Fender Powercasterとは
Powercaster(パワーキャスター)は、Fenderが2019年に発売したギターモデル。Fenderは2019年の「NAMM SHOW」にて未来型のギターシリーズ「Alternate Reality」として6つのモデルを発表。Powercasterは同シリーズの第一弾として発売されたモデル。
※NAMM SHOW(ナム・ショー):年に1回アメリカで開催される楽器ショー
※Alternate Reality(オルタナティブ・リアリティ):これまでのFenderギターのスペックを踏襲しつつ、新しい要素を取り入れたギターモデルシリーズ。
Powercasterの概要・特徴
Powercasterは、Fender Custom Shopのマスター・ビルダー、Alex Perez(アレックス・ペレス)氏がデザイン・開発を手掛けた。
アレックス氏は、ジャズマスターやジャガーといったオフセットボディ(ウエストが左右非対称のボディ)を取り入れつつ、"オールラウンド(万能)に使えるギター"を開発したいと考えていた。"シンプルなロックギター"を作りたいという思いから、Powercasterという新しいモデルを考案。
「-caster」の名を冠しているが、テレキャスターやストラトキャスターの要素はあまりなく、オフセットボディであるジャズマスターやジャガーの要素を踏襲している。
Powercasterのスペック
演奏性を高めるためにボディにはコンター加工、ネックヒールにはヒールカットが施されている。
Fenderギターのスケールは24インチや25 1/2インチがスタンダードだが、Powercasterは24.75インチスケールを採用。フレット数は「22」。24.75インチスケールと22フレットという組み合わせはこれまでにないスペック。25 1/2インチより少し短いスケールにすることで演奏性を高めているとのこと。
ボディにはアルダー材を使用。アレックス氏いわく、アルダー材は"(音が)高すぎず低すぎない一貫性のある響きを持つ木材"であるというのが選択した理由とのこと。
ピックアップは、フロントにP90タイプの「MP-90 Soapba」、リア(ブリッジ)に「Atomic Humbucker」を搭載。もともとはハムバッカーを2基搭載する予定だったが、ピックアップ同士の相性を考えた結果、フロントにシングルコイルのP-90を搭載することになった。
コントロールは1トーン、1ボリューム。コントロールノブの間にトグルが配置されているのが特徴的。利便性を考慮した配置で、コントロールノブに手を置いたときに、ちょうど手の真ん中にトグルが来るようになっている。
ジャズマスターやジャガーなどの他のオフセットギターは、ボディの右上か左上にトグルが配置されているが、演奏しているときに誤って触れてしまい、意図せず切り替わってしまうことがある。トグルをコントロールノブの間に設置することで、そうした誤操作を防ぐことができる。
- ボディ:アルダー
- ネック:ローステッドメイプル
- 指板:パーフェロー
- ネックシェイプ:モダンC
- ブリッジ:Adjusto-matic
- スケール:24.75インチ
- フレット:22ミディアムジャンボ
- フロントピックアップ:MP-90 Soapba
- リアピックアップ:Atomic Humbucker
- コントロール:1トーン、1ボリューム
- カラー:サーフグリーン、ホワイトオパール、3カラーサンバーストの3タイプ
- 生産国:メキシコ
Powercasterの解説&試奏動画。画面右側に座っている人物が開発者のアレックス・ペレス氏。