ギタークラフト

【4作目】フレット打ち、リフレット:ギタークラフト学校日誌(195)

ギター指板にフレットを打ち込んだ状態

今日はフレット打ちをします。
結果からいうとフレット打ちに失敗したのでリフレットしました…

↓前回作業

ギターの平ネックのボリュート
【4作目】ネックグリップ仕上げ、指板すり合わせ:ギタークラフト学校日誌(194)今日はネックグリップ仕上げの続きと指板すり合わせをします。 ↓前回作業 https://guitar-concierge.j...

指板すり合わせしたので、フレット溝に指板の削りカスやゴミが挟まっているかもしれません。
なので、フレットを打つ前にストッパーを貼り付けたノコギリでフレット溝を掃除します。
ギターのフレット溝に入ったゴミをノコギリで除去

ではフレットの準備をします。
今回使用するフレットは214H。
そのままでは長いので、喰切で長さを調整。
指板の両端から2mmほど出る長さにチョッキン。
喰切でギターのフレットの長さを調整

ギター指板にフレットをあてて長さを確認

フレットを喰切とニッパーで挟んで軽く曲げます。
フレットが真っ直ぐに近いと、打ち込むときに端っこが浮いてしまうので、準備段階で曲げておく必要があります。
ギターフレットを喰切とニッパーで挟んで軽く曲げる

真ん中が浮いて隙間が見えるくらい曲げればOKです。
ギター指板にフレットをあてて曲がり具合を確認

曲げができたら、フレットのタングの左右を少し切ります。
フレット溝に対してタングが左右1mmくらい内側に来るくらいが目安です。
タングをフレットサイドピッタリにするやり方もありますが、学校ではフレットサイドをパテで埋めるので、フレット溝に対してタングを短めにします。
ギター指板とフレットとタングニッパー

タングニッパーで切る際、一気に切ろうとするとグニャッと曲がってしまうので、短めに切っていきます。
タングニッパーでギターフレットのタングの一部を切断

だいたいこれくらい。
ギター指板とフレット

準備ができました。
ギター指板とフレット

今回はフレットプレスを3本だけ試します。
まずはフレットの端を軽く埋め込みます。
ギター指板にフレットを軽く埋め込んだ状態

ボール盤にフレットプレス用の器具をセッティング。
ボール盤にギター用フレットプレスをセッティング

ボール盤のハンドルを回し、押し込むようにフレット溝に入れます。
フレット打ちでは端から埋めていきますが、フレットプレスではまず真ん中を押し込み、その後で左右にずらして押し込みます。
ボール盤にギター用フレットプレスをセッティング

真ん中を押し込んだら少し横にずらして押し込みます。
フレットプレスの作業中

反対側も。
フレットプレスの作業中

慣れてないのでフレットの真ん中が浮いちゃってますね。
今回は体験できればOKなので、あとで玄能で打ち込みます。
フレットプレスの作業後

ここからは手打ちします。
まずはフレットの両端を溝にしっかり埋めます。
めり込まない程度に隙間なく打ち込むのが大事。
ギターのフレットを玄能で手打ち

では間違い探しです。
次の写真は良くないフレットの打ち方をしていますが、なぜでしょう?
答えはすぐ言っちゃいますが、指板に対して横から打ち込もうとしているからです。
腕が完全に浮いた状態で打つことになるので、打ち込む角度が安定しないですし、力が伝わりにくいです。
このやり方で打っちゃったのでリフレットすることになるのですが…
正しい打ち方は後半の写真で解説します。
ギターのフレットを玄能で手打ち

製図用紙の切れ端などをフレットと指板の間に差し込んで隙間がないかチェック。
製図用紙の切れ端でギターフレットと指板の間に隙間があるかチェック

グリップ部分は作業台との間に隙間があって力が逃げてしまうので、木材や紙などを敷きます。
ギターのグリップの下に紙を敷いてフレット打ち

できれば木材とか硬いものが良いですね。
ギターのグリップの下に木材を敷いてフレット打ち

こういうアイテムも使って浮いている箇所をなくしていきます。
ギターのフレットを玄能で手打ち

このアイテムもRがついているので、フレットの形に沿って玄能で打ちます。

全フレット打ち終わったのですが、端が浮いていて叩いても入らなかったり、しっかり埋まってないフレットがほとんどなので、全部取り外してもう一回打ち直します…
フレットを打ち終わったギター指板

喰切の刃の先端は斜めになっていますが、それだとしっかり埋まったフレットを抜くことができないので、刃の先端を平面に加工した喰切を使います。
刃を平面に加工した喰切

フレットの端に喰切を差し込み、下側にグッと力を入れて喰切の柄を握り込みます。
上に引いて抜くのではなく、喰切が挟み込む力でフレットが持ち上がっていくイメージです。
無理に引き抜こうとするとフレットのスタッドで指板が剥がれてしまうので要注意。
喰切でギターのフレットを抜いているところ

部分的にフレットが持ち上がったら少し横にずらし、同じように喰切の柄を握り込んで持ち上げていきます。
喰切でギターのフレットを抜いているところ

フレットを抜くと、こんな感じで指板の一部が剥がれます。
これは注意して抜いてもなってしまうので、接着剤で補填します。
フレットを抜いた後のギター指板のフレット溝

紙などで上から軽く押さえて指板の欠片を元の場所に押し込みます。
フレットを抜いた後のギター指板のフレット溝

金属用瞬間接着剤を使ってフレット溝を補填します。
ギター指板と金属用瞬間接着剤と千枚通し

千枚通しに瞬間接着剤を少し付け、フレット溝に沿って塗っていきます。
接着剤の量が多いとフレット溝からはみ出してシミになってしまうので注意。
ギター指板のフレット溝に瞬間接着剤をつけて欠けた部分を補填

