ギタークラフト

【5弦ベース】指板サイズの調整とブロックポジションの埋め込み:ギタークラフト学校日誌(277)

5弦ベース用の指板にブロックポジションを接着したところ

前回はネックグリップの粗加工をしました。
今回は指板サイズの調整とブロックポジションの埋め込みをします。

↓前回作業

ベースギター用のネックにネックグリップをエコノミーサンダーで加工
【5弦ベース】ネックグリップの粗加工:ギタークラフト学校日誌(276)前回はペグ穴開けとヘッド厚の調整をしました。 今回はネックグリップの加工をします。 ↓前回作業 https://guita...

5弦ベース用の指板。無加工の状態。
5弦ベース用の指板

今回は21フレットを最終フレットにするので、22フレットの位置で切断します。
5弦ベース用の指板

パックリ。
5弦ベース用の指板

ツバ出しにするので、22フレットがネックエンドから飛び出す形になります。
22フレットで切断した5弦ベース用の指板

ホイールナットを取り付けるので、こんな感じになります。
5弦ベース用の指板とホイールナット

無加工のままだと指板幅が広いので、設計した寸法に合わせて指板幅を削ります。
5弦ベース用の指板幅を罫書き

幅が広いのでミシンノコで粗加工します。
罫書きが見えにくいのでマスキングを目安に削ります。
5弦ベース用の指板サイドをミシンノコを削っているところ

1.0mm〜1.5mm手前くらいまで削ったので、ここからは豆平鉋で罫書きのラインまで削っていきます。
5弦ベース用の指板

5弦ベース用の指板サイドを豆平鉋で削っているところ

豆平鉋で削ると左右に傾きやすいので、スコヤで直角が出ているか確認します。
5弦ベース用の指板サイドが直角になっているかミニスコヤで確認しているところ

スケールをあててストレートが出ているか確認。
5弦ベース用の指板サイドがストレートになっているかスケールで確認しているところ

豆平鉋だけでは完全にストレートを出すのは難しいので、豆平鉋で削るのは仕上げ線の0.2mm手前くらいで止めて、エコノミーサンダーで仕上げます。
5弦ベース用の指板サイドをエコノミーサンダーで削っているところ

今回の指板幅は0フレットの位置で46mm。
5弦ベース用の0フレットの指板幅をノギスで測っているところ

次はブロックポジションを埋め込みます。
今回は5弦ベースなので、学校にある4弦ベース用のブロックポジションだと小さいため、自作することにします。
4弦ベース用のブロックポジションの形をベースに、5弦ベース用に幅を広げます。
高音域側に行くにつれて段階的に幅が変わるように設計し、紙でサンプルを作ってみました。
5弦ベース用の指板

素材に罫書きをし、千枚通しで実線をかるくなぞって溝を作っておきます。
罫書きだけだとヤスリでまっすぐに削りにくいので、溝を作っておくことでラインを出やすくします。
ブロックポジション用の素材に形を罫書き

ミシンノコで切断。
ブロックポジション用の素材に形を罫書き

ブロックポジション用の素材をミシンノコで切断しているところ

つけておいた溝にチョークを塗ると溝が見えやすいです。
ブロックポジションの溝にチョークを塗り込む

鉄ヤスリで削ります。
ブロックポジションを鉄ヤスリで削っているところ

10個分削り終わりました。
5弦ベース用の指板とブロックポジション

指板の裏側に両面テープを貼り、真ん中に溝のある治具に固定します。
5弦ベース用の指板の裏側

通常はブロックポジションのザグリは治具を使って掘るのですが、今回は治具がないのでフリーハンドで掘ります。
5弦ベース用の指板にブロックポジション用のザグリをトリマーで掘っているところ

真ん中からぐるっと掘っていき、徐々に外側に広げていきます。
トリマーのビットの直径で削ろうとすると削れすぎてしまうので、ビットの半径ぐらいを使って少しずつ掘っていきます。
5弦ベース用の指板にブロックポジション用のザグリをトリマーで掘っているところ

ブロックポジションの素材の厚みが2mmなので、1.8mmくらいの深さで掘りました。
ただし、指板の厚みは均一ではないので、ポジションごとに微調整しながら掘る必要があります。
5弦ベース用の指板にブロックポジション用のザグリの深さをノギスで測っているところ

3フレットのザグリの位置をミスってしまいました、、、
アホなのか
5弦ベース用の指板にブロックポジション用のザグリ

ミスった箇所は先生に補修をしてもらいました。
間違って掘った箇所の縁をまっすぐに削り、同じ材でその形に合わせたパーツを作り、木工用瞬間接着剤で接着。
上面は高めに作ってあったので、サンダーで削って高さを整える。
ざっくり説明するとこんな感じの工程でした。
5弦ベース用の指板にブロックポジション用のザグリの補修

仕上げノミでザグリの形を整えるのですが、デザインナイフで縁に溝をつけておくと形を作りやすいです。
5弦ベース用の指板にブロックポジション用のザグリの形をデザインナイフで目印をつけているところ

