ハーフトーンとは
ハーフトーン(half tone)は、2つのピックアップを同時に鳴らした音のこと。ピックアップのセッティングのことでもあるため、「ハーフポジション」や「ミックスポジション」という場合も。
特にに3シングル・ピックアップのストラトキャスターにおける「フロント+センター」「センター+リア」について言われることが多く、艶のある瑞々しいサウンドは「鈴鳴り」と表現されることもある。
ストラトキャスターのハーフトーン
Fenderのストラトキャスターは発売当初、現在のような5Wayセレクター・スイッチではなく、3つのピックアップをそれぞれ単体で選択するだけの3Wayセレクター・スイッチが搭載されていた。
普通に使えば2つのピックアップを同時に鳴らすことはできないが、裏技的にセレクター・スイッチを中間に止めて弾くことで、2つのピックアップを同時に鳴らすことができた。これを好んで使い始めたのがジミ・ヘンドリックス、そしてその後エリック・クラプトンが用いたことで一般的になっていった。
当時は3Wayのセレクターをテープで固定したり、スプリングをはずしてスイッチのクリックを無くすなどしてハーフトーンを出していた。ハーフトーンを求めるユーザーが多かったことから、他社から5Wayのスイッチが発売され、その後1977年頃からFenderが標準搭載するようになり、ハーフトーンが当たり前のものとなる。
ハーフトーンの特徴
- 出過ぎる高音、低音を減らし、マイルドで聞きやすい
- 艶のあるサウンド
- こもったような音になりがち
ストラトキャスターのシングルコイル・ピックアップは、そのままだと少しピーキーなサウンドになりがち。リア単体だと高音域が強くジャキっとし過ぎると感じる場合があったり、フロント単体だと低音が強くブーミーに感じる場合がある。ハーフトーンを用いることで、それらをマイルドに聞きやすいサウンドに変えることができる。
逆に言えば、ハーフトーンは少しこもったような音になり、音抜けは悪いとも言える。シングル単体よりもハーフトーンが絶対的に優れているなどということでは無く、要は必要な時にどのサウンドを選択するか、その選択肢の一つに過ぎない。