HSHとは
HSHは、エレキギターのピックアップ配列の一種。3つ並んだピックアップの「Humbucker(ハムバッカー)」、「Single(シングル)」、「Humbucker」の頭文字をとって「HSH」と呼ばれる。「ハムシンハム」と呼ばれることも。
ストラトキャスターから派生した「スーパーストラト(ディンキータイプ)」のギターに多く見られるピックアップ・レイアウト。
HSHのメリット
伝統的な3S(スリーシングル)のストラトに、ハムバッカーのリアピックアップを足したSSH、そこにさらにフロントにもハムバッカーを搭載した形と言えるのがHSH。SSHのメリットであるリアピックアップのパワフルなサウンドに加え、フロントピックアップでもパワフルで甘いサウンドを使うことができる。ツーハム配列にセンターのシングルピックアップをプラスしたという捉え方もできる。
HSH配列のギターでは、コイルタップを搭載しハムバッカーをシングルコイルのサウンドへと切り替えられるモデルも多い。単純に考えればフロントにハムとシングル(コイルタップ)、センターのシングル、リアのハムとシングル(コイルタップ)と5つのピックアップを搭載しているようなもので、さらに5ウェイのセレクターならそれらを組み合わせたハーフトーンも使えるので、全部で9種類ものバリエーション豊かなサウンドを1つのギターで楽しめるというわけだ。
バリエーション豊富なサウンドで、様々なジャンルに対応することができるというのが、HSHの大きなメリットだと言える。
HSHのデメリット
メリットだけを見ると、HSHはSSHよりもさらにサウンドのバリエーションも増えて万能な配列のように見えるが、必ずしもそうとは言えない。
SSHと同様、コイルタップできる場合であっても、そのシングルコイルのサウンドはあくまでも「シングルっぽいサウンド」であり、通常のシングルコイル・ピックアップと同じサウンドを求めてしまうと「違う」となる場合が多い。「基本はハムバッカー、おまけでシングルの音も出せたら」という感覚なら良いが、「基本はシングル、おまけでハムバッカーの音も出せたら」という考えだと失敗するかもしれない。
また、9種類のサウンドが楽しめるとはいうものの、実際にそれだけのバリエーションを使いこなせるのかという問題もある。
HSH配列を使っているギタリストとシグネイチャーモデル
スティーヴ・ヴァイ
Ibanezからシグネイチャー・モデルが多数発売されているスティーヴ・ヴァイ。そのいずれもがHSH配列となっている。
こちらは2020年にJEMシリーズ30周年を記念して作られた『PIA』
春畑道哉
TUBEのギタリストで、ソロでも活躍している春畑道哉。Fenderからシグネイチャーが発売されている。
ガスリー・ゴーヴァン
以前はSuhrからシグネイチャー・モデルを発売していたガスリー・ゴーヴァン。現在はCharvelからシグネイチャー・モデルが発売されている。
こちらはSuhr時代のシグネイチャー・モデル