カラオケの採点画面の「しゃくり」という表示を見たことがある人は多いでしょう。実はこのテクニックを適切に使えると、歌唱に表情がついて自然に上手く聞こえるうえ、採点でも加点対象になります。
ただし、どんな場面でも使えば効果的というわけではなく、多用しすぎると不自然に聞こえたり減点につながったりすることもあります。本記事では、しゃくりの基本や採点との関係、効果的な使い方を解説しますので、歌の完成度を高めたい人はぜひ参考にしてください。
カラオケ採点項目の「しゃくり」とは?
カラオケ採点で「しゃくり」は、音程の表現力を評価する項目のひとつです。音を下からすくい上げるように発声することで、曲に抑揚や感情をプラスできるとされます。
ここでは、基本的な意味や採点システムでの評価基準、似ている歌唱テクニックとの違いを整理していきます。
「しゃくり」の音楽的な意味

「しゃくり」とは、本来の音程よりも少し低い位置から声を出し、なめらかに目標の音に到達する歌唱法です。音をすくい上げるように聴かせるため、歌に温かみや臨場感が生まれます。
特にバラードやフォークソングといったストレートに感情を歌うような楽曲において、効果的に使われることが多く、表現力を引き立てる技法として知られています。
採点システムで「しゃくり」が評価される理由
歌の中に「しゃくり」を取り入れることで、音程をただ真っすぐ歌うよりも、「自然な抑揚がある」と判断するためです。
そもそもカラオケの採点システムは、単に音程が合っているかだけでなく、表現力や歌唱のニュアンスも点数化します。その中で「しゃくり」は、感情を込める表現方法として高く評価されやすい項目なのです。
「しゃくり」と似ている歌唱テクニックとの違い
「しゃくり」は他のテクニックと混同されやすいため、違いを理解することが大切です。
フォールとの違い
フォールは、高い音から低い音に滑らかに落とす表現で、しゃくりとは音の流れが逆です。しゃくりは下から上へ音をすくうのに対し、フォールは上から下に落とす動きになります。
フォールについては以下の記事で詳しく解説しています。

ビブラートとの違い
ビブラートは、同じ音程を保ちながら声を小刻みに揺らす技術です。
しゃくりのように音程を移動させるのではなく、安定した音を揺らして響きを豊かにします。両者を組み合わせるとより表情豊かな歌唱が可能です。
こぶしとの違い
こぶしは演歌で多用される技法で、短い音程変化を素早く繰り返して歌に装飾を加えるものです。しゃくりは一度の音程変化で自然な盛り上がりを作るのに対し、こぶしは細かい上下動を伴う点が異なります。
カラオケで「しゃくり」を使うときのポイント
しゃくりは適切に使えば曲に深みを与えられますが、使い方を誤ると不自然に聞こえたり、採点に悪影響を与えたりすることがあります。ここでは、効果的に使う場面や注意点を整理します。
しゃくりが効果的に聞こえる場面
しゃくりは効果的な場面に取り入れることで、聴き手に感情を伝えやすくなります。
フレーズの入り(サビやAメロの冒頭)
サビやフレーズの始まりにしゃくりを入れると、歌全体が力強く聞こえます。特にサビ冒頭で音をすくい上げると、自然に盛り上がりが作れるためおすすめです。
バラードや感情を込めたい部分
バラードのように感情表現が重視される曲では、しゃくりが非常に効果的です。感情の高まりを声に乗せるイメージで使うと、聴き手に響きやすくなります。
しゃくりを多用しすぎないコツ
しゃくりは加点要素とはいえ、入れすぎると単調になったり、不自然に感じられる原因になります。特にアップテンポの曲で頻繁に使うと、曲のリズム感を崩す恐れがあります。使う回数を絞り、メリハリをつけることが大切です。
採点で「しゃくり」を狙うときの注意点
採点を意識しすぎてしゃくりを無理に入れると、歌がぎこちなくなることがあります。また、しゃくりを入れる位置が常に同じだと機械的に見なされ、点数が伸びにくい場合もあります。自然な表現を心がけることが、結果的に高得点につながる近道です。
しゃくりを入れるときの効果と注意点まとめ
効果的な場面 | 不自然になりやすい場面 | ポイント |
---|---|---|
フレーズの冒頭 | すべての音に入れる | メリハリをつける |
バラードなど感情を込める個所 | テンポの速い曲 | 曲調に合わせて使う |
サビの盛り上がり部分 | 採点を意識しすぎて入れる | 自然な流れを意識する |
「しゃくり」を使いこなすための練習方法
カラオケで安定して「しゃくり」を出すには、感覚だけに頼らず段階的に練習することが大切です。まずは基礎的な発声で音程の動きを身につけ、その後で実際の曲に取り入れる流れがおすすめです。ここでは、基本の練習から応用のトレーニングまで紹介します。
基本の練習①:半音をすくい上げる(ピアノやアプリを使う)
しゃくりは「低い音から狙った音へすくい上げる動き」です。
ピアノやスマホの音階アプリで、例えば「ド♯」を出す前に「ド」を短く発声し、そのまま音をなめらかに上げる練習を行います。正しい半音の幅を意識することが安定したしゃくりにつながるため、音階を確認しながら繰り返しましょう。
基本の練習②:低い音からなめらかに音程を上げる
特定の半音だけでなく、少し広めの音程差を使った練習も効果的です。
「ラ」から「ド」へ移るように、2~3音の幅をすくい上げることで、自然な滑らかさを出す感覚を磨けます。音を急激に変えず、声を連続的に移動させることを意識すると実際の歌でも応用しやすくなります。
実際の曲での練習①:バラード曲でしゃくりを入れてみる
しゃくりの効果が出やすいのはバラードです。
Aメロやサビの入りに少しだけしゃくりを取り入れると、感情が強調されて聴き手に伝わりやすくなるのを実感できます。まずは自分の好きなバラードを選び、1フレーズごとにしゃくりを試すと練習がしやすいです。
練習②:採点機能でしゃくりの回数をチェックする
多くのカラオケ機種では、歌唱後に「しゃくり」の回数が表示されます。
練習の成果を客観的に確認できる便利な機能なので、回数や成功率を意識しながら歌ってみましょう。ただし、数を増やすことだけが目的ではなく、自然に聞こえるかどうかも録音してチェックするのが効果的です。
しゃくりを安定させるトレーニング①:腹式呼吸で声を安定させる
しゃくりを安定して出すには、呼吸の支えが欠かせません。
腹式呼吸を意識し、息をコントロールしながら声を響かせる練習を取り入れましょう。声が安定することで、しゃくりの音程移動もなめらかになります。
しゃくりを安定させるトレーニング練習②:声帯を締めすぎずリラックスして練習
しゃくりを無理に入れようとすると、声帯に力が入りやすくなります。
喉の力を抜いて、リラックスした状態で音をすくい上げることが重要です。あくびのように喉を開く感覚で声を出すと、自然なしゃくりを再現しやすくなるでしょう。
おわりに
しゃくりは、歌に深みや感情を加える便利なテクニックです。
基本の意味や仕組みを理解し、使いどころを意識すれば、カラオケの採点アップや歌唱力の向上につながります。ただし、多用しすぎると逆効果になりかねないため、自然さを大切にすることがポイントです。日々の練習を通じて少しずつ身につければ、点数だけでなく聴き手に伝わる表現力も磨かれていくでしょう。