コンパウンドラディアスとは?
「コンパウンドラディアス(コンパウンドラジアス)」は、ナット側からブリッジ側に向かって徐々にR(表面のカーブ)が緩やかになっていく形状の指板のこと。「円錐指板」とも呼ばれる。
指板の「R」は英語で「半径」を意味する「ラディアス(radius)」の頭文字であり、コンパウンド(compound)は「混ぜ合わせる」を意味する。つまり「コンパウンドラディアス」は、異なる半径を混合した形状の指板であることを意味している。
指板のRのについて
伝統的なギターの指板は「円筒指板」と呼ばれるもので、そのRはナット側からブリッジ側まで一定となっている。
指板のカーブは「184R」や「305R」など数字で示され、この数字が大きくなるにつれてカーブはゆるやかになり、より平坦な形状に近くなる。このカーブの形状によって、弾き心地にも差が出てくる。
数字が小さい(Rがきつい)方がスライド奏法やカッティングには向いていると言われている。弦高を下げすぎると、チョーキングの際に音詰まりが生じてしまう。
Fenderのビンテージギターは184R(7.25インチ)が採用されている。
【皆で考えたドリームギターを作る】質問No.27用
指板のR(アール)について
①7.25インチ 184R
昔ながらのフェンダー系ギターに採用されている指板R。握り込みやすいが弦高の下げ幅には制限がある。弦高によってはチョーキング時に音詰まりしやすい。#ドリームギタークラフト pic.twitter.com/avDzxZEFze— ESP学園(東京)ギタークラフト科 (@esp_guitarcraft) September 21, 2017
数字が大きい(Rがゆるい)方が弦高を下げることができ、テクニカルな奏法に向いている。
Gibsonの伝統的な指板は305R(12インチ)。
【皆で考えたドリームギターを作る】質問No.27用
指板のR(アール)について
③12インチ 305R
ギブソン系ギターに多い指板R。フェンダー系の指板比べると緩やかなカーブ。どちらが弾きやすいかは好みによりますが握り心地は全く異なります。#ドリームギタークラフト pic.twitter.com/FGOOtagnhq— ESP学園(東京)ギタークラフト科 (@esp_guitarcraft) September 21, 2017
コンパウンドラディアス指板のメリット
コンパウンドラディアス指板は、小さい数字のRから大きい数字のRへ、つまりきついカーブから緩やかなカーブへと変化していく指板である。
ローポジションでのコードワーク時にはR値が小さく良好なグリップ感が得られ、ハイポジションでのチョーキング時にはR値が大きく、音づまりを解消できる。双方の良いとこ取りをしたプレイアビリティの高い仕様となる。
指板のR加工。184〜254Rのコンパウンドラディアスにしました。ローフレット側は握りこみやすさ重視にします。ただ、チョーキングの音詰まり防止のためハイフレット側はやや平らに。 pic.twitter.com/Qc5cnbX6zL
— Trafzck@ギターサービス (@trafzck) September 28, 2017
コンパウンドラディアス採用メーカー
ジャクソンやシャーベルでは昔からこのコンパウンドラディアスを採用していた。ジャクソンがFenderの傘下になった影響からか、Fenderでも近年は採用されている。また、Gibsonでは2012年から、レスポールスタンダードにコンパウンドラディアスを採用している。
他にもSuhrや、国内ではフジゲン、Infinite等がコンパウンドラディアス指板を標準仕様としているなど、近年その人気は高まっている。