ギタークラフト

【5作目】チューン・O・マチック&ストップテイルピースのアンカー穴:ギタークラフト学校日誌(253)

ボール盤でギターボディにストップテイルピース用のスタッド穴を開けているところ

前回はナット接着をしました。
今回はブリッジのアンカー穴を開けます。
ブリッジはチューン・O・チック&ストップ・テールピースを使います。

↓前回作業

ギターにナットを接着した後の状態
【5作目】ナット接着(セットネック):ギタークラフト学校日誌(252)前回はネックグリップ、ヒール、ボリュート周りの整形をしました。 今回はナット接着をします。 ↓前回作業 https://g...

ブリッジ位置の罫書きをする前に、スケールエンドを罫書きします。
今回のネックは628mmのミディアムスケール。
600mmスケールとスコヤを使ってスケールエンドを割り出します。
600mmスケールとスコヤを使ってギターのスケールエンドを測定しているところ

600mmスケールだと628mmを測れないので、スケールの半分の314mmを基準にします。
12フレットのちょうど真ん中にスケールの314mmのメモリを持ってきます。
600mmスケールを使ってギターのスケールエンドを測定しているところ

12フレットに314mmのメモリを合わせた状態で、スケールの0mmのほうをスケールエンド側にします。
スケールの先端にスコヤをあて、垂直に下ろした位置がスケールエンドになります。
600mmスケールとスコヤを使ってギターのスケールエンドを測定しているところ

次はチューン・O・マチックの位置を割り出します。
↓3作目でもチューン・O・マチックを使ったので、その時の日記にもやり方を書いています。

Gibson PBBR-030 Nashville Tune-o-matic Bridge Chrome
Tune-o-matic Bridge(チューン・オー・マチック・ブリッジ)− Gibson社が1950年代に開発したブリッジTune-o-matic Bridge(チューン・オー・マチック・ブリッジ)とは Tune-o-matic(チューン・オー・マチック)...

チューン・O・マチックの6弦側のスタッド(ビス)はセンターラインから6mmの位置、1弦側のスタッドは2mmの位置に来ます。
そして、6弦側のスタッドと1弦側のスタッドの間は74mmの距離を取ります。
なので、コンパスを37mmの幅に設定し、スケールエンドとセンターラインが直行する点を中心にし罫書きをします。
ギターのチューン・O・マチックブリッジの位置を罫書き

下記のように、
・6弦側のスタッドはセンターラインから6mmの位置
・中心はセンターラインから4mmの位置
・1弦側のスタッドは2mmの位置
の3ヶ所の距離を取って罫書きをし、6弦側と1弦側を直線で結びます。
この直線が74mmになっていればOKです。
この段階では穴は開けないので、6弦側と1弦側のスタッドの位置を目打ちだけしておきます。
ギターのチューン・O・マチックブリッジの位置を罫書き

次はストップテイルピースのアンカーの位置を割り出します。
センターラインからの位置は、42〜48mmの間で取りますが、先生が言うには45〜46mmが無難とのことです。
チューン・O・マチックとの距離が近すぎると、弦がストップテイルピースに向かう角度がきつくなり、サドルに弦が当たってしまうことがあるため、45〜46mmが良いとのこと。
ギターのストップテイルピースの位置を罫書き

6弦側と1弦側のストップテイルピースのアンカーの距離は82mm取ります。
この位置で目打ちをします。
ギターのストップテイルピースの位置を罫書き

チューン・O・マチックのアンカー穴は塗装後に開けます。
ストップテイルピースのアンカー穴は塗装前に開けておき、アンカーを埋め込んでおきます。
アンカー穴の径は現物に合わせて決めます。
今回使うアンカーの直径は13mmですね。
ギターのストップテイルピースのアンカーの直径をノギスで図っているところ

穴の深さも決めておく必要があるので、アンカーの高さも測定しておきます。
高さは22mmですね。
アンカーは打ち込むので、アンカーの直径13mmに対してビットは12.8mmのものを使います。
深さは、アンカーが0.5mm沈むくらいまで埋め込みたいので、アンカーの高さ22mmに対して深さは22.5mmで設定して穴を開けます。
ギターのストップテイルピースのアンカーの高さをノギスで図っているところ

ボール盤でアンカー穴を開ける際は、一気に掘らず、2段階に分けて掘り進めます。
というのも、木工用ビットの先端は尖っているため、先端の長さのぶんだけ浅く掘れることになります。
なので、最初は深さを設定せずに、5〜10mmくらいの適当な深さで掘ってみて、そこから必要な深さを測定して最後まで掘ります。
ノギスで深さを測るのですが、ビットの先端で掘れた穴は避け、その周りの穴の深さを測ります。
ボール盤でギターボディにストップテイルピース用のアンカー穴を開けているところ

