SSHとは
SSHは、ピックアップの配列を表す言葉。フロント側から見た「Single(シングル)」、「Single(シングル)」、「Humbucker(ハムバッカー)」の頭文字をとって「SSH」。「シンシンハム」と言われる場合も。
かつて、ストラトキャスターには3つのシングルコイルピックアップが搭載されているのが普通で、テレキャスターやレスポールにしても、シングルコイルならシングルコイル、ハムバッカーならハムバッカーで、一つのギターには同一タイプのピックアップを搭載するのが当たり前だった。
1980年代に登場したのがナイト・レンジャーのギタリスト、ブラッド・ギルス。彼はFenderのストラトキャスターを、リアがハムバッカーのSSH配列へと自ら改造。これがバンドのブレイクと共に多くのギタリストの間で広まっていったことが、SSHの流行のきっかけと言われている。
ナイト・レンジャーのブラッド・ギルス
ブラッド・ギルスが一時期契約していたFERNANDESから、ブラッド・ギルス・モデルが発売されていた。
お宝ギター
フェルナンデス ST-155BG#ブラッドギルス モデル#FRT-3
生産台数が少なく、希少な後期型(1985年製)
当時、買えなくて
12年前、手に入れました。
本人仕様に近づけるため
指板をハカランダーに張り替える予定 pic.twitter.com/SEVfrLIAR2— Tomonari Iwamoto (@Rintyuphoto) May 8, 2019
また、正式なアーティストモデルとはされていなかったが、Fender Japanからブラッド・ギルスを彷彿とさせるモデルが発売されていた。
【イシバシ梅田❤️U-BOX】
Fender Japan ST62-FR Torino Red入荷しました‼︎(^O^)/♪黒と赤のコントラストが鮮やかな80sテイスト溢れるストラトです‼️(๑˃̵ᴗ˂̵)/#fenderjapan #イシバシ梅田ubox pic.twitter.com/PdbB2JtNuW— イシバシ楽器梅田店 (@1484umeda) August 15, 2017
Fenderでは『HSS』
一般的にはフロント側から見た「SSH」と呼ばれているが、Fenderではこれを「HSS」と呼んでいる。カタログなどの写真ではヘッドが右側になることが多く、その場合にはリアが左側になるためと思われる。
SSHの特徴、メリット・デメリット
SSHのメリット
SSH配列のストラトが通常の3シングルのストラトと比べて優れているのは、なんと言ってもハムバッカーのパワフルなサウンド。ハムバッカーは深く歪ませたディストーション・サウンドと相性が良く、太い低音はハードロックやメタルといったジャンルに最適。
ソロなどのリードギターはもちろん、パワーコードを用いたズッシリとしたバッキングはリアのハムバッカーを、アルペジオなどクリーンなバッキングや繊細なサウンドが欲しい時にはフロントやセンターのシングルコイルを、といった具合に切り替えて使うことで、幅広いサウンドを1本のギターで実現できる。
ストラトの良いところを残しつつ、ハムバッカーのパワーを兼ね備えたギターは「スーパーストラト」と呼ばれ、多くのギターメーカーから発売された。
SSHのデメリット
良いとこ取りをした理想のギターようなSSHのストラトだが、世の中のギターが全てそうはならないということは、やはり欠点もある。
当然ながらハムバッカーにはシングルコイルの音は出せないため、通常のストラトのシングルコイルのリアピックアップのサウンドは真似ができない。コイルタップを搭載したハムバッカーならシングルコイルのサウンドを出すこともできるが、本当のシングルコイルと同じかというと、やはり違いがある。
また、シングルコイルとハムバッカーでは音量に差があるという欠点も抱えている。
パワフルなハムバッカーは音量が大きく、シングルコイルは小さくなりがちなので、切り替えて演奏する際に急に音量が変化してしまい、バランスを取るのが難しい。ペダルやエフェクター、ノブの操作などで音量を調整する必要がある。