ラッカー塗装とは
「ラッカー塗装」は、エレキギターにおいて最もポピュラーで伝統的な塗装方法。「ニトロセルロースラッカー塗料」を用いた塗装で、ギター界隈で「ラッカー」と言えばこのニトロセルロースラッカー塗料を指す。「アクリルラッカー塗料」という塗料もあり、こちらをギターの塗装に使う場合もあるが別物である。
基材となるラッカーをシンナー等の溶剤で溶かし、スプレーガンで吹き付ける。薄く吹いて揮発乾燥させ、硬化したらまた薄く吹く、これを繰り返すため塗装には時間がかかる。
ラッカー塗装の特徴
もうひとつのポピュラーな塗装方法であるポリウレタン塗装と比較すると、ラッカー塗装は乾くのに時間がかかることや、塗膜は傷に弱い、経年により変色やヒビ割れが起こるといった特徴がある。
エレキギターが誕生する以前からの塗装方法であり、言ってしまえば「古い塗装方法」で、経年変化によって色が変化したり、ヒビが入る、痩せるといった欠点がある。しかし、エレキギターの世界ではそういった経年変化がヴィンテージの風合いを醸し出すということで、むしろプラスの要素として受け入れられ、現代でも使われ続けている。
ウェザーチェック
塗膜が薄く柔らかいラッカー塗装は、気温や湿度の変化によって木材と塗膜に収縮や痩せが発生し、木材と塗料の収縮率の差によってヒビ割れが生じる。このヒビ割れは「ウェザーチェック」と呼ばれ、ギターの世界では「味」として好まれる傾向がある。
ラッカー塗装のメリット
- 薄い塗膜が鳴りを阻害しないため、音が良いと言われる。
- 変色やウェザーチェックがヴィンテージな風合いを出してくれる。
ラッカー塗装のデメリット
- 塗膜が弱く、傷が付きやすい。
- 光にあたると焼けて変色してしまう。
- 塗装に手間がかかるため、価格が高くなりがち。
- とてもデリケートで、取り扱いには注意が必要。
ラッカー塗装の手入れ・取り扱い
ラッカー塗装のギターは、他の塗装方法と比べて非常にデリケートなので、取り扱いや日頃の手入れには注意が必要となる。塗膜が柔らかいので、クロスで磨く際には強く押し付けたり、激しく磨くと傷が付いてしまうこともある。
ポリッシュやギタースタンドも「ラッカー対応」と書かれているものが推奨される。
スタンド等に立てかける場合、ゴム質に触れると反応して塗装が溶けてしまう。ゴム質の部分にスタンド用のカバーを取り付けるか、タオルやクロスなど柔らかい布を巻きつけるなどして、直接触れないように注意が必要。
ギター用壁掛けハンガー「壁美人」はラッカー塗装のギターに使えるのか?以下の記事で詳しく解説。