Mad Cat(マッドキャット)とは
Mad Catは、モリダイラ楽器のブランド・H.S.Andersonのギター。H.S.Andersonは、1973年にESPの創業者である椎野秀聰(しいの ひでさと)氏が立ち上げたブランドで、椎野氏がギターのデザイン・設計を行っていた。Mad Catは同ブランドを代表する人気モデルで、PrinceがHOHNERブランド製のMad Catが使用(後述)したこともあり、世界的にも知られている。
Mad Catはモリダイラ楽器と共同で製造販売していたギターモデルだが、通常のラインではなく、手作業中心のカスタムビルド方式で製造していたそうだ。当時のモリダイラの腕のいい木工職人と塗装職人の2人に、入社2年目の青年がアシスタントにつき、3人体制で製造していた。
参考:
椎野 秀聰 (著) 『僕らが作ったギターの名器』
HS-1/Mad Cat - モリダイラ楽器
H.S.Andersonの由来や他のギターモデルは別記事で詳しく解説
Mad Catの生産の歴史
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1970年代Mad Catは1970年代に生産されていたが、H.S.Andersonが1980年代にブランドをたたみ生産終了となっていた。
こちらはMad Cat発売当時の広告。
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1980年代H.S.Andersonブランドの所有社であるモリダイラ楽器は、ドイツの楽器メーカー・HOHNER(ホーナー)社のアメリカ支社から依頼を受け、Mad CatをHOHNERブラントとして生産。HOHNERブランドを冠したMad Catは海外向けに発売され、その一本がPrinceの目に留まり、1984年公開の映画『Purple Rain(パープル・レイン)』のプロモーションビデオで使用された。
HOHNERから発売されていたMad Catは、「HOHNER The Prinz」というモデル名であった。これは、Princeを意識して付けられたと思われる。
Mad Catは、アメリカのピックアップブランド・Bill Lawrence(ビル・ローレンス)ブランドでも発売。Bill Lawrenceは1990年前半にブランドが消滅しており、現在、同ブランドのMad Catは生産されていない。
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2000年代モリダイラ楽器は、2009年にMad Catを少量で復刻生産。2011年にはモリダイラ楽器45周年記念として再復刻。現在(2020年)も少量ながら生産されている。
Mad Catの特徴
Mad Catは、テレキャスターを模したモデルである。一般的なTLタイプにはないセンターラインが特徴。復刻版のピックアップはBill Lawrence T-I/T-IIを搭載。
画像:H.S.Anderson MAD CAT
虎べっ甲のピックガードもMad Catのデザインの特徴。よく見ると、ブリッジプレートも虎べっ甲柄になっている。
復刻版のヘッド。オリジナルのヘッドデザインと少し異なる。オリジナルは猫のイラストが後ろに描かれていた。この猫のイラストは、H.S.Andersonの創業者である椎野秀聰のヤマハ時代からの友人である山田敦郎氏(現・グラムコ株式会社の代表取締役会長)がデザインしたもの。音に狂って荒ぶる魂"を「恋猫」のキャラクターで表現しているそうだ。
希少なホワイトカラー仕様のMad Cat
PrinceとMad Cat
Prince(プリンス)は生前、Mad Catを愛用していた。オリジナルのH.S.Anderson製のMad Catではなく、HOHNER製のMad Catを所有していたそうだ。3本所有していたという話もある。
Prince初主演映画『Purple Rain』のプロモーションビデオでは、PrinceがMad Catを弾いている姿が映っている。
試奏動画
リイシュー版の試奏動画:MadCat HS-1