今回はボディバインディングをします。
通常のバインディングに加え、6層のカスタムセルを巻きます。
↓前回作業
レスポールのカッタウェイ部分は、他の箇所よりもバインディング溝が高いです。
選択肢としては以下の2つになるのですが、今回は②の方法でやります。
①埋め木をしてバインディングの高さを底上げする。
→バインディングの幅が均等になる
②溝の高さに合わせてバインディングを貼る
→カッタウェイ部分だけバインディングが幅が大きくなる
こちらはレスポール・スタンダードで、①の方法でバインディングが巻かれています。
見えにくいですが、矢印の部分に埋め木がしてあるので、カッタウェイ部分のバインディングも他の部分と高さが同じです。
こちらはレスポール・カスタムで、②の方法でバインディングが巻かれています。
①とは違って埋め木をせずにバインディングを巻いているので、赤枠の箇所だけバインディングの幅が大きくなっています。
外セルは幅15mmのバインディング材を使えば十分に高さは確保できます。
しかし、内側のカスタムセルは高さが足りないので、以下のようにバインディング材を貼って高さを底上げします。
バインディングを2枚貼り合わせていて、かつカッタウェイの曲線に合わせて形を作っています。
今回は先生が作ってくれました。
まずは内側のカスタムセルから貼っていきます。
カスタムセルはアセトンで溶かしてボディに貼り付けます。
下記のように刷毛にアセトンを付け、カスタムセルの下側と上側に塗っていきます。
カスタムセルは複層になっているので、セル同士の間に流し込むように塗るのがポイント。
注意点として、アセトンはすぐ乾きますが、塗った直後はカスタムセルが溶けて柔らかくなっているので、力を入れて押さえてしまうと形が崩れてしまいます。
かといって押さえないと密着が甘くなってしまうので、アセトンを塗った直後にごくごく軽く押さえながら貼り付けるのがポイントです。
下記のように曲線がきついホーン部分はアセトンだけだと剥がれてしまう可能性があるので、瞬間接着剤も流し込んでしっかり貼り付けます。
ドロっとした木工用瞬間接着剤だとカスタムセルとボディの間に流し込みにくいので、金属用瞬間接着剤のようなサラッとしたタイプを使います。
次は外セルを貼っていきます。
外セルの幅は何種類かあるのですが、今回は幅15mm・厚み2mmのものを使います。
ただ、幅15mmだとボディに対して高くなりすぎるので、あらかじめ余分な部分を切っておくために、外周に沿って罫書きをしておきます。
ミシンノコで粗加工します。
上面は後で整えるので粗くてもOKです。
外セルはカスタムセルとは貼る手順が異なります。
①ドライヤーの温風で温めてバインディングを曲げ、ボディの外周に合う形にしていく
→マスキングテープで仮止めする
②マスキングテープを剥がし、バインディングにセルボンを流し込みながら貼り付けていく
→マスキングテープで固定する
まずは①の手順のバインディング材をボディの外周に合う形にしていく作業です。
これも手順がありまして、外周の部位によってドライヤーで温める箇所と温めなくてもよい箇所があるので、部位ごとに解説します。
最初にカッタウェイ部分から形を作っていきます。
ここは十分にドライヤーで温めて曲げておかないと浮いてしまいます。
特にホーンの先の部分は曲線がきついので、しっかり温めで形を作らないといけません。
先生いわく、ホーンの先の部分は1度ドライヤーで温めて形を作ってしまうと、後で形を修正するのが難しいそうです。
なので、ドライヤーの温風で熱々にして曲がる状態にしてから、一気に曲げてホーンの形に沿わせます。
今回は先生にやってもらいましたが、かなり思いっきりバインディングを曲げながらホーンの形に沿わせていました。
バインディングを外周の形に合わせて曲げたら、マスキングテープで仮止めしていきます。
ウエストの部分もドライヤーで温めて、バインディングを外周の形に合わせます。
ここは先にマスキングテープで仮止めして、その上からドライヤーの温風をあてて曲げればOKです。
エンド部分は曲線が緩やかなので、ドライヤーで温めなくてもよいです。
マスキングテープで仮止めするだけOK。
仮止めが終わった状態です。
いったん仮止めしたら、すぐにマスキングテープを外してもOKです。
ただし、カッタウェイやウエスト部分のバインディングがちゃんと外周の形に沿っていなかったら、再度温めて曲げておく必要があります。
バインディングにセルボンで貼り付ける前に、マホガニーバックにマスキングテープを貼っておきます。
セルボンがマホガニーの導管に入ってしまうと、ウッドフィラーを塗る時に導管に入っていかないので、保護するために貼ります。
マホガニーが0.1mmくらい出るくらいの位置でマスキングを貼っていきます。
保護のためのマスキングが貼れたら、バインディングにセルボンを塗って貼り付けていきます。
セルボンは乾くのが早いので、固定用のマスキングテープを切って準備をしておきます。
セルボンを塗ったら、何回か軽く密着して離すを繰り返し、バインディングの下側までセルボンを行き渡らせます。
マスキングテープで固定する際に、ボディの内側に力がかかるとバインディングが傾いてしまわないように注意。
しっかり密着させつつ、内側に偏らない程度の力で固定していきます。