ボディサイドの#150の生地調整とコントロール穴あけが出来たので、ボディバインディング溝の加工をします。
↓前回作業
今回はアーチトップにバインディングを巻くので、アーチトップ加工をする前にバインディング溝を掘っておく必要があります。
アーチトップ加工をしてからだとバインディング溝を掘るトリマーが斜めになってしまうので、ボディトップが平面の状態でバインディング溝を掘ります。
そして今回は外セルに加え、カスタムセル(内セル)を巻くので、2段階でバインディング溝を掘らなければなりません。
外セルは厚さ2mm、カスタムセルは厚さ0.5mmを6層なので3.0mmの溝を掘ります。
以下の手順で掘り進めます。
①外セルのバインディング溝を掘る
→厚さ:バインディング材の厚みは2mmだが少し浅めの厚みで掘る
(ボディ側にはバインディング材がほんのわずかにはみでるくらい)
→深さ:マホガニーバックの上面まで掘る
(メイプルが残らない深さ)
②掘れた外セル溝の内側にカスタムセルの溝を掘る
→厚さ:今回は3.0mmの厚みで掘る(外セルとの間に隙間をあけたくないので、カスタムセルの溝は幅きっちりで掘る)
→深さ:マホガニーバックからメイプルが6mm残る位置まで掘る
ではバインディング溝を掘る準備をします。
ジョイント部分は捨て木を置いておきます。
バインディングの厚みの設定をする必要があるので、いきなりボディで掘るのではなく、端材で試し掘りをします。
トリマーに専用のガイドを取り付け、外周に沿って掘っていきます。
掘れた溝にセルバインディング材を合わせてみます。
この試し掘りでは溝の厚みの微調整をしています。
バインディング材が完全に溝に埋まってしまうと段差ができてしまうので、外周からほんの少しバインディング材が出るくらいが理想です。
写真の状態だとちょっとまだ出過ぎで、触ってほんのり段差が感じられるくらい(0.1〜0.2mmくらい)に設定します。
本番ではこんな感じでボディ外周にガイドを沿わせ、外周を反時計回りでぐるっと掘っていきます。
試し掘りで設定した厚みのまま掘っていきます。
念のために短めに掘ってみて、溝の厚みが問題ないか確かめます。
ジョイント部分は捨て木にほんの少しかかるくらいまで掘ります。
一気には掘れないので、深さは2mmずつ下げて掘っていきます。
厚みが問題なかったのでこのまま掘り進めます。
カッタウェイ部分はトリマーが乗っかる部分が少ないので、トリマーが傾かないように注意して掘ります。
2周目です。
外セルはメイプルトップとマホガニーバックの境目まで掘ります。
あと1周でメイプルトップとマホガニーバックの境目まで到達しそうです。
最後は深さを微調整をして掘っていきます。
メイプルは残らす、ギリギリマホガニーに到達するくらいの深さが理想です。
短い距離で掘ってみて確認したところ、部分的にメイプルが残っていました。
なので、あと0.1〜0.2mmくらい深くして掘ったほうが良さそうです。
再設定して掘ってみたところ、残っていたメイプルがなくなりました。
この深さで最後の1周を掘っていきます。
ボディトップは場所によっては高さに差があるので、メイプルが残っている箇所がないか確認しながら掘り進めます。
目的の深さまで削れましたが、ところどころ段差が残っています。
1周だけだと木材の抵抗で段差が残ってしまう部分があるので、必要に応じてもう1周したほうがよいです。
ただし、セルを巻く位置にある段差だけ取ればOKです。
ボディトップに近い部分(下記の写真の上側の赤枠部分)はカスタムセルを巻くなら削ってしまいますし、カスタムセルを巻かない場合でもアーチ加工の際に削るので、残っていても問題ありません。
下記の写真の下側の赤枠部分は外セルを巻く高さにある段差なので、取っておく必要があります。
外セルを巻く位置に段差があるとそのぶん外に出っ張ってしまうので、カスタムセルとの間に隙間が空いてしまいます。
というわけで、もう1周しました。
完全には段差を取りきれませんでしたが、わずかに残っているくらいならOKです。
掘る厚みが広くなりすぎると、今度は外セルを巻いたときにボディサイドと段差ができてしまう恐れがあるので、無理に段差を取りきろうとしないほうがいいですね。
うん、バインディング材がしっかり収まりつつ、厚みが広くなりすぎていないので変な段差はできていないですね。
次はカスタムセルの溝を掘ります。
外セルの場合は多少ボディからはみ出していても後で削って調整できますが、カスタムセルは溝の厚みが広すぎると外セルとの間に隙間できてしまい、その状態になると修正が難しいので、カスタムセルはきっちりの幅で掘る必要があります。
手順としては、
①外セルで試し掘りした溝を使い、トリマーをカスタムセルの幅に合わせた厚みに設定する
②ボディの削る部分を使って短い距離で試し掘りしてみる
(ジョイント付近など後でアーチトップで削る部分)
③カスタムセルを溝に合わせてみて段差がないか確認する
④マホガニーバックから4mmの高さの位置まで掘る
(外セルの高さ6mm-カスタムセルの高さ2mm = 4mm)
試し掘りした溝にカスタムセルを合わせてみます。
写真ではわからないですが、セルとボディの境目を触ってみると、ほんのわずかに段差があります。
ここはきっちり合わせたいので、トリマーの設定を0.1〜0.2mmくらい広くします。
トリマーを微調整して再度試し掘り。
今度はセルバインディングとボディサイドの境目に段差がなく、ぴったりになりました。
カスタムセルの溝はマホガニーバックの上面から4mmの高さまで掘ります。
コンパスを使って外周にぐるっと罫書き。
罫書きが消えてしまうと深く掘り過ぎなので、罫書きが消えない位置まで掘ります。
掘れた溝にカスタムセルをぐるっと外周に沿わせて合わせてみて問題がないか確認。
うん、大丈夫そうです。
これでバインディング溝掘りは完了です。