ギターモデル

Fender Jag-Stang(フェンダー・ジャグスタング)

Fender Jag-Stangとは

Fender Jag-Stang(フェンダー・ジャグスタング)は、フェンダー社のギターであるJaguar(ジャガー)とMustang(ムスタング)を合成して作られたギターモデル。Nirvanaのカート・コバーンが描いたスケッチを元にFender社が作成

カート・コバーンがJag-Stangのアイデアをフェンダーに提供し、元カスタムショップ・マスタービルダーのラリー・ブルックス氏が形にした。モデル名からも見て取れるように、JaguarとMustangの特徴を半分ずつ取り入れた個体。

初期モデルの「Jag-Stang(日本国内の型番はJSG-65 Jag-Stang)」を1995〜1999年初頭まで販売。その後2003〜2005年まで再販モデルの「JAG-70」が販売された。2021年にNirvanaの『Nevermind』の30周年を記念してカート・コバーンのシグネイチャーモデル「Kurt Cobain Jag-Stang」を販売。

Fender Jag-Stangの歴史

  • 1990年代初頭
    カート・コバーンはJaguarとMustangを愛用しており、2つのモデルを半分ずつ取り入れたギターのアイデアを持っていた。2002年出版の『Kurt Cobain Journals』には、カートがノートに描いたJag-Stangのスケッチとコラージュ写真が掲載されている。

    1990年代初頭、ラリー・ブルックス氏はカートとやり取りをしながら、Sonic BlueとFiesta Redの2本のプロトタイプを制作。このうちSonic Blueがカートに送られた。

  • 1994年
    カートは1994年の「In Utero」のヨーロッパツアーで使用するために、調整のリクエストとともにSonic Blueのプロトタイプをフェンダーに一度返送している。カートは1994年4月5日に亡くなったため、Sonic BlueのJag-Stangは数回しかライブで使用されていない。

    ラリー氏は、カートにFiesta RedのJag-Stangを送るために梱包している時に訃報を聞いたそうだ。カートはFiesta Redを一度も目にすることがなかった。

    カートが亡くなった後、妻のコートニー・ラブは、Sonic BlueのJag-StangをR.E.M.のギタリスト、ピーター・バックに渡したそうだ。『What'stheFrequency、Kenneth?』のミュージックビデオでピーターがJag-Stangを演奏している姿を確認できる。また、R.E.Mのベーシストのマイク・ミルズは、1995年のツアーにて、カートに捧げた楽曲『Let Me In』の演奏にJag-Stangを使用していた。

    参考:ジグソーパズルの物語:Jag-Stang

  • 1995〜1999年初頭
    カートが亡くなった後、遺族からの了承を得て、1995年にフェンダージャパンから「Jag-Stang」がリリースされた。日本国内では「JSG-65 Jag-Stang」という型番で販売。この初期のJag-Stangは、1995〜1999年初頭まで販売されていた。
  • 2003〜2005年
    2003年にフェンダージャパンから「JAG-70」というモデル名で再販。このモデルには「Jag-Stang」の名称は使われなかった。2005年頃に生産終了。
  • 2021年〜
    Nirvanaの『Nevermind』の発売30周年を記念し、2021年に「Kurt Cobain Jag-Stang」のモデル名で再販。カラーは、カートのために作られたプロトタイプと同じく、Sonic BlueとFiesta Redの2色。

    フェンダー公式のKurt Cobain Jag-Stangの紹介動画

Jag-Stangのスペック

Jag-Stang(JSG-65 ) / 1995年リリース

  • ボディ材
    バスウッド
  • ネック材
    メイプル、ローズウッド指板
  • ヘッド
    ラージヘッド
    ※ヘッドストックの裏側に「Desinged by Kurt Cobain」と記されたデカールが貼られている
  • フレット、スケール
    22フレット、24インチスケール
  • ラジアス
    7.25ラジアス
  • ピックアップ
    フロント:"Vintage style" single coil(シングルコイル)
    リア:"Fender Santa Ana" humbucker(ハムバッカー)

