カラオケで高得点を目指すとき、「音程」や「表現力」に意識が集中しがちです。しかし、意外と見落としがちなのが「安定性」や「安定感」といった項目です。自分では上手く歌えたつもりでも、「なぜかスコアが伸びない」という場合は、「安定性」が点数に大きく影響しているのかもしれません。
実はこの「安定性」は、単に音程が合っているかどうかだけでなく、声のブレや発声の一定感、さらにはビブラートのかけ方まで関係しているのです。この記事では、カラオケの採点における「安定性」の評価のされ方から、実際に安定感のある歌い方を習得するためのコツや練習方法を詳しく解説します。
カラオケの採点項目「安定性」は何を評価している?

カラオケ機種によって多少表記は異なりますが、たとえば、DAM(第一興商)では「安定性」、Joysoundでは「安定感」と表現されています。どちらも、歌声のブレや発声のコントロール力を評価する項目です。
DAMの「安定性」の定義ですが、公式サイトによると「音程が不安定に震えてしまっていないか、まっすぐに安定して発声できているか」と記載されています。
下記の動画にて、DAMのカラオケ採点エンジンの開発者が安定性の評価の仕方について解説しています。
一方、Joysoundの「安定感」は、「音程がブレずに安定して歌唱できているか」が評価の基準です。
DAMにしろJoysoundにしろ、カラオケでの「安定性」や「安定感」は、ただ正しく音を出すだけでなく、いかに一定のクオリティで安定して声を出し続けられるかという部分が評価されます。
「安定性」のある歌い方とない歌い方の違い
カラオケの項目の中で、最も「ナゾの評価」といわれるのが「安定性」です。
先に結論をいうと、
安定性のある歌い方は「音程・声量・声質が安定している」
安定性のない歌い方は「声の揺れ(震え)・クセ・不安定さが目立つ」
という違いがあります。
安定性は「声が震えることなく正しく出せている」ことなので、「0.5秒以上といわれる一定の長さのバーすべて」が採点対象です。
また、多くの人が見逃しがちですが、カラオケの採点は「減点方式」です。「しゃくり」や「こぶし」、「フォール」といった歌唱テクニックは加点対象ですが、安定性はその反対で、まっすぐな声で発声するほど減点されない=高得点が狙えます。しゃくりやこぶしといった装飾音を無理に使うと上手く反映されず、その影響で安定性が低下し減点される可能性があるので注意しましょう。
それでは、「安定性のある歌い方」と「安定性のない歌い方」の違いを、それぞれの特徴で比べてみましょう。
「安定性のある歌い方」の特徴
カラオケにおける「安定性のある歌い方」とは、以下のような特徴があります。
- 息の流れが一定であり、発声にムラがない
- 音程バーに対して、ぴたりと一致している
- 声が揺れず、余計やビブラートや抑揚が少ない
- フレーズの始めと終わりが滑らかで自然
カラオケの安定性は、発声にムラがない=安定しているかが評価されます。上手にビブラートを入れられれば加点されますし、安定性も減点されません。ただし、不安定なビブラートは安定性を下げてしまいかねないので、安定性が減点されるようであれば一度ビブラートをかけずに歌ってみてください。
「安定性のない歌い方」の特徴
一方で、安定性のない歌い方には、以下のような特徴があります。
- 歌声が不安定で震えている
- ピッチが揺れていて、バーの中央から外れる箇所が多い(音程が不安定)
- 高音になると声が細くなる、低音で力みが出るなど、声質が不安定
- 表現を重視しすぎて装飾音が多くなりすぎる
- 語尾の脱力や息切れなどによって、音の最後が落ちてしまう
採点では、まっすぐでムダのない歌声が「安定している」と判断されるため、感情がたかぶって声を揺らしすぎたり、装飾を過度に入れたりすると、逆にスコアが伸びない原因になってしまいます。
感情を込めた歌い方は人の心をつかみやすいですが、それが高得点に直結するとは限りません。カラオケの採点システムは「安定して発声できているか」という機械的な基準なので、上手く歌おうとして不安定な装飾が増えると減点対象になる場合もあるのです。
カラオケの「安定性(安定感)」で高得点を目指すための歌い方のコツ
繰り返しますが、カラオケの採点システムは「正確で揺れのない発声」を重視します。そこで意識したい歌い方のコツは、次のとおりです。
- 1.ビブラートを使わずに歌ってみる
- 2.フレーズの頭と終わりを丁寧に歌う
