ギターモデル

Fender Maverick(Fender Custom)

Fender USA/Parallel Universe Volume II Maverick Dorado Firemist Gold

Fender Maverick(Fender Custom)とは

Fender Maverick(フェンダー・マーヴェリック)は、フェンダーが1969年中期〜1971年頃に販売していたギターモデル。当時の販売価格は289ドル。

発売当初は「Maverick」という名称でヘッドストックにもそのモデル名が記されていたが、発売して間もなく「Fender Custom」という名称に改められた。形は同じでも、ヘッドに「Maverick」と「Custom」と記されている2タイプがある。

短期間での発売で流通数が少なく、フェンダーの過去のモデルの中でもめったにお目にかかれないレアなモデル。ヘッドやボディの形状も他のモデルとは一線を画す個性的なデザインとなっている。

1969年製のMaverick

世界最大の楽器ショー「NAMM Show 2020(ナムショー)」にて、フェンダーの数量限定生産モデル「Parallel Universe」の第2弾のラインナップとして、「Maverick Dorado(マーヴェリック・ドラド)」が発表された。モデル名とスペックに少し変更が加わっているが、Maverick(Custom)の復刻版である。

※Parallel Universeは、「もし並行宇宙が存在したら…」というコンセプトで作られる遊び心のあるコレクション。

Maverick(Custom)が開発された経緯

Maverick(Custom)は、端材として残っていた12弦ギターのFender Electric XII(エレクトリックXII)のネック、ボディ材、ピックアップの寄せ集めで作られた。Electric XIIは人気が出ず、余ったボディ材はMaverick(Custom)に流用されることに。しかし、Maverick(Custom)も売れ行きが悪く、早々にラインナップから姿を消した。

Electric XIIの詳細はこちらの記事で。

Fender® Electric XII
Fender Electric XII(エレクトリック 12)Fender Electric XIIとは Fender Electric XII(エレクトリック 12 / トウェルブ)は、フェンダ...

同時期(1969年)に発売されたFender Swinger(フェンダー・スウィンガー)も同じような理由で開発されたモデル。こちらは5弦ベース・Fender Bass V(フェンダー・ベースV)の売れ行きが不調で加工品が余ってしまったため、リシェイプしてSwingerというモデルになった。

Swingerはこちらの記事で詳しく紹介。

Fender Limited Swinger
Fender Swinger(フェンダー・スウィンガー)Fender Swingerとは Fender Swinger(フェンダー・スウィンガー)は、フェンダーが1969〜1971年に製造し...

Maverick(Custom)の特徴

  • ヘッドストック
    Maverick(Custom)の独特なヘッドストックは、ホッケー・スティック・ヘッドと呼ばれる(ホッケーで使うスティックのヘッドに似ているため)。これはElectric XIIのヘッドの仕様と同じで、材料を流用したためこのような形になった。

    ヘッドストックは12個のペグを設置するために縦長の形状になっている。12弦ギター用に12個のペグ穴を開けていたため、6個の穴を埋めてベニヤで加工したそうだ。

    ヘッドストックに記されるモデル名は、「Maverick」と「Custom」の2種類がある。宮路楽器神田店さんのブログで「Maverick」と「Custom」の両方のヘッドストックを見ることができる。

    Fenderの1969年製ウルトラ・レア・ギターが入荷しました!

  • ボディシェイプ
    Electric XIIの余ったボディ材をリシェイプ。その結果、フェンダー史上、類をみない独特なボディシェイプとなった。同時期に同じ用にリシェイプで販売されたSwingerも独特な形状している。

    「Maverick」は、「異端者」「独自路線を行く」という意味。まさにその名前の通り、フェンダーの歴史の中でも異端な存在。

    ボディシェイプはオフセット(左右非対称)。これは元になっているElectric XIIと同じ。オフセットについては以下の記事で詳しく解説。

    オフセットギターのジャズマスター
    オフセット・ギターとは ‐ ボディのウエストの位置が左右非対称になっているギターオフセット・ギターとは? 「オフセット・ギター」は、ジャズマスターやジャガーなど、"ボディのウエストの位置が左右非対称"になっているシ...