一度開けた穴にビットをぴったり合わせて掘り進めます。
ボール盤でギターボディにストップテイルピース用のアンカー穴を開けているところ

ピンボケしていますが、深さはだいたい22.5mmで掘れました。
ギターボディにボール盤で開けたストップテイルピース用のアンカー穴の深さをノギスで測定

三角錐型の砥石で面取りをしておきます。
結構しっかりめに面取りしておいたほうがいいです。
アンカーの先端の傾斜している幅と同じくらいの深さになるまで面取りします。
ギターボディに開けたストップテイルピースのアンカー穴の表面を面取りしているところ

次はブリッジアース用の配線穴を開けます。
コントロールザグリの側面から、1弦側のストップテイルピースのアンカー穴にかけて穴を開けます。
色が見えにくいですが、ホディの裏面に1弦側のストップテイルピースのアンカー穴の位置を罫書きしています。
裏面にセンターラインとストップテイルピース縦位置を書き、センターラインとストップテイルピースが直行する点から1弦側に41mmの位置に罫書きしました。
(6弦側と1弦側のアンカー穴の距離が82mmなので)
ギターボディの裏にブリッジアース穴の位置を罫書き

コントロール側から開ける穴は、コントロールザグリ底面から10mmくらいの位置。

Φ5のロングドリルのビットで穴開けします。
アンカー穴に対して斜め方向から穴を開けます。
ギターボディの裏にブリッジアース穴をロングドリルで開けているところ

今開けた穴から、ストップテイルピースのアンカー穴に向けてアース用の配線材を通しておきます。
アンカーの底面に配線材のより線を密着させて通電させるので、接触範囲を広げるために配線材の先端をバラけさせておきます。
ギターのブリッジアース用の配線材

アンカー穴からコンニチワ。
ギターのブリッジアース用の配線材

バラけさせた配線材の先端をアンカー穴の底面あたりにセッティングし、アンカーを上から打ち込みます。
ギターボディにストップテイルピース用のアンカーを玄能で打ち込んで埋めているところ

アンカーはボディ上面よりも0.5mmくらい沈み込ませるので、最後はアンカーにスタッドを取り付けてしっかり埋め込みます。
ギターボディにストップテイルピース用のスタッドを玄能で打ち込んで埋めているところ

ストップテイルピースのアンカーの埋め込み完了。
ギターボディに埋め込んだストップテイルピースのアンカー

通電チェック。たぶんOK。
ギターのブリッジアース線の通電チェック

ABOUT ME
稲垣 健太(ケンタトニック)
ギター辞典コード辞典ボイトレ・音楽用語辞典の運営者。

音楽関係の仕事の経験、ギター製作の経験、音楽教室に通った実体験をもとに、音楽に役立つ情報を発信。

■音楽歴
中学2年生の時にギターを始める
高校1年生の時にドラムを始める
関西外国語大学外国語で軽音楽部に所属し、ボーカル、ギター、ベース、ドラムを演奏
39歳からボイトレに通い始める
42歳でギタークラフトを始める
└2023年4月にギタークラフトの専門学校・ESPギタークラフトアカデミー大阪校(GCA)に入学
└ギター製作やリペアの専門技術・専門知識を習得中
└ギター製作の経験をほぼ毎日日記で更新
ギタークラフト製作日記

■音楽関連の仕事歴
[2006〜2009年]
大手CD・レコード販売店でロック、ジャズの仕入・販売を担当。
[2011年〜]
フリーランスのWebライター・Webディレクターとして開業。
大手音楽教室からの委託でボイトレサイトの運営、ボイトレ記事の執筆・編集に携わる。

■音楽教室の通い歴
[1995〜2000年まで]
某大手ギター教室に通う
[1997〜2002年まで]
某大手ドラム教室に通う
[2020年〜現在]
某大手音楽教室のボイトレ・話し方コースに通い中
ESPギタークラフトアカデミーにて月3回プロギタリストによる演奏授業を受講

■愛機
Stilblu #036 / #039 /#099
g'7 special(g7-TLT Type 2S)
Nashguitars S-57
Tom Anderson(Drop Top Classic -Deep Tobacco Fade)
TMG Gatton Thinline
Fender Custom Shop 1956 Stratocaster NOS
Gibson USA Exclusive Model / Les Paul Standard 60s Honey Lemon Burst

所有ギター一覧

■製作したギター
ギタークラフトアカデミー第1作目:
ポリゴンライン
ギタークラフトアカデミー第2作目:
Stand-Alone
ギタークラフトアカデミー第3作目:
Thin-Marauder


■好きなバンド
U2、Sigur Ros、THE 1975、Mr.Children、the band apart、くるり、SIAM SHADE、VAN HALEN

■ブログ
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