ギタークラフト

【5作目】ウッドシーラー→ウッドフィラー:ギタークラフト学校日誌(258)

ウッドフィラーを塗ったギターのボディを綺麗なウエスで拭いているところ

前回は塗装の準備として指板マスキングをしました。
今回は塗装に入ります。

↓前回作業

ギターのローズウッド指板にマスキング
【5作目】指板マスキング、P-90のピックアップカバー交換:ギタークラフト学校日誌(256)塗装に入れる準備が整ったので、塗装のマスキングをしていきます。 ↓前回作業 https://guitar-concierge...

本作はラッカートップ吹き仕上げで塗装をします。
マホガニーなので導管をふさぐためのウッドフィラーも必要です。
色は全体がシースルーレッドで、ヘッドトップだけブラックに塗りつぶします。

塗装の順番は、
1.ウッドシーラー
2.ウッドフィラー
3.サンディングシーラー
4.着色
5.ウレタントップ(今回は着色面を平らにするために行う)
6.ラッカー拭き仕上げ
となります。

まずはウッドシーラーから。
木材のヤニを止めることと、木の表面に塗膜の基盤を作るのが目的です。
吹付けは1回のみで、吹いた後は1日乾燥させます。
これはウッドシーラーを吹いた当日の写真です。
マホガニー材のギターにウッドシーラーを吹いた状態

ヘッドの上面は吹き付けるときにスプレーガンが近くなり、塗料が垂れてしまいやすいので注意。
あと、スプレーガンを動かすスピードがゆっくりだと乗る塗料の量が多くなって垂れてしまうので、手早く動かしつつ、かつしっかり塗料を乗せる必要があります。
マホガニー材のギターにウッドシーラーを吹いた状態

カッタウェイもしっかり塗料を乗せつつ、乗せすぎて垂れてしまうないように。
マホガニー材のギターにウッドシーラーを吹いた状態

こちらは1日乾燥させた状態。
ウッドシーラーを吹いた後は#600のサンドペーパーでケバ取りをします。
ケバ取りをする前なので表面がテカっています。
メイプルトップのギターにウッドシーラーを吹いて1日乾燥させた状態

バックもケバ取り前の状態。
マホガニー材のギターにウッドシーラーを吹いて1日乾燥させた状態

ケバ取りは表面のザラザラを取るのが目的なので、表面を軽くなでる程度でOK。
ゴシゴシ磨くとシーラーが剥げてしまうので、力を入れずになでてザラザラを取ります。
こちらはケバ取りビフォー。
メイプルトップのギターにウッドシーラーを吹いて1日乾燥させた状態

こちらはケバ取りアフター。
写真ではわかりにくいですが、触るとザラザラしていた表面がツルツルになっています。
メイプルトップのギターにウッドシーラーを吹い後、サンドペーパーでケバ取りをした状態

バックもケバ取り済み。
もちろんヘッドやグリップなど、シーラーを吹いた箇所はすべてケバ取りします。
マホガニーバックのギターにウッドシーラーを吹い後、サンドペーパーでケバ取りをした状態

シーラー後のケバ取りは一瞬で終わります。
次はウッドフィラーで導管をふさぎます。
フィラーで導管をふさぐのは、次の工程のサンディングシーラーの肉盛りをよくするのが目的です。
導管をふさいでおかないと、シーラーが導管に侵入してしまい、平らな塗装面を作れません。

↓3作目でフィラーを塗ったときの様子。

3作目のウッドフィラー:ギタークラフト学校日誌(166)今日はマホガニー材のウッドフィラー(目止め)です。 マホガニーは導管が大きく、目止めをしないと塗料が導管に吸い込まれてしまいます。 ...

フィラーを塗るのは、マホガニーの部分だけです。
メイプルトップと指板サイドのバインディングはフィラーが付かないようにマスキングする必要があります。
シーラーではバインディングにも塗料を乗せるのでマスキングしていませんでしたが、フィラーの際はバンディングにもマスキングをします。
バインディングぴったりにマスキングを貼るとフィラーが乗り切らない可能性があるので、0.5mmくらい隙間を開けてマスキングを貼ります。
ギターの指板サイドにマスキング

