「押弦」とは
押弦とは、弦楽器において弦を指で押さえることを指す言葉。押弦はギター、ベース、ウクレレ、ヴァイオリン、チェロ、マンドリン、三味線、三線といった弦楽器の奏法の解説に用いられることが多い。楽器の種類は違えど、「押弦」=「弦を押さえる」と解釈して問題ない。
「押弦」の読み方
読み方は「おうげん」が一般的だが、「おしげん」と読む人もいる。
「押印」を「おういん」と読むように、「押」を音読みで「おう」と読み、「押弦(おうげん)」と読む場合が多い。
「押」を訓読みで「おす」「おし」と読む場合は、「押し紙(おしがみ)」「押し花(おしばな)」「押し寿司(おしずし)」のように、送り仮名を用いる熟語が多いことからも、「おうげん」と読むほうが自然と考えられる。「押し●●」は名詞形として使うのに対し、「押弦」は「弦を押さえる」という動詞的な意味で用いる。
ただし、押弦は辞書に載っていないケースが多く、正しい読み方は不明。音楽用語としては広く用いられる言葉だが、一般的な熟語としての認知度は低いのかもしれない。
押弦の対義語とも言える「開放弦(かいほうげん)」=「押さえていない状態の弦を」「弦を押さずに演奏すること」は、解説しているウェブの辞書はいくつか見られる。
開放弦の定義やレギュラーチューニングの関係は以下の記事で解説。
東京事変のベーシストでプロデューサーの亀田誠治氏は、「押弦」を「おうげん」と読むとのこと。
弦を押さえるイメージが出来れば問題ないと思います。僕は「おうげん」と読みます。打弦や擦弦楽器などの例を鑑みでも、音読みが適切かと…RT @kashiwa_ito: 「押弦」の読み方なのですが、やはり「おうげん」と読むのが常なのでしょうか?「おしげん」もチラホラ聞くます・・
— 亀田誠治 Seiji Kameda (@seiji_kameda) January 26, 2012
1本の指で複数本を押弦する「セーハ」
「セーハ」は押弦の一種で、複数の弦を一本の指で同時に押さえる奏法。「バレー」とも言う。主にバレーコードで用いられる。人差し指で1フレットの1〜6弦を押弦する「Fメジャー」が代表的なセーハを用いたコード。
↓セーハについて詳しくは別記事で解説。
https://guitar-concierge.jp/guitar-terms/ceja/
「押弦」と「ミュート」の違い
弦を押さえず、弦に軽く触れて音を弱める奏法を「ミュート(mute)」と呼ぶ。音を弱めるために楽器に取り付ける「弱音器」を「ミュート」と呼ぶ場合もある。
「ミュート」は「消音する」という意味でも使われるが、その場合は奏法と区別する必要がある。「消音」の意味で使う場合は、ギターやアンプのボリュームを0にし、音が全く出ない状態にすることを指す。
奏法としての押弦とミュートは、以下が異なる。
- 押弦:弦を押さえた状態
- ミュート:弦に軽く触れて音を弱めた状態
「指板図」と「押弦」
ギターのコードの押さえ方を示したものを指板図と呼ぶ。指板図の表記方法に決まりはないが、押弦する位置を丸などで示すのが一般的。
たとえば、当サイトで作成しているギターコード辞典の指板図は、以下のように押弦位置を丸で示し、かつ、どの指で押弦するかを表記している。
- 「人」=「人差し指」で押弦
- 「中」=「中指」で押弦
- 「薬」=「薬指」で押弦
- 「小」=「小指」で押弦
例:C7(Cセブン)コードの指板図
↓ギタリストなら知っておきたい基礎知識