Mockingbird(モッキンバード)とは
モッキンバードは、変形ギターで知られるアメリカのB.C.リッチ社から1976年に登場したモデル。ギターだけでなく、ベースもある。外側に突き出たツノが特徴的。
モッキンバードの由来
「Mockingbird(モッキンバード)」という名称は、同名の鳥が由来となっている。和名では「マネシツグミ」と呼ばれるこの鳥に形が似ていることから名付けられた。
モッキンバードの特徴
モッキンバードはグレードや年代、生産国の違いで非常に様々な仕様のモデルが発売されているが、スタンダードなモデルで共通している特徴は以下の通り。
- ツノのあるボディシェイプ
- スルーネック&ヒールレス、24フレット
- ミディアムスケール(628mm)
- 2ハムバッカー・ピックアップ
ツノのあるボディシェイプ
変形ギターの中でも有名なモッキンバードの形状は、外側に突き出たツノが特徴的。この形状には2種類があり、通常のモッキンバードは「ロングホーン」と呼ばれるツノの長いタイプ。もう1種類は「ショートホーン」と呼ばれツノが短いタイプ。
ヘッド落ちがしやすいロングホーンの欠点を、デザインを変えることで改善したショートホーンだが、見た目のバランスが悪いからか一時期しか製造されなかった。
1980年製B.C.リッチの
「ショートホーン」と呼ばれたりする特定の時期しか生産されなかったブサカワなモッキンバード。「ネックの形が変…」とご相談を受けたのですが、なんとネック折れの素人修理跡でした…
しかもちゃんと接着されていないという…
ひとまず再接着と言うご依頼になりました。 pic.twitter.com/k1QmypJPoV— 音楽堂 平林 (@ongakudo_hrbysh) May 28, 2020
スルーネック&ヒールレス、24フレット
B.C.Richのモッキンバードの多くは、ヒールレス・スルーネック構造。スルーネック構造を世界で初めて発表したのもB.C.Rich。
24フレットまであるハイポジションも、ヒールレスでストレスなく演奏することができる。24フレットにはポジションマークが無いのが本来の姿とされているが、現在のモデルには24フレットにもポジションマークが刻まれている。
モッキンバード使用ギタリスト
スラッシュ
モッキンバードと言えば、ガンズ・アンド・ローゼズのスラッシュが若い頃に使っていたことで知られている。赤いキルトメイプルトップが印象的なモッキンバードは、B.C.Richからシグネイチャ・モデルも発売されていた。
hide
日本ではhideが使っていたことで知られるモッキンバード。正確にはhideが使用していたのはFERNANDES製のコピーモデルであり、「モッキンバード」という名称ではなく、あくまでモッキンバード・タイプのモデル名は「MG」となっている。
当初hideが使っていたのはフェルナンデスブランドのものだったが、同社の方針でその後「バーニー(BURNY)」ブランドに変更。シグネイチャーモデルもバーニーから発売されている。
中でも「hideと言えばこれ」と多くの人がイメージするのが、黄色いボディにたくさんのハートが描かれた「イエローハート」。本家同様、バック材とネックにマホガニーを使用し、スルーネック構造(安価なモデルはボルトオン)。サスティナーを搭載しているのも大きな特徴。
イエローハート以外にも、チェリーサンバーストやペイズリー柄、アクリル製など様々なモッキンバードを使いこなしていたhide。多くのモデルがバーニーから発売されている。
恩田快人
モッキンバードにはギターだけでなくベースモデルもあり、日本ではJUDY AND MARYの恩田快人が使用していた。こちらもバーニーからシグネイチャーモデルが発売されていた。
【新中古】バーニーMB95Y JUDYANDMARY恩田快人モデル 39800円 https://t.co/UJ1my1UoWu pic.twitter.com/NNWndeTdDD
— chuya-online FUKUOKA (@chuyaonlineFUKU) April 18, 2016
2021年現在のラインナップ
2021年時点でB.C.Richのモッキンバード・モデルは以下の通り。
MOCKINGBIRD LEGACY ST WITH FLOYD ROSE
『LEGACY ST』シリーズは、昔ながらのモッキンバードのルックスやスペックを継承したモデル。3層に重ねられたハードメイプルネックがスルーネック構造となっており、ウイング材にはマホガニー、そしてトップにはキルトメイプルが貼られている。
ピックアップはDiMarzioのDアクティベーターピックアップを2基搭載し、5ポジションバリトンフィルターノブ、2つのコイルタップスイッチ、フェイズスイッチといったコントロールで、多彩なサウンドを作りだすことができる。
MOCKINGBIRD LEGACY EXOTIC ST WITH FLOYD ROSE – KOA
ボディトップにコア材を使用した『LEGACY EXOTIC ST』。
B.C.Richの創始者ベルナルド・チャベス・リコ氏は幼い頃、フラメンコギター職人の父のもとでコア材を使ってウクレレ作りの手伝いなどをしていたという。そんな経験もあってか、かつて同社のギターにコア材をよく使用していた時期があり、コアはB.C.Richの象徴にもなっている。
MOCKINGBIRD EXTREME WITH EVERTUNE
『EXTREME』シリーズは、ボディの形状こそモッキンバードだが、各所にモダンなスペックを搭載し、ゴージャスな装飾が施された現代的なモデル。
ボディと指板には、豪華なアヴァロン貝のバインディングが施され、ヘッドストックの形状もシャープな6インラインのリバースヘッドとなっている。
ピックアップにはFishmanのFluence Modern Humbuckerを2基搭載。ボリュームポットのプッシュ/プルでヴォイシングの切り替えが可能。キルスイッチも搭載。ブリッジにはチューニングの安定性が高いEvertuneが採用されている。
MOCKINGBIRD EXTREME EXOTIC WITH EVERTUNE
『EXTREME EXOTIC』はトップ材にキルテッド、スポルテッド、バールなどのフィギュアドメイプルが貼られたモデル。画像はキルトトップ。