ピックアップフェンスとは
ピックアップフェンスは、ベース・ギターのピックアップを保護するためのパーツ。ピックアップカバーとも呼ばれる。ピックアップを覆うように取り付けられる。ブリッジ部分を保護するブリッジカバーとは異なるパーツ。
1950〜70年頃のFenderプレシジョンベースやジャズベースには、デフォルトでピックアップフェンスが付属していた。現行モデルには付属しないが、カスタムショップ製のモデルやリイシューモデル、ビンテージシリーズなどに付属する場合がある。
もともとはピックアップを保護するためのパーツだが、指弾きの際に指を乗せたり、スラップ奏法を安定させるために手首を乗せたり、演奏面でも使用される。
しかし、ピックアップフェンスがあるとピックアップの真上で弾けない、ブリッジミュートができない理由から、使わないプレイヤーが多いようだ。
スラップ奏法での使用
スラップ奏法 (チョッパー奏法)をしやすくする目的でピックアップフェンスを取り付けるプレイヤーもいる。ピックアップフェンスに手首を乗せることでスラップを安定させる。
スラップ奏法でのピックアップフェンスの活用は、ベーシストのマーカス・ミラーによる影響が大きい。以下の動画でピックアップフェンスを装着したベースでスラップをしている様子を観れる。ブリッジカバーは付けていない。
Fenderのピックアップフェンスの歴史
1951年に登場したFenderのプレシジョンベースには、ピックアップフェンスがデフォルトで付属していた。ピックアップフェンスを導入した目的は、ピックアップを保護するため、ピックアップを隠すため、シールド効果によるノイズ対策のためなど複数あるが、はっきりとわかっていない。
レオ・フェンダーが1952年に特許申請したプレシジョンベースの資料を見ると、開発当時からピックアップフェンスが組み込まれていたことがわかる。
こちらは1951年製のプレシジョンベース。リリース当時のピックアップフェンスは以下のような形状であった。
ピックアップフェンスのデザインは変更が加えられており、1950年代中頃から以下のような形状がスタンダードになっていった。
ピックアップフェンスを使用するベーシスト
ジェームス・ジェマーソン
1960〜70年代初頭のモータウン黄金期に活躍したジェームス・ジェマーソンは、ピックアップフェンスに中指、薬指、小指を乗せ、ネック寄りの位置で指弾きをしていた。確認できる。
マーヴィン・ゲイの『What's Going On』のライブ映像にて、ジェームス・ジェマーソンがピックアップフェンスに指を置いて演奏している様子が確認できる。
ウィル・リー
アメリカ出身のベーシスト、ウィル・リーもピックアップフェンスを使用している。親指をピックアップフェンスに乗せ、ブリッジ寄りの位置で弾いている。