セミアコースティックギター/セミアコとは
「セミアコースティックギター」略して「セミアコ」は、ボディ内部のセンターブロックを中心に左右に空洞を持ち、表面にfホールと呼ばれる穴が開けられたタイプのギターのこと。セミアコースティックギターという名前だが、ややアコースティックギター寄りのエレキギターという意味。
セミアコの特徴
- 中心にあるセンターブロック
- 空洞によるボディの共鳴
- ダブルカッタウェイの製品が多い
中心にあるセンターブロック
”セミ”アコースティックと呼ばれるだけあって、セミアコはソリッドギターとフルアコースティックギターの中間の構造をしている。ソリッドギターが空洞を持たない木材の塊でできたボディで、フルアコースティックギターはボディ全体に大きな空洞がある。そしてその中間であるセミアコは、ボディ中央部分のネックジョイント部からエンドピン部分まで「センターブロック」と呼ばれる木材が入っており、その左右に空洞が設けられている。
ちなみにこれはES-335の内部。
このように真ん中に木材が入っています!
コレがセンターブロックと呼ばれるものです。Les Paulのトップ材としても使われるメイプルですね!
セミアコはこの構造のためフルアコより輪郭がはっきりとした音になります! pic.twitter.com/s85rvIJr1Z— クロサワ楽器 G-CLUB TOKYO 【メインアカウント】 (@GCLUB_TOKYO) May 30, 2018
初めて誕生したセミアコースティックギターは、1958年のGibson『ES-335』。それまでのフルアコが持っていた大音量だとハウリングを起こすという弱点を克服し、かつ長いサステインを得るため、当時Gibsonの社長だったテッド・マッカーティによって「セミアコ構造」が生み出された。
ギブソン・メンフィス工場の動画、製作途中のセンターブロックの様子も見られる。
空洞によるボディの共鳴
ボディ内部に空洞があることによって、弦の響きが空洞内で共鳴し、アコースティックらしい暖かみのある響きを得ることができる。また、アタック音やピッキングの強弱によるニュアンスがソリッドギターとは違ってくる。
センターブロックと空洞があることによって、ソリッドとフルアコの良いところを合わせたのがセミアコのサウンド。ブルースやジャズはもちろん、ロックなど幅広いジャンルに使えるギター。
ダブルカッタウェイの製品が多い
フルアコとの比較としては、セミアコはダブルカッタウェイを採用したモデルが多く発売されている。フルアコは内部が完全な空洞であるため、強度の確保のためにシングルカッタウェイが多いが、セミアコはセンターブロックがあることで強度の心配は少なく、ダブルカッタウェイを採用しやすくなっており、ハイポジションが弾きやすい形状となっている。
代表的なセミアコ
Fender Starcaster
1976年にフェンダーが発売した初めてのセミアコースティックギターが『Fender Starcaster(スターキャスター)』。当時ギブソンの独占状態だったセミアコ市場に参入すべく開発されたが、売れ行きは芳しくなく、1982年には製造が終了。2013年にFender The Modern Playerシリーズで復刻されている。
2019年にはSquierからも発売された。
Epiphone Riviera(リビエラ)
「Riviera」は、1960年代初頭に登場したEpiphoneのオリジナルモデル。ロベン・フォードや、オーティス・ラッシュなども愛用していた。
Seventy Seven ALBATROSS
ディバイザーのブランドSeventy Sevenの『ALBATROSS(アルバトロス)』。セミアコの中でも小さめのボディが特徴で、一旦ボディ全体をくり抜いてからセンターブロックを配置するという、オリジナル構造となっている。
トップに杢の出たフィギュアド材を使ったものも多く、豪華なルックスが目を引く。