フルアコースティックギター/フルアコとは
「フルアコースティックギター」略して「フルアコ」は、ボディの内部が完全に空洞になっているタイプのギターのこと。ボディ表面に「fホール」と呼ばれる穴が空いていることが多い。
「フル」「アコースティック」という言葉から、いわゆるアコースティックギターと混同されることもあるが、あくまでもエレキギターの中の種類の名称。アコースティックボディのエレキギターという意味。
海外では「full acousutic」と呼ばれることはほとんどなく、その形状から「arched top guitar(アーチドトップ・ギター)」と呼ばれることが多い。
フルアコの特徴
- ボディ内部が完全に空洞
- 甘くふくよかなサウンド
- ハウリングしやすい
ボディ内部が完全に空洞
「ソリッドギター」がボディ内部に空洞が無いギターであるのに対し、「セミアコ」や「フルアコ」はボディ内に空洞を持つギター。そして「セミアコ」がボディ内部の中心にセンターブロックという部分があるのに対し、「フルアコ」の場合はセンターブロックを持たず、ボディ内部は完全な空洞となっている。
内部が空洞になっていることで生音が大きく、ピックアップ無しでも楽器として成立している。
甘くふくよかなサウンド
そして、空洞によって弦の振動が反響することによって生み出されるサウンドは、甘く艷やかで豊かな響きを持っている。ソリッドギターには生み出せないようなふくよかな音色は時に「エアー感」という言葉でも表現される。
ジャンル的にはジャズやブルース、カントリーに適しているとされるが、ロックに用いられることも少なくない。
ハウリングしやすい
フルアコの弱点として挙げられるのが「ハウリングしやすい」という点。これもボディ内部の空洞に起因するもので、セミアコの場合はセンターブロックがあることでこのデメリットを打ち消している。
音量を大きくしたり強く歪ませた場合に起こりやすいため、ハイゲインなジャンルには不向きということになる。
代表的なフルアコ
Gibson ES-175
1949年に発売されたギブソンの『ES-175』。最上位モデルである『L-5』の廉価版モデルとして、その名の通り当時「175ドル」で発売され、フルアコを初めて使うギタリストはもちろん、多くの有名プレイヤー達も愛用してきたギブソンのフルアコのスタンダード的な存在。
L-5と比較して少し小ぶりなボディサイズで、ハウリングを抑え、幅広いジャンルに使えるギター。
Gretsch 6120
フルアコと言えばギブソンと並ぶメーカーなのがグレッチ。チェット・アトキンスのシグネイチャーモデルとして1955年に登場したのが『6120』通称『Nashville(ナッシュビル)』。
Epiphone Casino
1961年に発売されたエピフォンの『Casino(カジノ)』は、Gibsonの『ES-335』の廉価版のようなモデルとして登場したが、ビートルズが愛用したことなどから世界的な人気を獲得した。
ダブルカッタウェイに薄型のボディであるためセミアコと思われがちだが、内部はセンターブロックの無い完全な空洞となっているためフルアコと言える。