仕上げノミでザグリの形を整えます。
5弦ベース用の指板にブロックポジション用のザグリの形を仕上げノミで整えているところ

5弦ベース用の指板にブロックポジション用のザグリの形を仕上げノミで整えているところ

隙間が空いている箇所がありますが、ザグリの形におさまりました。
5弦ベース用の指板にブロックポジションをはめこんだところ

ブロックポジションが指板面からどれくらい飛び出ているかも測っておきます。
ザグリが深くて沈み込みすぎているとブロックポジションが指板面よりも低くなってしまうので、底上げしないといけません。
ザグリが浅すぎるとブロックポジションの上面を削る量が多くなり、薄くなってしまうので、ザグリの底面を削る必要があります。
指板面から0.2mmくらい飛び出ているのが理想です。
5弦ベース用の指板にブロックポジションの高さをノギスで測っているところ

写真ではわかりづらいですが、このポジションはザグリが深めで、ブロックポジションの真ん中が指板面とほぼ同じくらいの高さになっています。
5弦ベース用の指板にブロックポジションをはめこんだところ

薄いプラバンをブロックポジションの底に貼って底上げします。
プラバン

ヤスリでプラバンを削って高さを調整。
プラバンを底面に貼ったブロックポジション

さっきよりも高さが出ました。
5弦ベース用の指板にブロックポジションをはめこんだところ

木工用瞬間接着剤をザグリに塗ります。
縁の近くに塗るとブロックポジションを押し込んだときに接着剤がはみ出るので、縁を避けて塗るほうがいいです。
5弦ベース用のブロックポジションのザグリに木工用瞬間接着剤を塗布したところ

接着できました。
5弦ベース用の指板にブロックポジションを接着したところ

飛び出ている部分を鉄ヤスリで削って落とします。
ベース用のブロックポジションの上面を鉄ヤスリで削っているところ

あとで指板すり合わせをするので、完全に指板とフラットにはしなくていいですが、指で触って少し段差があるなと感じる程度になるまでは高さを落としておきます。
5弦ベース用の指板に埋め込んだブロックポジション

ブロックポジションと指板の隙間はエポキシで埋めます。
エボニー材の粉を混ぜたエポキシ

エポキシの量が多すぎました、、、
あとで削る工程が増えてしまうので、隙間にしっかりエポキシが入っていれば、無駄に量を多くする必要はないです。
エボニー材の粉を混ぜたエポキシでベース指板とブロックポジションの隙間を埋めたところ

1日置いてエポキシが固まったら、仕上げノミで余分な部分を削ります。
5弦ベース指板のブロックポジションからはみ出たエポキシを仕上げノミで削っているところ

ある程度エポキシが削れたら、残りはすり板で取っていきます。
5弦ベース用の指板のすり合わせ

5弦ベース用の指板のすり合わせ

R確認治具でRを確認。
もともと400Rだったのですが、305Rになっていました。
ベースに関してはRの影響は少ないので305Rでも問題ないですが、R確認治具とすり板の精度に違いがあるとRが変わってしまうことがあるようです。
5弦ベース用の指板のRを治具で確認しているところ

ABOUT ME
稲垣 健太(ケンタトニック)
ギター辞典コード辞典ボイトレ・音楽用語辞典の運営者。

音楽関係の仕事の経験、ギター製作の経験、音楽教室に通った実体験をもとに、音楽に役立つ情報を発信。

■音楽歴
中学2年生の時にギターを始める
高校1年生の時にドラムを始める
関西外国語大学外国語で軽音楽部に所属し、ボーカル、ギター、ベース、ドラムを演奏
39歳からボイトレに通い始める
42歳でギタークラフトを始める
└2023年4月にギタークラフトの専門学校・ESPギタークラフトアカデミー大阪校(GCA)に入学
└ギター製作やリペアの専門技術・専門知識を習得中(2023年〜現在)
└ギター製作の経験をほぼ毎日日記で更新
ギタークラフト製作日記

■音楽関連の仕事歴
[2006〜2009年]
大手CD・レコード販売店でロック、ジャズの仕入・販売を担当。
[2011年〜]
フリーランスのWebライター・Webディレクターとして開業。
大手音楽教室からの委託でボイトレサイトの運営、ボイトレ記事の執筆・編集に携わる。

■音楽教室の通い歴
[1995〜2000年まで]
某大手ギター教室に通う
[1997〜2002年まで]
某大手ドラム教室に通う
[2020年〜現在]
某大手音楽教室のボイトレ・話し方コースに通い中
ESPギタークラフトアカデミーにて月3回プロギタリストによる演奏授業を受講

■愛機
Stilblu #036 / #039 /#099
g'7 special(g7-TLT Type 2S)
Nashguitars S-57
Tom Anderson(Drop Top Classic -Deep Tobacco Fade)
TMG Gatton Thinline
Fender Custom Shop 1956 Stratocaster NOS
Gibson USA Exclusive Model / Les Paul Standard 60s Honey Lemon Burst

所有ギター一覧

■製作したギター
ギタークラフトアカデミー第1作目:
ポリゴンライン
ギタークラフトアカデミー第2作目:
Stand-Alone
ギタークラフトアカデミー第3作目:
Thin-Marauder
ギタークラフトアカデミー第4作目:
Focus Point
ギタークラフトアカデミー第5作目:
Uroboros LP

■好きなバンド
U2、Sigur Ros、THE 1975、Mr.Children、the band apart、くるり、SIAM SHADE、VAN HALEN

■ブログ
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