ギター用語

リバースヘッドとは ‐ 通常とは逆側にペグが配置されているギターヘッド

リバースヘッドのギター
リバースヘッドのギター 画像: Jimi Hendrix Stratocaster

リバースヘッドとは

リバースヘッドは、通常とは逆側にペグが配置されているヘッドストック(略称:ヘッド)を指す。「Reverse(リバース)」は、「逆」「反対」という意味。

ストラトキャスターやテレキャスターなどのフェンダータイプのギターのヘッドは、6弦側に6つのペグが配置されている。そうした一般的なタイプのヘッドに対し、ペグの配置側をリバース(逆)にしたヘッドを、リバースヘッドと呼ぶ。

リバースヘッドの特徴

リバースヘッドは、6弦側にペグが配置されている一般的なフェンダータイプのヘッドと逆に配置することで、弦のテンション(張力)が変わると言われている。

ギターのリバースヘッドと通常ヘッドの比較画像リバースヘッド(上)/通常ヘッド(下)

上記の画像を見比べてみると、6弦側に配置されているタイプは、ナットから6弦のペグまでが短く、1弦側が長い。リバースヘッドはその逆で、ナットから6弦のペグまでが長く、1弦側が短い。

一般的に弦が長いとテンションが高く(強く)なり、弦が短いとテンションが低く(弱く)なる。スケール(弦長)やヘッドの角度、弦の太さや種類によってもテンションが変わるため一概には言えないが、一般的なフェンダータイプのヘッドと比較すると、弦のテンションバランスが変わる可能性がある。

見た目に関しては好みが分かれる。一般的なフェンダータイプのヘッドを採用しているギターが多いため、リバースヘッドに違和感を覚える人も少なくない。

リバースヘッドはペグを回す位置が逆になるので、6弦側にペグがあると思ってヘッドに手を伸ばしたら空振りしてしまった、なんてこともあるだろう。ペグを回す向きも逆になるので、最初は回しにくいと感じるかもかもしれない。

リバースヘッドのギター

いくつかリバースヘッドのギターを紹介。

Gibson Firebird

ギブソンが1963年に発表したファイヤーバードは、当初からリバースヘッドを採用していた。1965年にモデルチェンジをした際に、一時的にリバースヘッドから通常のヘッドに変更しており、その時期のヘッドは「ノン・リバース」と呼ばれる。ノン・リバースは1965〜1969年頃まで製造され、その後、またリバースヘッドに戻った。

ちなみに、ファイヤーバードのベース版と言うべきサンダーバードは、リバースヘッドではない。

Gibson Firebird

発売当初のファイヤーバードは、ヘッドの裏側から回すタイプのペグを採用しており、「バンジョーペグ」と呼ばれている。こちらはGibson Custom Shopが再現した1965年製のファイヤーバードのヘッド。

Gibson Custom Shop 1965 Firebird V Stopbar VOS Limited Run Ebony

Washburn N4

Washburnと言えば、Extremeのギタリスト、ヌーノ・ベッテンコートのシグネイチャーモデル「N4」が有名。リバースヘッドの代名詞とも言えるギター。ヌーノ・ベッテンコートは「N4」以外でもリバースヘッドのギターを使用している。

WASHBURN / 1993 N4 ALDER

Jimi Hendrix シグネイチャー

ジミヘンのシグネイチャーモデル。こちらは右利き用のストラトで、リバースヘッドになっている。

ただし、本物のジミ・ヘンドリックスのギターはリバースヘッドに見えるが、右利き用のギターを逆さまにして弾いているので(弦の配置も逆)、正確にはリバースヘッドではない。右利きの人がジミヘンと同じようにギターを逆さまにした状態で弾けるように、左利き用のギターの弦の配置を逆にしたギターもある。

Magneto Eric Galesシグネイチャー

アメリカのブルースギタリスト、エリック・ゲイルズのMagnetoシグネイチャーモデルの左利き用モデルは、リバースヘッドになっている。エリック・ゲイルズは左利きで、ジミヘンと同じように右利き用のギターを左に持って演奏する。

ただし、エリック・ゲイルズの場合、右利き用のギターを弦の配置はそのままにして左向きにして弾くため、上側が1弦、下側が6弦の状態になる。つまり弦が上下逆の状態で弾く。通常とは弦の配置が逆さまになるが、エリック・ゲイルズはその状態でコード弾きや速弾きもする異才ギタリスト。

こちらがエリック・ゲイルズのシグネイチャーモデル。下記の動画のヘッドをよく見ると、ロゴが正面になっているのでリバースヘッドであることがわかる。それ以外は右利き用の配置のままで、弦もコントロールノブもアームも逆向き。

Psychederhythm Gibfendrix

国産ギターメーカー・Psychederhythm(サイケデリズム)のオリジナルモデル・Gibfendrix(ギブフェンドリックス)。フライングVのボディシェイプにリバースヘッドという珍しい組み合わせ。

Gibfendrix
Gibfendrix(ギブフェンドリクス)/ PsychederhythmGibfendrix(ギブフェンドリクス)とは Gibfendrixは、Psychederhythm(サイケデリズム)のオリジナルギタ...

SCHECTER PS-PT-RH

アメリカのギターメーカー・SCHECTERのテレキャス。リバースヘッドのテレキャスは珍しい。

ABOUT ME
稲垣 健太(ケンタトニック)
ギター辞典コード辞典ボイトレ・音楽用語辞典の運営者。

音楽関係の仕事の経験、ギター製作の経験、音楽教室に通った実体験をもとに、音楽に役立つ情報を発信。

■音楽歴
中学2年生の時にギターを始める
高校1年生の時にドラムを始める
関西外国語大学外国語で軽音楽部に所属し、ボーカル、ギター、ベース、ドラムを演奏
39歳からボイトレに通い始める
42歳でギタークラフトを始める
└2023年4月にギタークラフトの専門学校・ESPギタークラフトアカデミー大阪校(GCA)に入学
└ギター製作やリペアの専門技術・専門知識を習得中
└ギター製作の経験をほぼ毎日日記で更新
ギタークラフト製作日記

■音楽関連の仕事歴
[2006〜2009年]
大手CD・レコード販売店でロック、ジャズの仕入・販売を担当。
[2011年〜]
フリーランスのWebライター・Webディレクターとして開業。
大手音楽教室からの委託でボイトレサイトの運営、ボイトレ記事の執筆・編集に携わる。

■音楽教室の通い歴
[1995〜2000年まで]
某大手ギター教室に通う
[1997〜2002年まで]
某大手ドラム教室に通う
[2020年〜現在]
某大手音楽教室のボイトレ・話し方コースに通い中
ESPギタークラフトアカデミーにて月3回プロギタリストによる演奏授業を受講

■愛機
Stilblu #036 / #039 /#099
g'7 special(g7-TLT Type 2S)
Nashguitars S-57
Tom Anderson(Drop Top Classic -Deep Tobacco Fade)
TMG Gatton Thinline
Fender Custom Shop 1956 Stratocaster NOS
Gibson USA Exclusive Model / Les Paul Standard 60s Honey Lemon Burst

所有ギター一覧

■製作したギター
ギタークラフトアカデミー第1作目:
ポリゴンライン
ギタークラフトアカデミー第2作目:
Stand-Alone
ギタークラフトアカデミー第3作目:
Thin-Marauder


■好きなバンド
U2、Sigur Ros、THE 1975、Mr.Children、the band apart、くるり、SIAM SHADE、VAN HALEN

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