リッチライトとは
- エボニーの代替材となる指板材
- 木の繊維と樹脂からなる人口樹脂素材
- Gibsonレスポールカスタム等で採用
「リッチライト(richlite)」は、主にギターの指板材として用いられる人工素材。パルプ繊維を圧縮したものにフェノール樹脂を混ぜカーボンで着色した人工樹脂である。エボニー指板の代替として使われることが多い。
リッチライトという素材は、1943年に設立されたアメリカのRichlite社が製造しているもので、もともとは工業用工具を作るために開発されたという。その後は、航空・宇宙産業や建築、デザイン、自動車製造など様々な分野で用いられ、近年になってギターの指板材としても注目されるようになった。
エボニー指板の代わりとして
エボニーは絶滅が危惧されている木材の一つであり、ギター業界としても限られた供給の中で代替素材を見つけることが急務とされていた。そんな中でエボニーの代わりとして注目されたのが持続可能な素材であるリッチライト。
大手メーカーでは、Gibsonが2012年頃から2018年頃までレスポールカスタム等の一部のモデルの指板材としてエボニーに代わってリッチライトを採用。様々な代替素材の候補の中から、度重なるテストの末、ルックス面でもサウンド面でもエボニーと大きな差がないことからリッチライトが新たな材として採用されたという。
【グランディ&ジャングル/Gibson2018最新モデル】Les Paul Deluxe Player Plus!サテンフィニッシュ&ミニハムバッカー&リッチライト指板に鮮やかなオーシャンブルーカラー。ブルーのレスポールが好きな方、是非!>>https://t.co/iDrjEZW6fY pic.twitter.com/q4crHHNRJG
— イケベ楽器店|Ikebe Music (@ikebegakki) March 18, 2018
また、アコースティックギター大手のMartinでも、一部のモデルでリッチライト指板が採用されている。
リッチライトの特徴、メリット・デメリット
メリット
- エボニーによく似たルックスとサウンド
- 乾燥に強く、メンテナンスが簡単
- 人工素材なので、個体差が無い
カーボンで黒く着色されたリッチライトはエボニーとよく似たルックスを再現することができ、またサウンド面においてもエボニーとの違いがほぼわからないとまで言われている。
また、湿度の変化などの環境変化に非常に強いため、調整が狂いにくいのも大きな特徴。エボニー指板の場合、乾燥対策としてオイルによるケアが必要となるが、リッチライトはその必要がなくメンテナンスが容易となっている。
天然の素材とは違い、人工的に作られていることから、製品としては均一で個体差が無いことも、楽器製造においては大きなメリットであり、環境に優しい持続可能な楽器用の素材として、非常に優れていると言える。
デメリット
- 天然の木材ではない「人工樹脂」への抵抗感
- 楽器材としては歴史が浅く、長期間の使用は未知数
ルックスやサウンドに違いがないとは言っても、「人工樹脂」であることは間違いなく、伝統的な天然の木材ではないという事実への抵抗感を感じる人は少なくない。逆に、見た目や音が変わらないのなら、全く気にしないという人も多く、この点については考え方や好みの問題となる。
リッチライトという素材自体には70年以上の歴史があるが、楽器用の素材としての歴史はまだ浅い。そのため、長期間弾き込んだ場合にどのような変化があるかというデータは乏しく、今後どういう扱いになっていくかは現時点では未知数とも言える。
リッチライトトップ
Ibanezの2020年モデルRGD Prestigeシリーズ『RGDR4327』『RGDR4427FX』では、リッチライトがトップ材として用いられている。
Ibanez Prestigeシリーズより、リッチライト・トップ×26.5”スケール×リバースド・ヘッドを採用した7弦トレモロ・モデルが登場! >>【https://t.co/iNEP9aMIRL】 pic.twitter.com/b4SajBmSN7
— イケベ楽器PayPayモール店 (@ikebegakkiyahoo) December 27, 2019