ジャパンヴィンテージとは?
ジャパンヴィンテージは、主に日本のギターメーカーが1970~80年代に販売したギターを指す。それよりも古い日本製ギターもジャパンヴィンテージと呼べるが、特に国内メーカーが力を入れて作っていた1970年後半〜80年代前半にかけてのギターを指すことが多い。ジャパンビンテージと表記されることも。
2003年にシンコーミュージックが1970年代の国産ギターを取り上げた『ジャパンヴィンテージ Vol.1』を出版したのをきっかけに、ジャパンヴィンテージという呼称が広まったとされる。
ヴィンテージの意味
「Vintage(ヴィンテージ)」は、もともと「(ワインに使う)ブドウの収穫年」を指す言葉。現在は、「豊作の年に醸造した高級ワイン」という意味で使うことが多い。
ワイン以外で使う際は、「古くて価値のある」「年代物の」といった意味で使われる。ヴィンテージの定義は製品によって異なり、何年経てばヴィンテージになるというハッキリとした定義はないが、「生産が終了している」ことがひとつの条件となる(後継シリーズが生産されているケースもあるが、当時のモデルが生産終了している製品)。
ギターの場合は、国産に限らず古くて価値のあるギターを「ヴィンテージギター」と呼ぶ。ヴィンテージの定義が難しいが、1980年以前(主に50年代、60年代、70年代)のギターを指すことが多い。
ジャパンヴィンテージの歴史
1970年代、Greco(グレコ)、TESCO(テスコ)、YAMAHA(ヤマハ)、Tokai(東海楽器)、FERNANDES(フェルナンデス )、Aria(アリア)といった国内メーカーが、フェンダー・ストラトやギブソン・レスポールといったモデルを精巧にコピーし、国内で販売を始める。当時のフェンダーやギブソン製のギターは高価で手に入りにくくかったため、国産メーカーがコピーモデルやオリジナルモデルを販売するようになった。
YAMAHAのSGシリーズなど現在も生産が続いている機種もあるが、1970〜80年代はじめにかけて発売されていたモデルはジャパンヴィンテージと呼ばれる。フェンダーやギブソンのヴィンテージギターと比べると安価であること、海外製のギターにはない独自のデザインのモデルもあることから、ジャパンヴィンテージを求める人も多い。
ビザールギター
古いギターの中には、ビザールギターと呼ばれるものがある。ビザールギターは、個性的な形状のギターを指す。「Bizarre(ビザール)」は、「奇妙な」「変な」という意味の言葉。その言葉のとおり、「変な(形の)」ギターを指す。
ジャパンヴィンテージの中には、ビザールギターと呼ばれる独創的なギターも多い。1970〜80年当時、フェンダーやギブソンといった大手のギターメーカーに対応するため、国産メーカーは独創的な形のギターを生み出した。海外にもビザールギターはあるが、ジャパンヴィンテージ、かつビザールギターのモデルが多い。
後ほど紹介するTEISCOのSpectrumシリーズなどの特殊な形状をしたモデルがビザールギターと呼ばれる。
代表的なジャパンヴィンテージ
Greco(グレコ)- EGシリーズ
型番に「EG」がつくEGシリーズは、1970年代にGrecoが製造していたレスポールのコピーモデル(1980年にギブソンから提訴されるまで製造)。「EG1000R」は最上位モデルで、レスポールカスタムをコピー。ヘッドのインレイまで精巧にコピーしていた。
入荷しました!
Greco EG1000R
ピックアップカバー外されていますが、ちゃんとU-3000が2発搭載されております。
整備完了次第デビューします!#Greco #グレコ #ジャパンヴィンテージ #うつぼ pic.twitter.com/rR25JRAKRI— うつぼ楽器 (@utsubo0021) June 18, 2017
TEISCO(テスコ)- Spectrumシリーズ
TEISCOは、1985年頃まで存在した日本のギターメーカー。Spectrumシリーズは60年代はじめに日本で起こった第一次エレキギター・ブームで人気を博したモデルで、1990年以降に復刻モデル(リイシュー)が販売されるなど今なお高い人気を誇る。
独特の形状とカラフルなスイッチが目を引く「Spectrum 5」
レインボースイッチが目を惹く伝説の銘器"Spectrum 5"の中古が入荷しました!!
