ギタークラフト

【5作目】セットネック中子のネックジョイントの整形:ギタークラフト学校日誌(241)

ギターボディの上面をエコノミーサンダーで粗加工

前回はボディのアーチトップの粗加工をしました。
今回はネックをボディの中子の形に合うように整形します。

↓前回作業

片手ハンドルのルーターでギターボディにアーチトップの粗加工
【5作目】ボディのアーチトップの粗加工(ルーター→反り鉋で加工):ギタークラフト学校日誌(240)前回作業でセルバインディングの溝掘り(外セル+カスタムセル)ができたので、今回はアーチトップ加工をします。 ↓前回作業 ht...

まずはネックジョイントの角丸を作ります。
ネックジョイントの形を罫書きし、バンドソーで粗加工します。
底面はまだ切らず、ネックエンド(矢印の部分)のみ切り落とします。
ギターネックのジョイント部分

ネックエンドはもう実線あたりまで切り落としました。
ギターネックのジョイント部分

ネックエンドが角張っているので、ボディの中子のエンド部分の角丸に合わせます。
ギターネックのジョイント部分

ネックエンドの角に6Rで罫書き。
ギターネックのジョイント部分に角丸の罫書き

縦方向にも罫書きをします。
ギターネックのジョイント部分に角丸の罫書き

ネックエンドの角丸は先生にエコノミーサンダーで削ってもらいました。
次はネックジョイントの幅をボディの中子の幅に合わせます。
ネックエンドはボディの中子より少し広めに作ってあるので、今の時点ではすっぽり入りません。
なので、センター確認治具を貼ってボディの中子に合わせてみて、ネックジョイント側の削る部分を確認します。
ギターネックをボディにセッティング

サンドペーパーで軽く削って幅を調整します。
ギターネックのエンド部分をサンドペーパーで整形

ネックジョイントを少し削ったらボディの中子にはまりました。
ギターネックをボディにセッティング

ネックエンドはきっちり6R。
ギターネックをボディにセッティング

ヒール周りはまだ余分に長さを残しているので、この時点ではまだボディの中子との間には隙間があります。
ギターネックをボディにセッティング

次はネックジョイントの底面を仕上げます。
バンドソーで粗加工した後、ノミで仕上げ線の手前まで削っていきます。
ギターネックのジョイント部分をノミで加工

最後は#150のサンドペーパーで仕上げます。
ギターネックのジョイント部分をサンドペーパーで加工

ネックジョイントの底面があるていど仕上がったら、弦高を確認します。
チューン・O・マチックのブリッジ高は18mm。
まだ指板を貼っていないので指板厚6mm + 弦高3mm = 9mm足りない状態です。
なので、現状でチューン・O・マチックのブリッジ高18mm - 9mm(指板厚6mm+弦高3mm) = 9mmになっていればOKです。
写真の状態では13mmくらいなので、まだ高いですね。
セットネックギターのネック角を確認しているところ

ブリッジ弦高の他に、バインディング溝(外セルの溝)から指板トップまでの距離も測ってみます。
現状で7mmくらいあります。
外セルの高さが6mmなので、あと1mm弱は落としておきたいところ。
なので、ネックジョイントの底面をもう少し削ります。
セットネックギターのネックの高さを確認

ネックジョイントの底面を削って少しネックの高さが下がりました。
セットネックギターのネックの高さを確認

ある程度までブリッジ高と外セルと指板トップまでの距離が合ったら、ボディのアーチトップの削り残した部分の粗加工をします。
ネックをはめてみるとジョイント周りがかなり出っ張っているのがわかります。
ギターボディの上面をエコノミーサンダーで粗加工

