トーンウッドとは
トーンウッドは、楽器製作に適した特徴を持った木材のこと。これといった定義は無いが、一般的にギターに使われている木材(メイプルやマホガニー、ローズウッド等)はどれも「トーンウッド」と呼んで間違いない。
針葉樹と広葉樹
楽器に木材を使う場合、その役割は大きく分けて二種類ある。一つは弦楽器における弦の振動を増幅させる役割。もう一つは木管楽器などのように空気の振動を響かせる役割。針葉樹と広葉樹、それぞれの構造によって、必要な木材の特徴も変わってくる。
エレキギターには広葉樹
ソリッドボディのエレキギターの場合、必要なのはいかに弦の振動を増幅させるかという点。これに適しているのは、比較的硬くしっかりした材質の木材で、広葉樹がそれに該当する。広葉樹は暖かい地域に自生する樹木で、「ブラジリアン〇〇」や「アフリカン〇〇」など南米やアフリカ原産の木材が多いのはそのため。
主な広葉樹のトーンウッド
アコースティック/クラシックギターには針葉樹
一方、アコースティックギターやクラシックギターの場合、ボディ内の空洞でいかに音を響かすことができるかが木材には求められる。これに適しているのは比較的柔らかく音の反響を作る木材で、針葉樹がその傾向にある。針葉樹は寒い地域に自生する樹木で、アコースティックギターのトップ材に見られる「スプルース」や「シダー」などがこれにあたる。
主な針葉樹のトーンウッド
その他の要素
ギターに用いられるトーンウッドは、音響や振動といったサウンドに直接関わる部分はもちろん、時にはそれ以外の要素が重要視されることもある。
- 木材の安定性
- 木の色、木目や杢目といったルックス
- 伝統
木材の安定性
楽器として長く使うためには、木材の安定性も重要になる。特にネック材などは反りや捻れが生じてしまうと、音にも狂いが生じてしまうので、安定性の高い木材が求められる。いかに音響特性が優れていても、長く使える安定性がなければトーンウッドとしては不適格ということになってしまう。
木の色、木目や杢目といったルックス
ギターを選ぶにあたって、サウンドだけでなくルックスを重要視する人も少なくないはず。木材の持つ個性は、ギターのルックス面においても大きな違いをもたらす要素となる。木の色や、木目や杢目といった違いは、どの材をチョイスするかの大きなポイントとなる。
伝統
様々な要素を置いて、「伝統」を重要視する人も少なくない。ヴィンテージギターの価値が高騰したり、そこに使われていた木材が高騰するのも、「伝統」に対するこだわりが一つの要素となっているかもしれない。