自宅で大音量でギターを弾きたい!というのは誰もが考えることでしょう。
大きな音が出ると近隣への迷惑がかかってしまうし、トラブルに発展する心配もありますよね。特にマンションなどの集合住宅ともなれば、大音量でギターを楽しむというのは不可能に近いです。
かと言って、毎日スタジオに通って練習するのはお金がかかりますし、小さい音での練習は練習にならないという問題もあります。
この記事では、賃貸マンションなどの自宅で快適にギターを練習するための防音・騒音対策について紹介します。
環境面での防音対策
理想は防音室の導入ですが……
結論から言ってしまえば、防音室を導入するのが確実かつ効果も高く、大音量でギター演奏を楽しむことができます。持ち家なら防音室へのリフォーム、賃貸マンションでも室内に設置できるタイプの防音室が販売されているので導入することは可能です。


しかし、こういった防音室の導入は理想的ではあるもの、価格面や設置場所など非常にハードルが高く、「気軽にできるならとっくにやってるよ…」という方がほとんどでしょう。
そんなわけですから、ある程度気軽に導入できる防音対策を考えてみたいと思います。
壁の防音対策
騒音による近隣トラブルで最も多いのは、やはり「隣の部屋」「隣の家」です。隣の部屋へと音が漏れるのを防ぐためには、壁に防音壁や防音パネル・吸音材・遮音シートといった防音対策を施すのが効果的です。
賃貸マンションの場合、壁に傷をつけずに設置できるかどうかは必ず確認しておきましょう。

お金をかけずに、家にあるもので手軽に壁の防音対策をしたいなら、ダンボールを壁に貼るのも効果的です。ダンボールは中に空気の層がることから吸音効果が期待でき、サイズや形も調整しやすい手軽な対策に使えます。
ただし、高い効果が期待できるわけではないので、あくまでも本格的な対策のつなぎ等として活用しましょう。
床の防音対策
部屋が1階であれば不要となりますが、2階以上なら床の防音対策も検討しましょう。
ギターの場合、床面に設置して演奏するドラムやピアノといった楽器と比べれば、下の階への振動や音の伝わりは少なく、壁の防音対策よりは優先度は低くなります。
しかし、もちろん下の階へ音が響いてトラブルになるケースもありますので、対策をしておくのが安心ですよね。
床の防音対策には、防音マットを敷き詰めるのが効果的ですが、カーペットを敷くだけでも効果があります。厚みがあり密度の高いカーペットならより防音効果も期待できますね。
窓の防音対策
部屋の外への音漏れは、窓の部分が大きなポイントとなります。最近の賃貸物件であれば二重サッシになっている窓も多いかと思いますが、古い物件だと二重になっていない窓も多いでしょう。
賃貸の窓を二重サッシに交換するのは難しいので、自分でできる対策というと防音カーテンを取り付けるのが良いでしょう。
厚手のカーテンであれば、防音だけでなく遮光や断熱といった効果も期待できるので、快適な生活にもつながり一石二鳥ですね。