硬化剤をシュコシュコ。
ギター指板のフレット溝に瞬間接着剤をつけて欠けた部分を補填した部分に硬化剤を噴き付け

全フレット溝の補填が終わりました。
ギター指板のフレット溝に瞬間接着剤をつけて欠けた部分を補填し終わった状態

#320のペーパーで軽くすり合わせします。
接着剤のシミが取れればOKです。
#320のサンドペーパーでギター指板をすり合わせ

フレットで隠れる部分の接着剤のシミは取らなくていいので、ごくごく軽くでOK。
#320のサンドペーパーでギター指板をすり合わせ

#600のサンドペーパーで整えます。
#600のサンドペーパーでギター指板をすり合わせ

フレット溝の周りに接着剤が残っていますが、フレットで隠れるので大丈夫。
ギター指板のフレット溝

フレットを打つ前の状態に戻ってきました。
外したフレットは使わず、新しいフレットを使います。
ギター指板とフレットの素材

指板材が硬くてフレットが溝に入りにくい場合は、軽く逆反り方向にロッドを曲げるといいそうです。
逆反りにすることでフレット溝が少し広がり、フレットが溝に入りやすくなる、というわけです。
エボニー材など、などは硬くてフレットが入りにくいそうですし、今回の材も目が詰まっていて硬いのかもしれません。

手でフレットの端を押し込んでもなかなか入っていかないので、少し逆反りさせます。
8分の1回転くらい逆反り方向にロッドを回します。
回すとしてもほんの気持ち程度です。
六角レンチでギターのトラスロッドを回しているところ

ここでさっきのクイズの正解例を。
指板に対して腕を平行に構え、肘を指板の上か作業台の上にしっかり置き、肘を支点に振り下ろすのが正解。
フレットの打ち方は人によるので正しいやり方かはさておき、このやり方のほうが振り下ろす腕がブレないですし、しっかりと力が伝わります。
ギターのフレットを玄能で手打ち

フレット打ちで避けたいのは、「端が浮いてしまう」状態です。
フレット真ん中も打ち込んだ状態で端が浮いていると、いくら強く叩いても端が浮いてしまいます。
1回目はそれで失敗しました…

まずはフレットの両端をしっかり埋め込みます。
ギター指板にフレットの両端を埋め込んだところ

両端が埋まったら真ん中から端に向かって打っていきますが、真ん中を打つとどうしても端が浮いてしまいます。
必ず意識すべきは、常に両端が指板にぴったりくっついている状態で打ち込んでいくことです。
真ん中は軽めに打ち、端にかけて徐々に力を強めて打ち込みます。
そうすると常に端っこが指板にくっついている状態を保てます。
ギターのフレット打ちの説明画像

短いですがフレット打ちをしている様子を動画に撮りました。

端っこの浮きもなく綺麗に打ち込めました。
ギター指板にフレットを打ち込んだ状態

先生に仕上げをしてもらいましたが、1回目と比べると隙間がほとんどなくなりました。
ギター指板にフレットを打ち込んだ状態

ギター指板にフレットを打ち込んだ状態 ギター指板にフレットを打ち込んだ状態

今日はここまで。

ABOUT ME
稲垣 健太(ケンタトニック)
ギター辞典コード辞典ボイトレ・音楽用語辞典の運営者。

音楽関係の仕事の経験、ギター製作の経験、音楽教室に通った実体験をもとに、音楽に役立つ情報を発信。

■音楽歴
中学2年生の時にギターを始める
高校1年生の時にドラムを始める
大学で軽音楽部に所属し、ボーカル、ギター、ベース、ドラムを演奏
39歳からボイトレに通い始める
42歳でギタークラフトを始める
└2023年4月にギタークラフトの専門学校・ESPギタークラフトアカデミー大阪校(GCA)に入学
└ギター製作やリペアの専門技術・専門知識を習得中
└ギター製作の経験をほぼ毎日日記で更新
ギタークラフト製作日記

■音楽関連の仕事歴
[2006〜2009年]
大手CD・レコード販売店でロック、ジャズの仕入・販売を担当。
[2011年〜]
フリーランスのWebライター・Webディレクターとして開業。
大手音楽教室からの委託でボイトレサイトの運営、ボイトレ記事の執筆・編集に携わる。

■音楽教室の通い歴
[1995〜2000年まで]
某大手ギター教室に通う
[1997〜2002年まで]
某大手ドラム教室に通う
[2020年〜現在]
某大手音楽教室のボイトレ・話し方コースに通い中
ESPギタークラフトアカデミーにて月3回プロギタリストによる演奏授業を受講

■愛機
Stilblu #036 / #039 /#099
g'7 special(g7-TLT Type 2S)
Nashguitars S-57
Tom Anderson(Drop Top Classic -Deep Tobacco Fade)
TMG Gatton Thinline
Fender Custom Shop 1956 Stratocaster NOS
Gibson USA Exclusive Model / Les Paul Standard 60s Honey Lemon Burst

所有ギター一覧

■製作したギター
ギタークラフトアカデミー第1作目:
ポリゴンライン
ギタークラフトアカデミー第2作目:
Stand-Alone
ギタークラフトアカデミー第3作目:
Thin-Marauder


■好きなバンド
U2、Sigur Ros、THE 1975、Mr.Children、the band apart、くるり、SIAM SHADE、VAN HALEN

■ブログ
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