スタック構造(スタックタイプ・ピックアップ)とは
スタック構造とは、シングルコイルを上下に重ねたピックアップのこと。シングルコイルの見た目とサウンドでありながら、ノイズに強い構造のピックアップとなっている。「スタックタイプ」「スタックハム構造」など呼び方は様々。
スタック(stack)は、「積み重ね」を意味する。
American Deluxeシリーズ等に搭載されているNoiselessピックアップN3の正体は…スタック・コイルでハムノイズをキャンセル! pic.twitter.com/p1FC8J12Eq
— Fender (フェンダー) (@Fender_Official) March 4, 2013
スタックタイプ・ピックアップの特徴
- ノイズが低減されている
- サイズが大きいため注意が必要
ノイズが低減されている
通常のシングルコイル・ピックアップは、ハムノイズと呼ばれる誘導ノイズに弱い。一方でハムバッキング・ピックアップは、2つのコイルを互いに逆位相とすることで誘導ノイズを打ち消している。
しかし、ハムバッキングは単純にノイズに強いだけでなく、そのサウンドもシングルコイルとはかなり異なるものとなってしまう。シングルコイルのサウンドのままにノイズを低減することはできないか、と考えられたのがスタック構造。
通常のシングルコイル・ピックアップの下に、逆方向に巻いたコイルを配置することで、誘導ノイズを打ち消している。ハムバッキングとは違い下側のコイルはハムキャンセル機能のためだけのものでほとんど音を拾わないため、シングルのサウンドでありながらローノイズとなる。
サイズが大きいため注意が必要
上記のような大きなメリットを持つスタック構造だが、上下にピックアップを重ねているため、物理的にサイズが大きくなってしまうというデメリットがある。
通常のシングルコイルからスタックタイプへと交換する場合にザグリを深くする必要があったり、ピックアップを弦から離したい場合に限界があったりなど、物理的なデメリットが生じる。
スタック構造のピックアップ
HS-3
スタックタイプのピックアップで知られるのが「ディマジオ」。中でもイングヴェイ・マルムスティーンとの共同開発によって生まれた「HS-3」が有名。
YJM FURY
前述のディマジオHS-3を愛用していたイングヴェイが乗り換えたのがセイモア・ダンカンの「YJM FURY」。
ディマジオとセイモア・ダンカンの比較動画。
Fender Noiseless
フェンダーから発売されているリプレイスメント・ピックアップの「Noiseless」シリーズも、スタック構造によってノイズを低減している。
P-100
Gibsonのシングルコイルの定番である「P-90」をスタック構造にしたのが「P-100」。太くて甘いP-90のサウンドを、ローノイズで再現している。
ピックアップがスタック構造のP90。つまりP100か。 pic.twitter.com/Wb7JH8XUgS
— GETTER02 (@GETTER021) February 2, 2020