ローディとギターテック、ボーヤの違い
プロのミュージシャンをサポートする仕事を行う人のことを、「ローディ」や「ギターテック(ギターの場合)」「ボーヤ」などと呼ぶことがある。どれも似たような意味で使われる言葉で、厳密な定義といったものは無いようだが、それぞれに細かい違いがある。
ローディーとは
ローディーは、主にロックバンド等のコンサートでの裏方業務を行う人達を指す言葉。ミュージシャンの楽器の運搬やセッティング、メンテナンスや管理、セッティングといった作業全般を担当し、時には楽器とは関係ない雑務をこなす場合もある。
「ロードクルー(road crew)」や「ロードマネージャー(road manager)」と呼ばれることもあり、コンサートツアーを意味する「ロード(road)」が語源となっているが、コンサートだけでなくレコ−ディーングなど楽器を使う現場に同行する仕事。
特定のミュージシャンの事務所に所属する場合もあれば、コンサート毎に臨時のスタッフとして雇われる場合もあるなど、働き方は様々ななようだ。
ボーヤ、バンドボーイとは
日本でのローディーの古い言い方となるのが「ボーイ」や「バンドボーイ」である。1980年代頃までのローディーのような存在に対する呼び方だが、完全な裏方というよりは、ミュージシャンの「弟子」や「付き人」として、後にミュージシャンとしてのデビューを目指した「修行中の身」という意味合いが強い。
そのため「ボーヤ」というと基本的に特定のミュージシャンに付くことになる。有名なボーヤと言えば、かつてザ・ドリフターズのボーヤだった志村けんが、後に正式メンバーに昇格した例がある。
「ローディ」は裏方の専門職、「ボーヤ」は後のデビューを見据えた弟子・付き人、といった意味合いが強いが、「ローディ」と呼ばれた人でも後にデビューした例があり、下記のようなミュージシャンがいる。
LUNA SEAのJ → AIONのローディー
SIAM SHADEの淳士 → LUNA SEA真也のローディー
PIERROTのAIJI → SIAM SHADEのローディー
ギターテックとは
「ギターテック」や「ベーステック」「ドラムテック」といった「〇〇テック(technicianの略)」という呼び方の場合、より楽器の専門家といった意味合いが強く、楽器のメンテナンスや選定、細かい音作り等まで担当する。
楽器の状態を管理するのはもちろん、エフェクターやアンプの細かい設定等も行い、ミュージシャンがスタジオやステージに入ったらあとは弾くだけ、という状態にしておく場合も多い。
よりその楽器に精通した知識や技術が求められる専門職で、自身がミュージシャンとしてのプロを目指すというわけではない。
まとめ
日本では古くから使われていた「ボーヤ」という言葉が、1980年代ごろから「ローディー」という言葉に変化し、最近では「〇〇テック」という専門的な呼ばれ方もしている。
それぞれの言葉に厳密な定義というのは無く、実際の現場ではギターテックのような役割をこなすローディーもいれば、のちのデビューを目指すギターテックがいてもおかしくはない。「ローディー」という大きな枠の中で、様々な働き方の人がいる、と言えるだろう。
音楽専門学校では「ローディーコース」などの名称で、専門的な人材育成が行われている。例えばESPの専門学校『ESPエンタテインメント』でも「ローディーコース」があり、楽器ののメンテナンスからイベント実習まで様々な知識や技術を身につけることができる。