ギタークラフト

【5作目】ボディバインディングの接着(外セル+カスタムセル):ギタークラフト学校日誌(243)

ギターボディに貼り付けたバインディングをドライヤーで温めて曲げているところ

今回はボディバインディングをします。
通常のバインディングに加え、6層のカスタムセルを巻きます。

↓前回作業

ギターボディの上面をエコノミーサンダーで粗加工
【5作目】セットネック中子のネックジョイントの整形:ギタークラフト学校日誌(241)前回はボディのアーチトップの粗加工をしました。 今回はネックをボディの中子の形に合うように整形します。 ↓前回作業 htt...

レスポールのカッタウェイ部分は、他の箇所よりもバインディング溝が高いです。
選択肢としては以下の2つになるのですが、今回は②の方法でやります。

①埋め木をしてバインディングの高さを底上げする。
→バインディングの幅が均等になる
②溝の高さに合わせてバインディングを貼る
→カッタウェイ部分だけバインディングが幅が大きくなる

こちらはレスポール・スタンダードで、①の方法でバインディングが巻かれています。
見えにくいですが、矢印の部分に埋め木がしてあるので、カッタウェイ部分のバインディングも他の部分と高さが同じです。
レスポール・スタンダードのカッタウェイ部分

こちらはレスポール・カスタムで、②の方法でバインディングが巻かれています。
①とは違って埋め木をせずにバインディングを巻いているので、赤枠の箇所だけバインディングの幅が大きくなっています。
レスポール・カスタムのカッタウェイ部分

外セルは幅15mmのバインディング材を使えば十分に高さは確保できます。
しかし、内側のカスタムセルは高さが足りないので、以下のようにバインディング材を貼って高さを底上げします。
バインディングを2枚貼り合わせていて、かつカッタウェイの曲線に合わせて形を作っています。
今回は先生が作ってくれました。
ギターボディのカッタウェイ部分にバインディングを貼ったところ

まずは内側のカスタムセルから貼っていきます。
カスタムセルはアセトンで溶かしてボディに貼り付けます。
下記のように刷毛にアセトンを付け、カスタムセルの下側と上側に塗っていきます。
カスタムセルは複層になっているので、セル同士の間に流し込むように塗るのがポイント。
ギターボディにカスタムセルを貼っているところ

注意点として、アセトンはすぐ乾きますが、塗った直後はカスタムセルが溶けて柔らかくなっているので、力を入れて押さえてしまうと形が崩れてしまいます。
かといって押さえないと密着が甘くなってしまうので、アセトンを塗った直後にごくごく軽く押さえながら貼り付けるのがポイントです。
ギターボディに貼ったカスタムセルを指で押さえて密着させているところ

下記のように曲線がきついホーン部分はアセトンだけだと剥がれてしまう可能性があるので、瞬間接着剤も流し込んでしっかり貼り付けます。
ギターボディのホーン部分に貼ったカスタムセル

ドロっとした木工用瞬間接着剤だとカスタムセルとボディの間に流し込みにくいので、金属用瞬間接着剤のようなサラッとしたタイプを使います。
ギターボディのホーン部分に貼ったカスタムセルと瞬間接着剤

カスタムセルを貼り終わりました。
カスタムセルを貼り終わったギターボディ

カスタムセルを貼り終わったギターボディ

次は外セルを貼っていきます。
外セルの幅は何種類かあるのですが、今回は幅15mm・厚み2mmのものを使います。
ただ、幅15mmだとボディに対して高くなりすぎるので、あらかじめ余分な部分を切っておくために、外周に沿って罫書きをしておきます。
ギターボディにバインディング材を合わせて外周の形を罫書きしているところ

外周に沿ってぐるっと罫書きをしました。
ギターボディに巻くバインディング材

ミシンノコで粗加工します。
上面は後で整えるので粗くてもOKです。
ギターボディに巻くバインディング材をミシンノコで粗加工しているところ

外セルはカスタムセルとは貼る手順が異なります。
①ドライヤーの温風で温めてバインディングを曲げ、ボディの外周に合う形にしていく
→マスキングテープで仮止めする
②マスキングテープを剥がし、バインディングにセルボンを流し込みながら貼り付けていく
→マスキングテープで固定する

まずは①の手順のバインディング材をボディの外周に合う形にしていく作業です。
これも手順がありまして、外周の部位によってドライヤーで温める箇所と温めなくてもよい箇所があるので、部位ごとに解説します。

最初にカッタウェイ部分から形を作っていきます。
ここは十分にドライヤーで温めて曲げておかないと浮いてしまいます。
特にホーンの先の部分は曲線がきついので、しっかり温めで形を作らないといけません。
先生いわく、ホーンの先の部分は1度ドライヤーで温めて形を作ってしまうと、後で形を修正するのが難しいそうです。
なので、ドライヤーの温風で熱々にして曲がる状態にしてから、一気に曲げてホーンの形に沿わせます
今回は先生にやってもらいましたが、かなり思いっきりバインディングを曲げながらホーンの形に沿わせていました。
バインディングを外周の形に合わせて曲げたら、マスキングテープで仮止めしていきます。
ギターボディに貼り付けたバインディングをドライヤーで温めて曲げているところ

