ギター用語

オフセット・ギターとは ‐ ボディのウエストの位置が左右非対称になっているギター

オフセット・ギターとは?

「オフセット・ギター」は、ジャズマスターやジャガーなど、"ボディのウエストの位置が左右非対称"になっているシェイプのギターを指す。単にオフセットとだけ呼称することも。他にもオフセット・シェイプ、オフセット・ボディ、オフセット・ウエスト、オフセット・コンターなど、いくつか呼び名がある。

たとえば、右利き用のジャズマスターを真正面から見たときに、左右でウエストの位置が異なっている。こうした形状をオフセットと呼ぶ。ボディの底も正面から見て左側が上に持ち上がっているのもオフセット・ギターの特徴。

オフセット・シーム

通常、ギターのボディは2つの木材を貼り合わせるときに真ん中で合わせる「センター・シーム」が多いが、ボディの木材の貼り合わせ位置をずらす「オフセット・シーム」という工法も存在する。カスタムショップではセンター・シームが基本だが、ヴィンテージギターを再現するときにオフセット・シームにする場合もある。

オフセットギターの歴史

オフセットギターが登場するまでは、ストラトキャスターやテレキャスターなどのウエストが左右対称の形状が当たり前であった。1958年にフェンダーがオフセットを採用したジャズマスターを発表し、弦楽器のボディシェイプの常識を覆すこととなる。

その後にジャガーやジャズベースにも採用され、広く普及した。他社のギターでは、モズライトなどがオフセットを採用している。

フェンダー製のオフセットボディのギターやベースには、ヘッドに「OFFSET CONTOUR BODY」と書かれている。製造年代やモデルによって書かれていない場合もあるが、オフセットはフェンダーが考案したボディシェイプであることを示すもの。

オフセット・ギターのメリット・デメリット

オフセット・ギターのメリットは、座って弾くときも立って弾くときも体にフィットしやすく、演奏性が高まること。特に座って弾くときに、胸のあたりが体にフィットする

以下のように、右利き用のオフセットギターの下部のくびれを右足に載せると、上部のくびれがちょうど胸のあたりにフィットして弾きやすい。
※画像はギタリストの山口和也氏(@kkkzzzyyy

オフセット・ギターのデメリットは特にないが、強いて言えば見た目の好みだろうか。演奏性に関しても、オフセットより左右対称のほうが弾きやすい方もいると思うので、好みによる。

代表的なオフセット・ギター

フェンダー社のギターのなかから、代表的なオフセット・ギターをいくつか紹介。

Jazzmaster(ジャズマスター)

先述のとおり、オフセットが初めて採用されたのがジャズマスターである。オフセットと言えばジャズマスターを思い浮かべる方も多いだろう。
オフセットギター・ジャズマスター

Jaguar(ジャガー)

ジャガーは、1962年にジャズマスターの後継機種としてフェンダーが発表したモデル。ボディのシェイプはジャズマスターと同じに見えるが、実は微妙に異なっている。

こちらがジャガー

同じTraditional '60sのジャズマスターと比較してみよう。

ジャズマスターを下に、ジャガーを上にして画像を重ねてみると、上部・下部のホーンの形状が異なっているのがわかる。ジャガーほうが上部のホーンが少し鋭く、ジャズマスターのほうが丸みを帯びている。下部のホーンもジャズマスターのほうがほんのわずかに曲線が緩やか。
ジャズマスターとジャガーのボディシェイプの比較

Offset Telecaster(オフセット・テレキャスター)

フェンダー社のオフセット・テレキャスターは、ジャズマスターのボディと、テレキャスターのネックを組み合わせたモデル。

フェンダー社のギターoffset telecaster画像:Amazon.co.jp

Telemaster(テレマスター)とも呼ばれるが、海外では商標の関係で使えず、Offset Telecasterの名前で販売している。日本ではTelemasterの商標登録がないため、「Fender Telemaster ACE」などのモデルがある。テレマスターの特徴など詳しくは以下の記事で解説。

フェンダー社のギター・offset telecaster
Fender Telemaster(テレマスター)/ Offset Telecaster(オフセット・テレキャスター)Telemaster(テレマスター)/ Offset Telecasterとは Telemaster(テレマスター)とは、フェンダーの...
ABOUT ME
稲垣 健太(ケンタトニック)
ギター辞典コード辞典ボイトレ・音楽用語辞典の運営者。

音楽関係の仕事の経験、ギター製作の経験、音楽教室に通った実体験をもとに、音楽に役立つ情報を発信。

■音楽歴
中学2年生の時にギターを始める
高校1年生の時にドラムを始める
関西外国語大学外国語で軽音楽部に所属し、ボーカル、ギター、ベース、ドラムを演奏
39歳からボイトレに通い始める
42歳でギタークラフトを始める
└2023年4月にギタークラフトの専門学校・ESPギタークラフトアカデミー大阪校(GCA)に入学
└ギター製作やリペアの専門技術・専門知識を習得中
└ギター製作の経験をほぼ毎日日記で更新
ギタークラフト製作日記

■音楽関連の仕事歴
[2006〜2009年]
大手CD・レコード販売店でロック、ジャズの仕入・販売を担当。
[2011年〜]
フリーランスのWebライター・Webディレクターとして開業。
大手音楽教室からの委託でボイトレサイトの運営、ボイトレ記事の執筆・編集に携わる。

■音楽教室の通い歴
[1995〜2000年まで]
某大手ギター教室に通う
[1997〜2002年まで]
某大手ドラム教室に通う
[2020年〜現在]
某大手音楽教室のボイトレ・話し方コースに通い中
ESPギタークラフトアカデミーにて月3回プロギタリストによる演奏授業を受講

■愛機
Stilblu #036 / #039 /#099
g'7 special(g7-TLT Type 2S)
Nashguitars S-57
Tom Anderson(Drop Top Classic -Deep Tobacco Fade)
TMG Gatton Thinline
Fender Custom Shop 1956 Stratocaster NOS
Gibson USA Exclusive Model / Les Paul Standard 60s Honey Lemon Burst

所有ギター一覧

■製作したギター
ギタークラフトアカデミー第1作目:
ポリゴンライン
ギタークラフトアカデミー第2作目:
Stand-Alone
ギタークラフトアカデミー第3作目:
Thin-Marauder


■好きなバンド
U2、Sigur Ros、THE 1975、Mr.Children、the band apart、くるり、SIAM SHADE、VAN HALEN

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