赤枠の部分をエコノミーサンダーで削るのですが、難しい角度なので今回は先生にやってもらいます。
ギターボディの上面をエコノミーサンダーで粗加工

エコノミーサンダーで削り終わった状態。
これもまだ粗加工なので仕上げ線まではいってません。
ギターボディのジョイント周り

ネックを合わせてみるとちょっと段差が残っているのがわかります。
とりあえずはこの状態で他の加工を進めます。
ギターボディのジョイント周り

ブリッジ高はこんな感じ。
まだ9mmまで下げていないですが、これもこの状態で次の加工に進むとします。
セットネックギターのブリッジ高を確認しているところ

次はジョイント周りの余分な部分を落としていきます。
赤枠の部分を削るのですが、左右で削り残した幅が異なります。
ギターボディのジョイント周り

左右それぞれ、ジョイント部分とボディとの距離を測り、どちらに合わせて削るべきか確認します。
ギターボディのジョイント周り

罫書きをし直したら、仕上げ線にデザインナイフで切れ込みを入れます。
ギターネックのジョイント部分

切れ込みを最終ラインとして、ノミ(今回は叩きノミ大を使用)で余分な部分を削り取ります。
ギターネックのジョイント部分を叩きノミで削っているところ

削る範囲が広く残っている場合は、ノミで削る前にノコギリで切ってもOK。
ギターネックのジョイント部分をノコギリで削っているところ

ヒール部分も余分があるので、ここも削ってしまいます。
ギターネックのジョイント部分

これも仕上げ線にデザインナイフで切れ込みを入れてからノミで削ります。
ギターネックのジョイント部分を叩きノミで削っているところ

ノミで削ったら、#150のサンドペーパーで微調整をします。
ギターネックのジョイント部分をサンドペーパーで磨いているところ

写真ではわかりにくいですが、ジョイント周りが全体的に少し隙間があります。
一箇所だけ接触していて他の箇所が浮いていれば、接触している箇所を削ればよいのですが、全体に浮いている場合は目に見えない箇所(内側)が当たっている可能性があります。
ギターのネックジョイント周り

なので、そういうときは内側(下側)だけ削ります。
平行に削っているようでも外側は削れやすく、内側(下側)は削れにくいので。
ギターネックのジョイント部分を叩きノミで削っているところ

ジョイント周りを削っていくと、ボディの中子との距離(赤枠の部分)が狭まっていきます。
まだ少し余裕がありますが、削りすぎると中子のエンドにネックが当たってしまい、ジョイント周りを削っても隙間が埋まらなくなります。
なので、ボディの中子との距離も見ながらジョイント周りを削っていきます。
セットネックギターの中子

ほんの少しジョイント周りの角に隙間がありますが、先生には合格点をもらったので、これでOKとします。
ギターのネックジョイント周り

こっち側は隙間なくぴったり。
ギターのネックジョイント周り

正面から見てもジョイント周りはぴったり合っています。
ギターのネックジョイント周り

次は先程エコノミーサンダーで削ったボディ上面あたりを加工します。
指板の側面に沿って指板のラインを罫書きします。
ギターボディのジョイント周りに指板の形を罫書き

赤枠の部分が罫書きをした部分です。
この罫書きの内側は指板が乗る箇所、つまり平面を維持しなければならない箇所です。
ギターボディのジョイント周りに指板の形を罫書き

下記写真の赤枠の部分を反鉋で削ります。
上側の赤枠はピックアップ周りに少し角が残っているので、少し削って角を取ります。
下側の赤枠は段差になっている部分をなくすのと、スイッチ穴周りにある角を取ってしまいます。
ギターボディを反り鉋で削っているところ

段差と角がなくなり、だいぶ傾斜が滑らかになりました。
まだ粗加工の段階なので、段差と角が取れればOKです。
反り鉋で削ったあとのギターボディ

だいぶレスポールらしくなってきました。
いいですね。
今回はここまで。
ネック接着前のセットネックギター

ABOUT ME
稲垣 健太(ケンタトニック)
ギター辞典コード辞典ボイトレ・音楽用語辞典の運営者。

音楽関係の仕事の経験、ギター製作の経験、音楽教室に通った実体験をもとに、音楽に役立つ情報を発信。

■音楽歴
中学2年生の時にギターを始める
高校1年生の時にドラムを始める
大学で軽音楽部に所属し、ボーカル、ギター、ベース、ドラムを演奏
39歳からボイトレに通い始める
42歳でギタークラフトを始める
└2023年4月にギタークラフトの専門学校・ESPギタークラフトアカデミー大阪校(GCA)に入学
└ギター製作やリペアの専門技術・専門知識を習得中
└ギター製作の経験をほぼ毎日日記で更新
ギタークラフト製作日記

■音楽関連の仕事歴
[2006〜2009年]
大手CD・レコード販売店でロック、ジャズの仕入・販売を担当。
[2011年〜]
フリーランスのWebライター・Webディレクターとして開業。
大手音楽教室からの委託でボイトレサイトの運営、ボイトレ記事の執筆・編集に携わる。

■音楽教室の通い歴
[1995〜2000年まで]
某大手ギター教室に通う
[1997〜2002年まで]
某大手ドラム教室に通う
[2020年〜現在]
某大手音楽教室のボイトレ・話し方コースに通い中
ESPギタークラフトアカデミーにて月3回プロギタリストによる演奏授業を受講

■愛機
Stilblu #036 / #039 /#099
g'7 special(g7-TLT Type 2S)
Nashguitars S-57
Tom Anderson(Drop Top Classic -Deep Tobacco Fade)
TMG Gatton Thinline
Fender Custom Shop 1956 Stratocaster NOS
Gibson USA Exclusive Model / Les Paul Standard 60s Honey Lemon Burst

所有ギター一覧

■製作したギター
ギタークラフトアカデミー第1作目:
ポリゴンライン
ギタークラフトアカデミー第2作目:
Stand-Alone
ギタークラフトアカデミー第3作目:
Thin-Marauder


■好きなバンド
U2、Sigur Ros、THE 1975、Mr.Children、the band apart、くるり、SIAM SHADE、VAN HALEN

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