Fender Swingerとは
Fender Swinger(フェンダー・スウィンガー)は、フェンダーが1969〜1971年に製造していたギターモデル。短期間しか製造されなかった希少なコレクターズアイテム。
ヘッドにモデル名が刻印されておらず、Fenderロゴの後ろに塗装の上からSwingerのシールが貼られていた個体があったことから、この名前が通称となった。別名「Musiclander(ミュージックランダー)」や「Arrow(アロー)」とも呼ばれる。
2019年にFender Japanが日本製モデルとしてSwingerの名前で復活させた。
What's New : 幻のコレクターズアイテムが日本製モデルとして奇跡の復活!SWINGERおよび、LIMITED SWINGERが販売開始。
詳しくは👉https://t.co/npLO5xgf0J#Fender #Swinger #日本製 #MadeInJapan pic.twitter.com/z19mX8LMHh
— Fender (フェンダー) (@Fender_Official) November 15, 2019
Swingerが開発された経緯
Swingerが短期間での製造であったのと、独特なボディシェイプをしているのには理由がある。
フェンダー社は、1965年に世界初の5弦ベース・Fender Bass V(フェンダー・ベースV)を販売開始した。ところが、ボディサイズや形状が受け入れられず、かなり数の加工品が在庫として残ってしまう。
加えて、MusicmasterやDuo-Sonicの初期モデルなどで使われていた22.5インチスケールのショートスケール・ネックが不人気で、こちらも在庫が大量に余っていたそうだ。
Bass Vのボディと22.5インチスケールのネックの在庫を消化するため、2つを組み合わせて作られたのがSwingerである。
Bass Vを加工した結果、あのような特徴的なボディになった。Swingerのボディ下側が他のモデルよりも大きいのは、元になったBass Vのボディが大きかったからだ。
特徴的なヘッドは、従来のヘッドデザインから変えるためにアコースティック・ギターのように丸くしていき、端を切り取っていった結果、槍のような形になったそうだ。元がMusicmasterやDuo-Sonic用に作られたネックなので、加工して別の形状にしていた。
Swinderはフェンダーの販促資料には載せられず、フェンダーのセールスマンが営業回りの際に売り歩いたと言われている。
同じような事情で同時期に作られたのが、Fender Custom(フェンダー・カスタム)、別名Maverick(マーヴェリック)と呼ばれるモデル。こちらは、12弦ギターのFender Electric XIIなどの端材を集めて作れたそうだ。
Maverick(Fender Custom)はこちらの記事で詳しく紹介。
Bass Vは現行のベースモデルよりもボディが長く、面長に見える。Bass Vの長いボディをリシェイプした結果、Swingerの独特な形状が生まれた。
Three of the 200 Fender Bass V's ever made-a 1965 in Sonic Blue, a 1966 in Olympic White, and a 1967 in Sunburst. pic.twitter.com/fYXPtSUNLo
— Bass Player (@BassPlayerWeb) June 6, 2017
1969年製造のSwinger。カラーはレイクプラシッドブルー。
【新着楽器|クローズアップ!】
■Fender Swinger "Lake Placid Blue" 1969年製
フルオリジナルで目立つダメージも無く綺麗なスインガー! バッキングからリードまで実は幅広く使えるギター!https://t.co/CTdtqkAf5N pic.twitter.com/7eVOKXSKL7— J-GuitarNEWS (@JGuitarNEWS) August 15, 2017
Vanzant(ヴァンザント)が「Broken Arrow」というモデル名でSwinger風のギターを販売している。カラーは深緑っぽく見えるが、こちらもレイクプラシッドブルー。
1F U-BOXギターズ <中古エレキNEWS>
Vanzandt / Broken Arrow Lake Placid Blue【MOD品】 96,800円
これはオシャレ!ヴァンザントのBroken Arrowが入荷しました♪https://t.co/Z7AGz7tp2T#ubox #ヴァンザント pic.twitter.com/Ylw2kz1SvS— イシバシ楽器新宿店 (@1484_shinjuku) July 27, 2020
Swingerの特徴
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ヘッドヘッドは二等辺三角形のような尖った形をしている。MusicmasterやDuo-Sonicのネックの先端部分を丸く加工して、あのような形になった。
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ネック / スケールネックはメイプルにローズウッド指板(ラウンドボード)。22.5インチのショートスケール。フレット数は21。
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ピックアップフロントにシングル1基搭載の1ピックアップ。ノブは1ボリューム、1トーン。復刻版では2ピックアップ仕様のモデルも販売されている。
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ボディBass Vの加工済みのボディを使用。ピックガードを外すと、リアピックアップのあたりの位置にBass V用のピックアップキャビティがある。
木材は主にアルダーで、アメリカン・バスウッドを使った個体もある。Bass Vのボディを消化した後は、主に安価なポプラ材を使っていた。
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ピックガードMusicmaster Ⅱのピックガードを使用。ボリュームノブとトーンノブは、ピックガードと切り離した金属製のプレートの上に設置。これもMusicmaster Ⅱと同じ仕様。
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ブリッジブリッジもMusicmaster Ⅱと同じものを使用。鉄板を折り曲げて加工したシンプルな設計。ブリッジサドルは3ウェイ。
復刻版Swinger
オリジナルを忠実に再現した「Fender LIMITED SWINGER」。ヘッドの「Swinger」のロゴはステッカーで任意で貼れるようになっている。デフォルトはオリジナルと同じくヘッドにロゴなしの仕様。
2ピックアップ、22フレット、610mmショートスケールネック仕様の「Fender SWINGER」
King Gnu 常田大希シグネイチャーモデル
Fenderから、King Gnuの常田大希シグネイチャーモデル「DAIKI TSUNETA SWINGER」がリリース。2021年限定モデルとして販売。日本製のSwingerをベースに、常田大希の理想を実現したカスタマイズが施されている。
DAIKI TSUNETA SWINGER | Fender
What's New : King Gnuやmillennium paradeのフロントマンとして活躍する #常田大希 が自身の理想を追求し、日本製Swingerをベースにカスタマイズを施したモデル "Daiki Tsuneta Swinger" の発売が決定。
詳しくは👉 https://t.co/l1UEGM4TgD@KingGnu_JP @DaikiTsuneta #KingGnu #millenniumparade pic.twitter.com/QbdKyoqN7Z
— Fender (フェンダー) (@Fender_Official) August 17, 2021
DAIKI TSUNETA SWINGERの特徴
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STEP1ボディ材バスウッド
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STEP1ネック材メイプル
ネックは「Uシェイプ」 -
STEP1指板ラディアス9.5インチ(241mm)
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STEP1スケール/フレット数24インチスケール(610mm)
フレット数は22 -
STEP1ピックアップメタルカバー装備のソープバータイプ・ピックアップを2基搭載
(オリジナルはシングルピックアップ1基) -
STEP1ペグ(マシンヘッド)Deluxe Cast/Sealed Locking(ロック式チューナー)
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STEP1スイッチ3トグルスイッチ
1.ブリッジピックアップ/2.ブリッジ&ネックピックアップ/3.ネックピックアップ -
STEP1コントロール1ボリューム、1トーン
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STEP1ブリッジ6-Saddle Vintage-Style Synchronized Tremolo
(シンンクロナイズドトレモロ) -
STEP1ピックガード1プライのべっ甲ピックガード
(オリジナルと形状が異なる)
Swingerの試奏動画
1969年製造のSwingerの試奏動画。
こちらはKAMINARI GUITARSが完全オールハンドメイドで制作したSwinger’69。本家にはないトレモロアーム付きのモデル。