防音性の高い物件への引っ越しを検討するなら
そもそも防音性の低い家に住んでいる場合だと、自力でいろんな対策をしても焼け石に水という可能性も高いですよね。
いっそのこと防音性の高い賃貸物件へと引っ越してしまうというのも一つの方法です。
木造や鉄骨より鉄筋コンクリート造
防音性の高い物件探しでまず重要視したいのは、「鉄筋コンクリート造」の物件かどうかです。
鉄筋コンクリート造は、鉄筋とコンクリート製の柱と壁の間にコンクリートが流し込まれており隙間が少ないため気密性が高く、防音性も比較的高くなっています。
一方で木造や鉄骨造の場合は柱と壁の間に隙間ができてしまうため、防音性が低くなってしまいます。
古い物件や家賃の安い物件だと木造や鉄骨造の場合が多いので、物件探しの際には「鉄筋コンクリート造」で絞り込むと良いでしょう。
ただし、鉄筋コンクリート造なら完全に防音できるわけではないので、あくまでも「他と比較して防音性が高い」とだけ考えておきましょう。
角部屋、1階・最上階など物理的な距離がある部屋
防音性の高さだけでなく、物理的に他の部屋との距離がある、あるいは壁の向こうに部屋が無い物件を選ぶという考え方もありますね。
角部屋の角にあたる場所で音を出すのであれば、同じフロアで隣接する部屋については音の影響は小さくなるでしょうし、最上階であれば上の部屋が無い分、1階であれば下の部屋が無い分だけ上下への防音対策については考える必要が無くなります。
二重サッシの窓
築年数の浅い最近の賃貸物件であれば、窓は二重サッシになっている場合も多いかと思います。
一重のみの窓と比べると外へと伝わる音は大きく軽減されますし、防音性だけでなく断熱効果も期待できるので、暮らしの快適性やギターのコンディション維持という観点でも窓が二重サッシになっているかどうかはチェックしておきたいポイントですね。
管理規約を確認(楽器可の物件等)
上記のような防音性の高さや条件が揃っていたとしても、マンション側が楽器演奏を認めていないケースもあります。
マンションには管理規約というものがあり、この管理規約によっては楽器演奏についてのルールが定められています。
マンションによっては、そもそも楽器演奏が禁止されている場合もありますし、演奏していい時間帯が決まっていたり、楽器の種類や音量などに制限が設けられているケースもあります。
「楽器演奏可」や「楽器演奏相談可」などが書かれている物件に絞って選ぶか、書かれていない場合は問い合わせて確認しておきましょう。
中には、音大生の方などに向けた防音性能を高めた物件も存在します。家賃は高くなりますが、気兼ねなく演奏を楽しみたいなら検討する価値はあるでしょう。
ギター自体の防音に役立つアイテム・グッズ
壁や床など環境面での防音対策は、出た音を周囲へと伝わらないようにする対策ですが、ギター自体から出る音そのものを小さくするためのアイテムを活用するのも効果的な方法です。
エレキギターの場合であれば、ヘッドホンを使えばアンプから出る音は無くすことができますが、アコースティックギターの場合そうもいかないのと、エレキギターであっても弾いた時の生音はそれなりに大きな音が出てしまいますので対策が必要となります。
サイレントギター
ヤマハのサイレントギターは、アコースティックギターの10%程度の音量とされている生音が小さいことが特徴のギターで、アンプにつなぎヘッドホンで楽しみつつ、周囲に聴こえる音を気にしなくても良いというメリットがあります。
サイレントピック
サイレントピックは非常に薄くて柔らかく作られたピックで、音量を抑えて練習することができるピックタイプの弱音器とも言えるアイテム。
通常のピックの2分の1程度の音量に抑えられるとしており、防音効果は抜群。
ただし、通常のピックとは演奏の感覚が異なるため、サイレントピックでの練習に慣れすぎてしまうと通常のピックでの演奏に支障をきたす可能性もある点には注意が必要。


弦消音パッド
アコースティックギターの弦の振動を抑えるアイテムも効果的。「弦消音パッド」や「ギターサイレンサー」「弱音器」などと呼ばれるシリコンゴムをブリッジ付近に取り付けることで弦振動を抑制するという防音グッズです。
このアイテムも前述のサイレントピック同様、演奏時の感覚が通常と変わってしまうため、この状態に慣れすぎてしまうのは良くありません。左手の運指の確認などに活用するのがおすすめです。

サウンドホールカバー
アコースティックギターは、ボディトップに空けられた穴であるサウンドホールによってボディ内の共鳴を外へと放出しています。
このサウンドホールをカバーでふさいでしまうことで、アコースティックギターの音量を下げることができる。
サウンドホールカバーというアイテムは、本来はハウリングなどを防止するためのアイテムですが、防音グッズとしても広く利用されているスグレモノです。

トラブルを避けるには『配慮』が最重要
どんなに対策をしたとしても、完全な防音は難しいものですし、音が小さくなれば大丈夫だとも限りません。
近隣との騒音トラブルの原因は、騒音そのものよりも人と人とのコミュニケーションの部分から生じるケースも少なくありません。しっかりと防音対策をするのは前提として、その上で近隣に配慮する気持ちが重要です。
お隣や上下の部屋の住人に、事前に楽器を演奏する旨やその時間帯などを説明・相談しておくなど理解を得ておく場合と、話したこともない隣人の部屋から楽器の音が聞こえてくるのでは大きく印象も変わってきます。
普段から挨拶をするなど、トラブルを防ぐコミュニケーションとして大事かもしれませんね。
自宅が無理なら教室のスタジオを活用しよう
防音対策をしてもやはり自宅でのギター演奏は難しい……、という場合はギター教室に通うという選択肢もあります。
大手のギター教室でレッスンルームを多く設けている教室の中には、レッスン以外でも練習室やスタジオを無料で使えるサービスを提供している場合があります。
そういったスタジオであれば、気兼ねなく大音量で練習することができるので、レッスン+練習場所としても検討してみてはいかがでしょうか。
電子ドラムでの防音についてはこちらの記事もどうぞ

自宅に防音室を置くまでの流れや防音室の選定については以下の記事で解説しています。

