JERSEY GIRL homemade guitarsとは
JERSEY GIRL homemade guitars(ジャージー・ガール)は、北海道旭川市に工房を構えるギターブランド。ルシアーの後藤和重氏と尾田亜紀子氏、ギターストラップ製作家の後藤えいこ氏の3人のチームで運営。
JERSEY GIRLの設立は1991年。以前は東京に工房を構えていたが、2012年頃に北海道に移転。ハンドメイドでギター、ベース、ピックアップ、エフェクターを製造。ブランド名に「ホームメイド」を冠しているように、単なるハンドメイドではなく、作り手の温もりを感じる「ホームメイド」にこだわっている。
公式サイト:JERSEY GIRL homemade guitars
Instagram:jghgdays
JERSEY GIRL homemade guitarsの特徴
JERSEY GIRL製のギターは、個性的なデザインが特徴。機械じかけのような精巧で美しいデザインは、他のどのギターメーカーとも類似しない高い独創性を放っている。ピックアップやピックガードもハンドワイヤリング(手作業で製造)されており、一般的なギターとは一線を画す。
キツネをモチーフにした「Kitz the Fox」。ピックアップがキツネを模した形をしている。
ギターのデザインに合わせた特別なエフェクターとストラップも製造している。
メイプルトップ、マホガニーネックの「Audrey-Louise Dreams About」。オリジナルハムバッカーを搭載。
パッチワークのような鮮やかなカラーリングの「Audrey-Mayberli」。6〜4弦は23フレット、2弦・1弦は24フレット。
ルシアーの尾田亜紀子氏。内部まで精巧に作られているのがわかる。
海外でも高い評価を得るJERSEY GIRL
ドイツ・ベルリンで開催されるギターの展示会「Holy Grail Guitar Show」での出展をきっかけに、海外でも知られるようになった。芸術性の高いデザインは海外でも高く評価されており、JERSEY GIRLの公式Instagramでは海外からも多数コメントがついている。
下記は「Holy Grail Guitar Show 2018」の映像だが、2014年から出展している。試奏動画が少ないため、JERSEY GIRL製ギターの音が聴ける動画は貴重。
エフェクターは入手可能だが、ギターは国内でもなかなかお目にかかれない。国内ではエフェクターメーカーとしての認知度が高いが、ホームメイドにこだわったギター工房である。
JERSEY GIRL製のエフェクター
JERSEY GIRLのエフェクターはハンドメイドで、同じ機種でも1台ずつカラーリングが異なる。塗装が剥がれやすいが、使い込むことでヴィンテージ感が増す。
現行モデル(2020年現在)は、「Fulltender」「Plusdriver」「middranger」の3機種。
- Fulltender
エッジ(高音域ブースト)とボトム(低音域ブースト)の切り替えが可能なオーバードライブ - Plusdriver
「Fulltender」にフルレンジブースター「Hustlemaker」を追加したモデル - middranger
中音域のみをブーストできるミッドレンジブースター
※「Hustlemaker」は廃盤
こちらは筆者が所有するJERSEY GIRLの「Plusdriver(左)」と「Fulltender(右)」。個人的な感想としては、耳障りの良いマイルドな歪みでありながら、音に艶があるのがJERSEY GIRLエフェクターの魅力。
エフェクターは東京に工房を構えるギターメーカー・Freedom Custom Guitar Researchでも扱っている。
Pedals & Amps /Jersey Girl Homemade Guitars - Freedom Custom Guitar Research
野村義男 × JERSEY GIRL
ギタリストの野村義男氏とJERSEY GIRLの後藤和重氏は20年以上の親交がある。
野村氏とJERSEY GIRLとの出会いは1995年、池袋で開催された楽器フェアでのこと。JERSEY GIRLが出展していた4弦フレットレス・ギターと6弦ギターのダブルネックが野村氏の目に止まる。
後藤氏に売り物ではないと断られたが、30分ほど粘って交渉して売ってもらえることに。野村はダブルネックのギターを持ち帰ったのち、調整していて気になる箇所があったので後藤氏に連絡。それ以来、様々なギターをオーダーする間柄になり、野村氏はライブでJERSEY GIRL製のギターをたびたび使うようになった。
野村義男のJERSEY GIRLコレクション
上記画像、左から順に(1)(2)(3)(4)
(1)「Rainmaker-Daidai 1995」
一番左の赤いダブルネックが野村氏が最初に買ったJERSEY GIRLのギター。
(2)「Rainmaker-Dingo 2001」
野村氏がオーダーしたマンドリンと6弦ギターのダブルネック。6弦ギターのピックアップはFender Electric XIIなどで使われているスプリット・タイプ(1〜3弦と4〜6弦側でピックアップが分離)。
(3)「Rainmaker-Race 2006」
エレアコとエレキのダブルネック。2007年のTHE GOOD-BYEのライブでアコギとエレキを一緒に弾く場面がありオーダーしたとのこと。
(4)「Audrey-ES850 2002」
野村が車の買い替えで愛車のボルボ 850を後藤氏に譲ったところ、その1年後に特別仕様のギターを作ってプレゼントしてくれた。モデル名に850採用している他、バインディングがボルボ 850のドアモール風に、ピックアップがフロントグリル(車のボンネットに付いている網や格子の部分)風にデザインされており、12フレットのインレイがボルボのマークになっている。
「Gauche katylot 2004」
メイプルトップが美しい7弦ギター。実は野村氏のものではなく、後藤氏の所有物。浜崎あゆみの『Humming 7/4』を弾くために借りたギター。半永久的に借りたままになっているそうだ。
「Puku 2011」
珍しい3弦ギター(6〜4弦)。山野楽器銀座本店で行われたJERSEY GIRLとFREEDOM CUSTOM RESEARCHの共催イベント「HARVEST」に出演するにあたってオーダーしたモデル。
野村氏は他にも、リットーミュージックの『ギターグラフィックVol.7(1997年)』の企画「ユーザーズ・オリジナル・オーダーメイド・システム」でJersery Girlが制作した「Guitar Graphic Special 1997」(所有者が売却したのをギターショップで発見して購入)などを所有している。合計7本のギターが野村氏のギター・コレクション本に写真・解説付きで掲載されている。
こちらはJERSEY GIRL製のエレキウクレレ(本誌未掲載)。ボディ下部にVOLVOのネジらしきパーツが見える。
JERSEY GIRLの公式サイトに掲載されているスペック。1ピックアップ(シングルコイル)仕様、スケールは440mm(ウクレレのテナーにあたる)。