  • ブリッジ
    Mustang(ムスタング)のブリッジを流用。
  • ピックアップ
    プレジションベースと同じような2つに分かれたスプリット・ピックアップを搭載。Electric XIIのピックアップがスプリット(分割)タイプで、それを流用している。

Marverick Doradoの特徴

Fender-USA-Parallel-Universe-Volume-II-Maverick-Dorado-Firemist-Gold-

Parallel UniverseのMarverick Doradoは、いくつか仕様変更している。特徴的なボディシェイプとホッケースティックのヘッドストックは、オリジナルを踏襲。

  • ピックアップ
    スプリットピックアップから、フィルタートロン型のハムバッカー2基に変更。フェンダーのチーフギターエンジニアで数多くのピックアップの開発を手掛けてきたティム・ショウがデザインしている。
  • ヴィブラートシステム
    オリジナルはMustangのトレモロユニットを搭載していたが、ビグスビー・ヴィブラートシステムに変更。
  • 指板
    オリジナルはローズウッド指板であったが、ダークエボニー指板に変更。フレット数も21から22に変更されている。
  • カラー
    ウルトラバースト、ミスティック・パイン・グリーン、ファイアーミスト・ゴールドの3種類。サーフ・グリーン・パラレル・ユニバース II・デラックス・ハードケースが付属。

Marverick Doradoの試奏動画

ABOUT ME
稲垣 健太(ケンタトニック)
ギター辞典コード辞典ボイトレ・音楽用語辞典の運営者。

音楽関係の仕事の経験、ギター製作の経験、音楽教室に通った実体験をもとに、音楽に役立つ情報を発信。

■音楽歴
中学2年生の時にギターを始める
高校1年生の時にドラムを始める
関西外国語大学外国語で軽音楽部に所属し、ボーカル、ギター、ベース、ドラムを演奏
39歳からボイトレに通い始める
42歳でギタークラフトを始める
└2023年4月にギタークラフトの専門学校・ESPギタークラフトアカデミー大阪校(GCA)に入学
└ギター製作やリペアの専門技術・専門知識を習得中
└ギター製作の経験をほぼ毎日日記で更新
ギタークラフト製作日記

■音楽関連の仕事歴
[2006〜2009年]
大手CD・レコード販売店でロック、ジャズの仕入・販売を担当。
[2011年〜]
フリーランスのWebライター・Webディレクターとして開業。
大手音楽教室からの委託でボイトレサイトの運営、ボイトレ記事の執筆・編集に携わる。

■音楽教室の通い歴
[1995〜2000年まで]
某大手ギター教室に通う
[1997〜2002年まで]
某大手ドラム教室に通う
[2020年〜現在]
某大手音楽教室のボイトレ・話し方コースに通い中
ESPギタークラフトアカデミーにて月3回プロギタリストによる演奏授業を受講

■愛機
Stilblu #036 / #039 /#099
g'7 special(g7-TLT Type 2S)
Nashguitars S-57
Tom Anderson(Drop Top Classic -Deep Tobacco Fade)
TMG Gatton Thinline
Fender Custom Shop 1956 Stratocaster NOS
Gibson USA Exclusive Model / Les Paul Standard 60s Honey Lemon Burst

所有ギター一覧

■製作したギター
ギタークラフトアカデミー第1作目:
ポリゴンライン
ギタークラフトアカデミー第2作目:
Stand-Alone
ギタークラフトアカデミー第3作目:
Thin-Marauder


■好きなバンド
U2、Sigur Ros、THE 1975、Mr.Children、the band apart、くるり、SIAM SHADE、VAN HALEN

■ブログ
運営者情報