クラシックギターとは
クラシックギターは、その名の通り主にクラシック音楽に用いられることの多いギター。他にもボサノヴァやタンゴ等にも用いられる。14世紀頃に最初のギターと言われる撥弦楽器がスペイン生まれ、クラシックギターとしては19世紀に完成したと言われている。「ガットギター」や「ナイロンギター」「スパニッシュギター」等とも呼ばれる。
アコースティックギターとは
アコースティックギターは、20世紀に入ってから登場したギターの種類。「アコースティックギター」という呼び方は、その後誕生した電気信号を出力する「エレクトリックギター」と区別するための言葉として生まれたもので、それまでは「スチール弦ギター」等と呼ばれていた。
エレキギターに対して、電気信号を出力しないという意味ではクラシックギターもアコースティックギターに含むが、一般的にはクラシックギターをアコースティックギターと呼ぶことはない。クラシックのジャンルでは、基本的には電子楽器を用いないため。
クラシックギターとアコースティックギターの違い
クラシックギターとアコースティックギターは、弦が6本で各弦のチューニングも同じではあるが、様々な違いがある。
使用する弦
クラシックギターは「ナイロンギター」、アコースティックギターは「スチール弦ギター」とも呼ばれるように、最大の違いは使用する弦が異なるという点にある。
クラシックギターでは柔らかいナイロン弦やガット弦(羊の腸を素材とした弦)を使用するのに対し、アコースティックギターでは鉄でできたスチール弦を使用する。ナイロン弦は柔らかく優しい音色、スチール弦はキラキラした鋭い音色を奏でることができる。
クラシックギターで奏でる『ハナミズキ』
アコースティックギターで奏でる『ハナミズキ』
また、ナイロン弦とスチール弦ではテンション(張力)にかなり差があり、そこから各部の構造にも違いが生まれている。
ヘッド部分の構造
パッと見で分かる大きな違いの一つには、ヘッド部分の構造の違いが挙げられる。
クラシックギターの場合は、弦を巻きつけるストリングポストがヘッド部分にある溝に横方向に取り付けられ、弦を撒くペグはヘッドの背面に配置されている。
一方、アコースティックギターの場合は、ストリングポストはヘッド面に垂直に取り付けられ、ペグはヘッド面と平行に配置される。
ブリッジ部分
クラシックギターの場合、ボディ側で弦を固定するブリッジ部分は、弦を巻きつけて固定するタイプ。
アコースティックギターの場合、弦は穴に通し、ブリッジピンというパーツをを押し込んで固定する。
ナット、ネックの幅、弦の間隔
ナットの幅はクラシックギターの方がアコースティックギターと比べて広くなる。長さは機種によって異なるが、だいたいクラシックギターの方が1cmほどナットの幅が広い。それに合わせて各弦の間隔もクラシックギターの方がわずかに広い。ネックの幅も広くなるので、持ち替えるとその違いを感じることができる。
また、細かい部分ではクラシックギターには基本的にポジションマークが無い。
奏法
クラシックギターは基本的に指を使ったフィンガー・ピッキングで演奏する。そのために右手の爪を伸ばし、キレイに整えているギタリストが多い。
アコースティックギターの場合もフィンガー・ピッキングは用いられ、スタイルによってはクラシックギターと同様に右手の爪を整えるギタリストも多い。大きく違うのは、アコースティックギターでは演奏にピックを使うという点。クラシックギターでは基本的にピックは使わない。
持ち方、構え方
クラシックギターは基本的に座って演奏する。椅子に腰掛けて足を開き、足台に乗せた左足の太ももにボディのくびれ部分を乗せて構える。
アコースティックギターは座って弾くのはもちろん、ストラップを付けて立って演奏するのも一般的。そのためにボディには2箇所のストラップピンが配置されている。
ジャンル
クラシックギターは、その名の通りクラシック音楽はもちろん、ボサ・ノヴァやタンゴといったラテン音楽で使われることが多い。また、日本では演歌でもクラシックギターがよく用いられる。ギターを伴奏にして歌を歌うならアコースティックギター。
クラシック
ボサ・ノヴァ
タンゴ
フラメンコでもクラシックギターが使われるが、フラメンコに使われるギターは「フラメンコ・ギター」と呼ばれ区別されている。フラメンコに最適化するために弦長が長め、弦高が低め、ゴルペ板というピックガードの一種が貼られている、といった違いがある。
薄い透明な板がゴルペ板。
一方のアコースティックギターは、ブルースやロックといったアメリカ音楽、日本ではフォークソングやポップスなど、幅広い音楽で用いられている。