重奏(じゅうそう)とは
- 【読み方】じゅうそう
- 重奏は、各声部を1人ずつの楽器奏者が担当して演奏する形態、およびその音楽を指す。
→声部の解説 - 楽器の数に合わせて二重奏、三重奏、四重奏、五重奏と呼ぶ。
- 重奏は「アンサンブル(ensemble)」の形態のひとつ。
※「アンサンブル(ensemble)」はフランス語で「一緒に」という意味で、重奏のほか、合奏、合唱、重唱など音楽において2人以上が同時に演奏することを指す。
- 一人の奏者による演奏は「独奏(どくそう)」という。
- 楽器ではなく、複数に分かれた声部をそれぞれ一人ずつの歌い手が受け持って歌う形式は「重唱(じゅうしょう)」という。
重奏と合奏の違い
合奏は、2つ以上の楽器で一つの曲を演奏することを指す演奏形態。重奏と異なり、各声部を複数の奏者が担当する。
重奏と合奏を混同して使われることがあるが、厳密に言えば、重奏では各声部を受け持つ演奏者は一人ずつであるため、合奏とは少し形態が異なる。
合奏の詳しい解説はこちらの記事で。
重奏の編成の種類
二重奏(にじゅうそう)
2種類、または2個の独奏楽器で演奏する室内楽の形態。デュエットやデュオとも呼ぶ。
2つの独奏楽器に加え、伴奏楽器がつくこともある。その場合、伴奏楽器を演奏者の数に入れないのであれば二重奏、数に入れるのであれば三重奏と呼ぶ。
三重奏(さんじゅうそう)
3種類の独奏楽器による重奏の形態。ピアノ・ヴァイオリン・チェロによるピアノ三重奏のほか、ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロによる弦楽三重奏など。トリオとも呼ぶ。
四重奏
4つの独奏楽器による重奏の編成。ヴァイオリン2本(第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン)・ヴィオラ1本・チェロ1本による弦楽四重奏のほか、ピアノ四重奏、フルート四重奏、オーボエ四重奏など。カルテットとも呼ぶ。
五重奏
五つの声部から成る独奏楽器の合奏。弦楽四重奏にい、弦楽器、管楽器、ピアノなどを一声部加える。クインテット。
弦楽五重奏、管楽五重奏、クラリネット五重奏、ピアノ五重奏など。
弦楽三重奏
ヴァイオリン1本・ヴィオラ1本・チェロ1本の3つの弦楽器の編成で演奏される重奏の編成。
弦楽四重奏
ヴァイオリン2本(第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン)・ヴィオラ1本・チェロ1本の4つの弦楽器による重奏の編成。
一八世紀後半、数多くの弦楽四重奏曲を作曲し、「弦楽四重奏曲の父」と呼ばれたフランツ・ヨーゼフ・ハイドンがこの編成を完成させたとされる。ハイドンと同時期に活躍したイタリア出身の作曲家・チェロ奏者のルイジ・ボッケリーニも数多くの弦楽四重奏曲を作曲している。
弦楽五重奏
弦楽四重奏の編成にヴィオラを1本追加、またはチェロを1本追加した重奏の編成。
ヴァイオリン2本・ヴィオラ2本・チェロ1本の編成、またはヴァイオリン2本・ヴィオラ1本・チェロ2本の編成による重奏が一般的。ヴァイオリン2本・ヴィオラ1本・チェロ1本・コントラバス1本の編成の場合もある。
弦楽六重奏
ヴァイオリン2本・ヴィオラ2本・チェロ2本の6つの弦楽器による編成の重奏の形態。弦楽四重奏にヴィオラとチェロを2本ずつ加えた編成。
ピアノ三重奏
ピアノ・ヴァイオリン・チェロの3つの独奏楽器による重奏の形態。ピアノ3台による編成ではない。弦楽器2本とピアノ伴奏や、管楽器2本とピアノ伴奏の編成の場合、二重奏と呼ばれることも。
ジャズのピアノ・トリオの場合、ピアノ・ドラム・サックス、ピアノ・ドラム・クラリネット、ピアノ・ドラム・ウッドベース、ピアノ・ドラム・ギターなど、さまざまな編成の重奏の形態がある。
ピアノ四重奏
ピアノ・ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロの4つの独奏楽器による重奏の形態。ピアノ三重奏にヴィオラが加わった編成。
ピアノ五重奏
弦楽器四重奏にピアノが加わった重奏の形態。ピアノ+4個の独奏楽器による編成。
木管五重奏
フルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットの木管楽器による重奏。
金管五重奏
トランペット、ホルン、トロンボーン、チューバ、ピッコロトランペット、コルネット、フリューゲルホルン、ユーフォニアムなどの金管楽器による重奏。