で難しいかもしれません。

金属に触れないようにする

本来は練習時の指の痛みを軽減するために使用する指サックや手袋等のアイテム。これらは金属アレルギー対策としても使うことができる。常に装着して演奏するのは、素手との感覚の違いもありますが、慣れればなんとかなるという声も。

E.D.GEAR EYS-1
ギター用指サック ‐ 練習時に指先を保護するアイテムギター用指サックとは ギター用指サックは、ギターやベースの練習の際に、左手の指先を保護するためのアイテム。指先が痛くて練習できない時や...

金属アレルギーをお持ちの方でも、工夫次第でギターを楽しむことはできます。ギターを弾くと手や皮膚に異変があるという場合、まずは病院で自分がどんな金属に対してアレルギーがあるのかを診断してもらい、その金属への対策をすると良いでしょう。

ABOUT ME
稲垣 健太(ケンタトニック)
ギター辞典コード辞典ボイトレ・音楽用語辞典の運営者。

音楽関係の仕事の経験、ギター製作の経験、音楽教室に通った実体験をもとに、音楽に役立つ情報を発信。

■音楽歴
中学2年生の時にギターを始める
高校1年生の時にドラムを始める
関西外国語大学外国語で軽音楽部に所属し、ボーカル、ギター、ベース、ドラムを演奏
39歳からボイトレに通い始める
42歳でギタークラフトを始める
└2023年4月にギタークラフトの専門学校・ESPギタークラフトアカデミー大阪校(GCA)に入学
└ギター製作やリペアの専門技術・専門知識を習得中
└ギター製作の経験をほぼ毎日日記で更新
ギタークラフト製作日記

■音楽関連の仕事歴
[2006〜2009年]
大手CD・レコード販売店でロック、ジャズの仕入・販売を担当。
[2011年〜]
フリーランスのWebライター・Webディレクターとして開業。
大手音楽教室からの委託でボイトレサイトの運営、ボイトレ記事の執筆・編集に携わる。

■音楽教室の通い歴
[1995〜2000年まで]
某大手ギター教室に通う
[1997〜2002年まで]
某大手ドラム教室に通う
[2020年〜現在]
某大手音楽教室のボイトレ・話し方コースに通い中
ESPギタークラフトアカデミーにて月3回プロギタリストによる演奏授業を受講

■愛機
Stilblu #036 / #039 /#099
g'7 special(g7-TLT Type 2S)
Nashguitars S-57
Tom Anderson(Drop Top Classic -Deep Tobacco Fade)
TMG Gatton Thinline
Fender Custom Shop 1956 Stratocaster NOS
Gibson USA Exclusive Model / Les Paul Standard 60s Honey Lemon Burst

所有ギター一覧

■製作したギター
ギタークラフトアカデミー第1作目:
ポリゴンライン
ギタークラフトアカデミー第2作目:
Stand-Alone
ギタークラフトアカデミー第3作目:
Thin-Marauder


■好きなバンド
U2、Sigur Ros、THE 1975、Mr.Children、the band apart、くるり、SIAM SHADE、VAN HALEN

■ブログ
運営者情報