ウエストの部分もドライヤーで温めて、バインディングを外周の形に合わせます。
ここは先にマスキングテープで仮止めして、その上からドライヤーの温風をあてて曲げればOKです。
ギターボディに貼り付けたバインディングをドライヤーで温めて曲げているところ

エンド部分は曲線が緩やかなので、ドライヤーで温めなくてもよいです。
マスキングテープで仮止めするだけOK。
ギターボディに巻いたバインディングをマスキングテープで仮止めしているところ

再びウエスト部分。
ドライヤーでしっかり温めて曲げます。
ギターボディに貼り付けたバインディングをドライヤーで温めて曲げているところ

仮止めが終わった状態です。
いったん仮止めしたら、すぐにマスキングテープを外してもOKです。
ただし、カッタウェイやウエスト部分のバインディングがちゃんと外周の形に沿っていなかったら、再度温めて曲げておく必要があります。
ギターボディにバインディングを仮止めしたところ

バインディングにセルボンで貼り付ける前に、マホガニーバックにマスキングテープを貼っておきます。
セルボンがマホガニーの導管に入ってしまうと、ウッドフィラーを塗る時に導管に入っていかないので、保護するために貼ります。
マホガニーが0.1mmくらい出るくらいの位置でマスキングを貼っていきます。
ギターボディの外周にマスキングを貼っているところ

保護のためのマスキングが貼れたら、バインディングにセルボンを塗って貼り付けていきます。
セルボンは乾くのが早いので、固定用のマスキングテープを切って準備をしておきます。
ギターボディにセルボンを塗ってバインディングを貼っているところ

外セルの内側にセルボンを流し込んでいきます。
ギターボディにセルボンを塗ってバインディングを貼っているところ

セルボンを塗ったら、何回か軽く密着して離すを繰り返し、バインディングの下側までセルボンを行き渡らせます。
ギターボディにセルボンを塗ってバインディングを貼っているところ

はみ出た余分なセルボンはティッシュで拭き取っておきます。
ギターボディの外周に塗ってはみ出たセルボンをティッシュで拭いているところ

マスキングテープで固定する際に、ボディの内側に力がかかるとバインディングが傾いてしまわないように注意。
しっかり密着させつつ、内側に偏らない程度の力で固定していきます。
ギターボディにバインディングをマスキングテープで固定しているところ

外セルを巻き終わりました。
この状態で1日寝かせます。
ギターボディにバインディングを巻いてマスキングテープで固定している状態

ギターボディにバインディングを巻いてマスキングテープで固定している状態 ギターボディにバインディングを巻いてマスキングテープで固定している状態
ABOUT ME
稲垣 健太(ケンタトニック)
ギター辞典コード辞典ボイトレ・音楽用語辞典の運営者。

音楽関係の仕事の経験、ギター製作の経験、音楽教室に通った実体験をもとに、音楽に役立つ情報を発信。

■音楽歴
中学2年生の時にギターを始める
高校1年生の時にドラムを始める
大学で軽音楽部に所属し、ボーカル、ギター、ベース、ドラムを演奏
39歳からボイトレに通い始める
42歳でギタークラフトを始める
└2023年4月にギタークラフトの専門学校・ESPギタークラフトアカデミー大阪校(GCA)に入学
└ギター製作やリペアの専門技術・専門知識を習得中
└ギター製作の経験をほぼ毎日日記で更新
ギタークラフト製作日記

■音楽関連の仕事歴
[2006〜2009年]
大手CD・レコード販売店でロック、ジャズの仕入・販売を担当。
[2011年〜]
フリーランスのWebライター・Webディレクターとして開業。
大手音楽教室からの委託でボイトレサイトの運営、ボイトレ記事の執筆・編集に携わる。

■音楽教室の通い歴
[1995〜2000年まで]
某大手ギター教室に通う
[1997〜2002年まで]
某大手ドラム教室に通う
[2020年〜現在]
某大手音楽教室のボイトレ・話し方コースに通い中
ESPギタークラフトアカデミーにて月3回プロギタリストによる演奏授業を受講

■愛機
Stilblu #036 / #039 /#099
g'7 special(g7-TLT Type 2S)
Nashguitars S-57
Tom Anderson(Drop Top Classic -Deep Tobacco Fade)
TMG Gatton Thinline
Fender Custom Shop 1956 Stratocaster NOS
Gibson USA Exclusive Model / Les Paul Standard 60s Honey Lemon Burst

所有ギター一覧

■製作したギター
ギタークラフトアカデミー第1作目:
ポリゴンライン
ギタークラフトアカデミー第2作目:
Stand-Alone
ギタークラフトアカデミー第3作目:
Thin-Marauder


■好きなバンド
U2、Sigur Ros、THE 1975、Mr.Children、the band apart、くるり、SIAM SHADE、VAN HALEN

■ブログ
運営者情報
関連記事