接点復活剤とは
接点復活剤は、ギターやベース、エフェクターやアンプのシールド・ジャック、あるいはボリュームやトーンといったツマミ部分の接触不良、いわゆる「ガリ」を解消するために使用するメンテナンス・アイテム。スプレータイプの物が多く、必要な箇所に吹き付けることで問題を解消する。
接点復活剤で、なぜ直る?
金属の表面というのは、人間の目にはツルツルに見えているが、拡大すると凸凹の状態であり、その凸の部分が接触することで通電している。しかし、酸化などが原因で物理的に通電面積が少なくなってしまうと、電気の流れが不安定となり接触不良の原因となってしまう。
接点復活剤を塗布すると凹の部分に薄い油膜が形成され、この油膜が通電することで通電面積が広くなり、安定して電気が流れるようになる。その結果としてガリなどの接触不良を解消することができる。
接点復活剤の選び方
接点洗浄剤
ガリが発生している際にまず試したいのが「復活剤」ではなく「洗浄剤」。「復活剤」が前述のように塗膜を形成するのに対し、「洗浄剤」は文字通り汚れなどを洗浄するために用いる。ガリの原因が、埃などのゴミの付着が原因であれば、洗浄剤だけでも問題を解消できる可能性がある。
復活剤でも汚れを落とすことができるが、油分があり不要な部分に付いてしまうとトラブルの原因となることもある。その点洗浄剤は、速乾性の高いものが多く、剤が残ることがないため、不要な部分に付いてしまってもベタついたりトラブルの素となることが少ない。日頃のこまめなメンテナンスに用いるなら洗浄剤がオススメ。
KURE / エレクトロニッククリーナー
電子部品に付着した汚れを素早く簡単に落としてくれる、KUREのエレクトロニッククリーナー。速乾性が高いためベタつくことがなく、拭き取る必要もないため気軽に使うことができる。缶を逆さにしての使用も可能。
サンハヤト / ニューリレークリーナー
サンハヤトのニューリレークリーナーは、特に優れた洗浄力と速乾性の高さで評判の接点洗浄剤。油分やカーボンなどの汚れをしっかり落として接触不良の改善が期待できる。

接点復活剤
接点復活剤には、楽器関連メーカーから「楽器用」として販売されているものと、楽器をはじめオーディオ機器やPCなど様々な電子機器に使える汎用的なものがある。汎用的な製品も楽器に対して使用することができるが、楽器用は溶剤等が添加されていない物もあり、より安心して使うことができる。
ELECTRO-HARMONIX / Metal Contact
ギター・ベース用接点復活剤の定番、エレクトロ・ハーモニックスの「メタルコンタクト」。目に見えないゴミを取り除いてガリを解消してくれる。

FERNANDES / CONTACT REINFORCEDR
汚れを落とし、電導性を強化してくれるフェルナンデスの『CONTACT REINFORCER』。ギターメーカーから発売されているということもあって、安心してギター・ベースに使うことができる。ただし、公式には「ラッカー塗装のギターやベースには御使用にならないで下さい。」と注意書きがされている。

CUSTOM AUDIO JAPAN / Cleansable dropper
カスタムオーディオジャパンの『Cleansable dropper』は、スプレーではなく、ティッシュや綿棒に染み込ませて塗りつけるタイプの接点復活剤。洗浄だけでなく保護の効果もあり、接触不良を未然に防止するという使い方もできる。

KURE 接点復活スプレー
ゲーム機のコントローラーを修理するのにもよく使われているKUREの『接点復活スプレー #1424』。安心して使える有名メーカー製であるのに加え、とにかく安いのが魅力。楽器にも使えるが、鉱物油、防錆剤、石油系溶剤などが含まれているため、樹脂部分に付着しないように注意が必要。

接点復活剤の使い方
接点復活剤の多くは長いノズルの付いたスプレータイプで売られているため、ポットなどのパーツに直接吹き付けることができる。ただし、ジャックにノズルを差し込んで直接吹き付けると、他のパーツや他の箇所にまで溶剤かかって不具合が起こる可能性があるため、接点復活剤を綿棒などに付けて塗布するほうがよい。

下記のように綿棒に溶剤を塗って必要な部分にのみ使用するほうがよい。ガリは汚れが原因であるケースが多いので、汚れを落とすように擦る。
ノブやスイッチといったコントロール部分のガリを取る際、表から吹き付けても効果は薄い。可能であればピックガードなどを取り外し、ポットに直接使用するのが良い。ただし、吹き付け量が多いと残った溶剤にホコリが付着してノイズの原因になったりするため、吹き付けは少量にする。



接点復活剤の注意点
スプレーして使う場合も、綿棒などで塗る場合も、必要な部分以外に溶剤が付いてしまわないように注意したい。塗装面に付いてしまって塗装が剥げてしまったり、他のパーツの不具合につながってしまう可能性もある。
また、接点復活剤はあくまでも「その場しのぎ」的なアイテムであり、使用によって一時的に症状が改善されても、接触不良の根本的な原因が全く無くなるものではないので、余裕があるならば早めのパーツ交換がベスト。自分で交換するのが難しければ、プロのリペアに依頼しよう。