ナットのヘッド側もシーラーを乗るためにマスキングはしてませんでしたが、フィラーが付かないようにマスキングします。
ギターのナットにマスキング

今回はヘッドにもバインディングを巻いているので、そこもマスキングします。
あと、ヘッドトップにガラスを埋め込んでいるので、そこもマスキングが必要です。
ギターのヘッドバインディングにマスキング

メイプルトップは全面を紙で保護します。
ギターのボディトップに白い紙でマスキング

ボディバインディングにもマスキング。
ギターのボディバインディングにマスキング

ではフィラーを塗っていきます。
フィラーの色は黒とナチュラルの2種類があります。
今回は黒のフィラーを使います。
マホガニーバックのギターにウッドフィラーを塗り込んでいるところ

フィラーは木目に対して直交するように塗り込んでいきます。
グッグッと力を入れて塗り込まないと導管にフィラーがしっかり入らないので、結構力がいります。
1回塗って30分間を開け、もう1回全体に塗っていきます。
マホガニーバックのギターにウッドフィラーを塗り込んでいるところ

カッタウェイ部分など、導管が大きい箇所はフィラーが入り切っていない場合があるので、しっかり押し込みながら塗りました。
ギターのマホガニー材に塗ったウッドフィラー

こちらは2周おわった状態です。
バックパネルザグリなど、フィラーがこんもり乗っているところは取り除いておきます。
マホガニーバックのギターに塗ったウッドフィラーの余分な箇所を取り除いているところ

トラスロッド周辺も余分なフィラーを取っておきます。
マホガニーヘッドのギターに塗ったウッドフィラーの余分な箇所を取り除いているところ

最後に、綺麗なウエスにウッドフィラー用のシンナーを付け、表面を軽く拭いていきます。
ウッドフィラーを塗ったギターのボディを綺麗なウエスで拭いているところ

ウエスで拭けたら、マスキングを剥がしていきます。
バインディングにフィラーが付いて汚れてしまっていますね。
ギターのボディバインディングに付着したウッドフィラー

ウエスにフィラー用のシンナーを付け、汚れた箇所を拭き取ります。
綺麗になりました。
フィラー後も1日乾燥させます。
ギターのボディバインディングに付着したウッドフィラーを拭き取った状態

ABOUT ME
稲垣 健太(ケンタトニック)
ギター辞典コード辞典ボイトレ・音楽用語辞典の運営者。

音楽関係の仕事の経験、ギター製作の経験、音楽教室に通った実体験をもとに、音楽に役立つ情報を発信。

■音楽歴
中学2年生の時にギターを始める
高校1年生の時にドラムを始める
関西外国語大学外国語で軽音楽部に所属し、ボーカル、ギター、ベース、ドラムを演奏
39歳からボイトレに通い始める
42歳でギタークラフトを始める
└2023年4月にギタークラフトの専門学校・ESPギタークラフトアカデミー大阪校(GCA)に入学
└ギター製作やリペアの専門技術・専門知識を習得中
└ギター製作の経験をほぼ毎日日記で更新
ギタークラフト製作日記

■音楽関連の仕事歴
[2006〜2009年]
大手CD・レコード販売店でロック、ジャズの仕入・販売を担当。
[2011年〜]
フリーランスのWebライター・Webディレクターとして開業。
大手音楽教室からの委託でボイトレサイトの運営、ボイトレ記事の執筆・編集に携わる。

■音楽教室の通い歴
[1995〜2000年まで]
某大手ギター教室に通う
[1997〜2002年まで]
某大手ドラム教室に通う
[2020年〜現在]
某大手音楽教室のボイトレ・話し方コースに通い中
ESPギタークラフトアカデミーにて月3回プロギタリストによる演奏授業を受講

■愛機
Stilblu #036 / #039 /#099
g'7 special(g7-TLT Type 2S)
Nashguitars S-57
Tom Anderson(Drop Top Classic -Deep Tobacco Fade)
TMG Gatton Thinline
Fender Custom Shop 1956 Stratocaster NOS
Gibson USA Exclusive Model / Les Paul Standard 60s Honey Lemon Burst

所有ギター一覧

■製作したギター
ギタークラフトアカデミー第1作目:
ポリゴンライン
ギタークラフトアカデミー第2作目:
Stand-Alone
ギタークラフトアカデミー第3作目:
Thin-Marauder


■好きなバンド
U2、Sigur Ros、THE 1975、Mr.Children、the band apart、くるり、SIAM SHADE、VAN HALEN

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