- 3.自分の声量やピッチを把握する
- 4.無理のないキーで歌う
上から順番に、詳しく説明していきます。
コツ①:ビブラートを使わずに歌う
まずは、ビブラートを使わずに声を真っすぐに出して歌う練習から始めましょう。
ビブラートは確かに聴かせる技術としては魅力的ですが、音程が一定でなく揺れた状態でもあります。特にかけ方が一定でない場合は「不安定な歌声」と判断されるリスクが高くなります。
ピッチと正確さと声の安定感を意識して、「機械に評価されやすい歌い方」を習得することが、高得点への近道です。安定性で高得点を取られるようになってから、ビブラートをかけて歌ってみてください。
コツ②:フレーズの頭と終わりを丁寧に歌う
次に、フレーズの頭と終わりを丁寧に歌いましょう。歌い出しが不安定だったり、語尾がふらついたりすると、そこだけで減点の対象になってしまいます。
意識すべきは「言葉の出だしをはっきり、語尾を雑にしない」ことです。語尾を抜くクセがある人は、最後まで息と音をコントロールして歌いきることを意識してください。
コツ③:自分の声量やピッチを把握する
自分の声量やピッチを把握しましょう。安定性の評価には、音程だけでなく「声量の一定さ」も含まれるからです。極端に声が大きかったり小さかったりすると、「不安定」と判断されて減点になる可能性があります。
特に自分の声が強く出る音域と、そうでない音域の差が大きい場合は、無意識に力が入った状態なので、ピッチまでズレやすくなります。スマホでの録音やカラオケの「分析機能」などを活用して、どの音域でブレてしまうのか確認してみるのがおすすめです。
自分のクセを知ることは、安定感を作るための一歩です。
コツ④:無理のないキーで歌う
最後は、無理のないキーで歌うことです。キーが高すぎたり低すぎたりすると、声が不安定になりがちです。喉に力が入ったり、音程を探り探り歌ったりすると、安定性は下がってしまいます。
無理に原曲キーにこだわるのではなく、自分の自然な発声ができるキーに調整することも、高得点を狙ううえでは非常に大切です。
声の「安定性(安定感)」高める練習法

呼吸法は主に、腹部を使って息を出し入れする「腹式呼吸」、胸部で呼吸する「胸式呼吸」の2つがあります。
声の安定性を高めたいのであれば、最初に取り組むべきは「腹式呼吸」です。これはプロの歌手でも基礎として重視する呼吸法で、安定した息の流れにより、ムラのない声やロングトーンが出せるようになります。
また、息の吐き方が安定していないことも「不安定」と判断される原因のひとつです。胸式呼吸では息のコントロールが難しく、声がうわずったり語尾が弱くなりやすいため、腹式呼吸で安定して声を出せるようにしましょう。
以下のような練習を毎日繰り返すことで、少しずつ呼吸の安定感が身につきます。
- 姿勢を正して、お腹に手を置く
- 鼻から息をゆっくり吸って、おへそから膨らんでいるか確認する
- 息を吐くときは、吸うときより長くゆっくりと吐く
まずは発声をせずに、腹式呼吸の感覚をつかむことから始めましょう。鼻から息を吸って、お腹が膨らむのを感じられるか確認してください。呼吸時に胸が大きく動くようであれば胸式呼吸になっています。
次に、「スー」と声に出しながら一定に息を吐き続けます。途中でスピードが変わらないように意識を集中させます。時間の目安は「4秒吸って8秒かけて吐く」です。
吐く時間を長くすることで、副交感神経を優位にしてリラックス効果が得られ、余計な力を取りのゾックことができます。歌っている状態で腹式呼吸の感覚が分からなくなった際は、寝たまま歌ってみましょう。寝ているときは、自然に腹式呼吸ができているはずです。
上記の呼吸法をマスターすることで、息の支えが効いて安定した歌声が出せるようになります。
腹式呼吸を使った発声方法については、以下の記事などが参考になります。
正しい腹式呼吸は歌ウマの基礎!腹式呼吸のやり方・練習方法・コツを解説
おわりに
カラオケで「安定性」や「安定感」を高めるには、「装飾よりも正確さ」、「表現よりも安定感」を意識することが大切です。しゃくりやこぶしといったテクニックに頼るまえに、まずは腹式呼吸を通じて安定した発声の土台を作ることが、高得点への第一歩です。
テクニックは、基礎があってこそ映えるものです。シンプルな歌い方を極めたうえで、自分らしい表現を加えていくことが、安定感と表現力を両立させる理想的なスタイルといえるでしょう。