Teisco/Spectrum 5 Blue/R/中古/¥ 158,000/状態:A https://t.co/B1VlwB14C1 pic.twitter.com/bO9hzmNleD— デジマート (@digimartnet) November 21, 2016
リイシュー版の試奏動画
Tokai(東海楽器) - LSシリーズ
ギブソン・レスポールを細部まで再現したTokaiの「LSシリーズ」。現在も製造されているシリーズで、1970〜80年代のモデルはジャパンヴィンテージとして人気が高い。
【新着楽器|クローズアップ!】
■Tokai LS-120 ”Reborn OLD" 1980年製
ネジ1本に至るまでも再現したレスポール・レプリカ! 超人気のレア・モデル!
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こちらはTokaiが1980年前半に製造していた「Tokai breeyzy sound」。ロゴをよく見ると、フェンダーの「スパゲティロゴ」と酷似している。フェンダのロゴと見間違えてもおかしくない。さすがに似すぎてフェンダーからお叱りを受け、以降はロゴデザインが変更されたそうだ。
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— 紫煙21@NoMusicNoLife (@power20purple) November 19, 2016
YAMAHA - SGシリーズ
YAMAHAの代表的なモデルで、現在も製造されている「SGシリーズ」。ギブソン・SGを想起させるデザインと名称のモデル。こちらは1983年製のジャパンヴィンテージ「SG1000」。
今でも評価されているジャパンビンテージのヤマハSG!!
コイルタップで様々なサウンドメイクを実現したモデルです!!
YAMAHA/SG1000 -Brown Burst- 1983年製/ビンテージhttps://t.co/aUwt5JIdu8 pic.twitter.com/X1dl12NCer— デジマート (@digimartnet) September 1, 2017
ビザールギターでもあるYAMAHAの「SG-3」。
YAMAHA初のソリッドエレキギターとしてデビューしたSG-3!初年度66年製の入荷です!!
YAMAHA/SG-3 Sunburst 1966/ビンテージhttps://t.co/ZZgSbAVV4z pic.twitter.com/SDmXZjkHF2— デジマート (@digimartnet) September 22, 2017
Guyatone(グヤトーン)- LG1000
Guyatoneは2013年まで存在した日本の楽器メーカー。こちらの「LG-1000 Standard "Glory"」はジャパンヴィンテージの中でも希少なモデルで、なかなかお目にかかれない。
滅多に市場には出回らないGuyatoneのGlory/LG-1000が入荷!!
非常に状態が良く、演奏性も良好。
ピックアップが素晴らしく、サウンドはワイドレンジでクリーンがとにかく気持ちいい!!
ルックスもとてもオリジナリティあふれる格好良いギターです👍https://t.co/3FUyVHtHUv pic.twitter.com/z9EAvvAdIF— イシバシ楽器新宿店 (@1484_shinjuku) February 8, 2019
Guyatoneはビザールギターでも有名で、安価な価格で手に入るモデルも多い。
【中古速報】近年になって再び脚光を浴びつつあるジャパンヴィンテージの雄、1960年代Guyatone製のビザール・ギター!Guyatone LG-65T 1960年代製 ¥27,000https://t.co/2KH9bXHUfi pic.twitter.com/9JDjfvRcuR
— AVガレージ楽器店 入荷速報 (@AVGARAGE) November 24, 2017
GuyatoneのLG-65Tの試奏動画
H.S.Andersonの「Mad Cat」
H.S.Anderson製の「Mad Cat」は、海外でも人気の高いジャパンヴィンテージ。H.S.Andersonの「Mad Cat」は、ESPの創設者である椎野秀聰(しいの ひでさと)氏がモリダイラ楽器と共同で製造していたギターモデル。
Prince(プリンス)が映画『Purple Rain』で使用し、愛用したことで世界的に有名になった。今なお根強い人気を誇るジャパンヴィンテージ。H.S.Andersonのブランドは消滅したが、モリダイラ楽器が復刻版を販売している。
Mad Catについて詳しくは以下の記事で。
Mad Catの試奏動画
ジャパンヴィンテージの価格
フェンダーやギブソンのヴィンテージギターは50〜100万円と高価である場合が多い。対してジャパンヴィンテージは、大手メーカーのヴィンテージギターと比べると価格は抑えめ。希少性やコンディションにもよるが、安いものだと5万円前後で手に入るものも。
ジャパンヴィンテージのクオリティに関してはモデルやコンディションによるが、賛否両論があり一概に良いとも悪いとも言えない。精巧に作られたコピーモデルもあるので、状態の良いジャパンヴィンテージを探すのもひとつの楽しみ方である。フェンダーやギブソンのヴィンテージギターは高価なので、手頃な値段のジャパンヴィンテージを探してみるのもいいかもしれない。