    ※プロトタイプはフロントがTexas Special、リアがDiMarzio H-3ハムバッカー

  • スイッチ
    3ポジション・スライド・スイッチを2基搭載

    フロント・ピックアップ・スイッチ:ON/OFF/ON(位相反転)
    リア・ピックアップ・スイッチ:ON/OFF/ON(位相反転なし)

    Mustangでは両方のスイッチに位相反転のONが備わっていたが、本モデルではフロント・ピックアップのみ位相反転ありで、リア・ピックアップでは位相反転を廃止

  • コントロール
    1ボリューム、1トーン
  • ブリッジ
    テイルピース付きフローティングトレモロ
  • ピックガード
    3プライ(パール模様/白/黒)
  • カラー
    Sonic Blue(ソニック・ブルー)
    Fiesta Red(フェスタ・レッド)

Kurt Cobain Jag-Stang / 2021年リリース

  • ボディ材
    アルダー
  • ネック材
    メイプル、ローズウッド指板
  • ヘッド
    ラージヘッド
  • フレット、スケール
    22フレット、24インチスケール
  • ラジアス
    7.25ラジアス
  • ピックアップ
    フロント:Jag-Stang Single-Coil(シングルコイル)
    リア:Jag-Stang Humbucking(ハムバッカー)
  • スイッチ
    3ポジション・スライド・スイッチを2基搭載

    フロント・ピックアップ・スイッチ:ON/OFF/ON(位相反転)
    リア・ピックアップ・スイッチ:ON/OFF/ON(位相反転)

  • コントロール
    1ボリューム、1トーン
  • ブリッジ
    6-Saddle Vintage-Style Mustang Tremolo
  • ピックガード
    4プライ(4-Ply Aged White Pearloid)
  • カラー
    Sonic Blue(ソニック・ブルー)
    Fiesta Red(フェスタ・レッド)

Jag-Stangの試奏動画

1997年製の初期Jag-Stang

フェンダー公式のKurt Cobain Jag-Stangの試奏動画

ABOUT ME
稲垣 健太(ケンタトニック)
ギター辞典コード辞典ボイトレ・音楽用語辞典の運営者。

音楽関係の仕事の経験、ギター製作の経験、音楽教室に通った実体験をもとに、音楽に役立つ情報を発信。

■音楽歴
中学2年生の時にギターを始める
高校1年生の時にドラムを始める
関西外国語大学外国語で軽音楽部に所属し、ボーカル、ギター、ベース、ドラムを演奏
39歳からボイトレに通い始める
42歳でギタークラフトを始める
└2023年4月にギタークラフトの専門学校・ESPギタークラフトアカデミー大阪校(GCA)に入学
└ギター製作やリペアの専門技術・専門知識を習得中
└ギター製作の経験をほぼ毎日日記で更新
ギタークラフト製作日記

■音楽関連の仕事歴
[2006〜2009年]
大手CD・レコード販売店でロック、ジャズの仕入・販売を担当。
[2011年〜]
フリーランスのWebライター・Webディレクターとして開業。
大手音楽教室からの委託でボイトレサイトの運営、ボイトレ記事の執筆・編集に携わる。

■音楽教室の通い歴
[1995〜2000年まで]
某大手ギター教室に通う
[1997〜2002年まで]
某大手ドラム教室に通う
[2020年〜現在]
某大手音楽教室のボイトレ・話し方コースに通い中
ESPギタークラフトアカデミーにて月3回プロギタリストによる演奏授業を受講

■愛機
Stilblu #036 / #039 /#099
g'7 special(g7-TLT Type 2S)
Nashguitars S-57
Tom Anderson(Drop Top Classic -Deep Tobacco Fade)
TMG Gatton Thinline
Fender Custom Shop 1956 Stratocaster NOS
Gibson USA Exclusive Model / Les Paul Standard 60s Honey Lemon Burst

所有ギター一覧

■製作したギター
ギタークラフトアカデミー第1作目:
ポリゴンライン
ギタークラフトアカデミー第2作目:
Stand-Alone
ギタークラフトアカデミー第3作目:
Thin-Marauder


■好きなバンド
U2、Sigur Ros、THE 1975、Mr.Children、the band apart、くるり、SIAM SHADE、VAN HALEN

■ブログ
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