Fender Duo-Sonicとは
Duo-Sonic(ディオソニック)は、フェンダーが1956年に発表したギターモデル。学生でも購入しやすい価格帯のスチューデントモデルとして発売された。
Duo-Sonicは、Musicmaster(ミュージックマスター)と同時期に開発されたモデルで、両機はボディシェイプやスペックが非常に似ている(違いについては後述)。Musicmasterが先に発売され、その2ヶ月後にDuo-Sonicが市場に登場した。
1956〜1969年に生産されていたが廃盤となる。その後、1993〜1999年にフェンダーメキシコからリイシューが、2008〜2011年にフェンダー傘下のスクワイヤから再販される。2016年にリニューアルし再びカタログに加わった。
Musicmasterとの違い
Duo-SonicとMusicmasterは、ピックアップに大きな違いがある。Duo-Sonicは2ピックアップだが、Musicmasterはフロントにシングル1発の1ピックアップの仕様。Duo-Sonicにはトグルスイッチがあるが、Musicmasterにはないのも大きな違い。それ以外のスペックはほぼ同じ。
1963年製のMusicmaster(写真左)と、1958年製のDuo-Sonic(写真右)。
Same as picture!!
1963 Fender Brownguard Musicmaster & Duo Sonic!! (1963/1958 Duo Sonic) #fenderguitars #fender #fendermusicmaster #fenderduosonic #1963fender #fendergoldenage #goldenage #kanjiguitar #tomofujita pic.twitter.com/gauY08S8OI— Tomo Fujita (@TomoJustFunky) August 16, 2020
Musicmasterはこちらの記事で解説
Duo-Sonicの特徴
Duo-Sonicは生産時期や再販版によってスペックが異なるので、違いを年代別に解説する。
1956–1959年の仕様
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ピックアップ2ピックアップ、1ボリューム1トーンの仕様。トグルスイッチでピックアップを切り替え。スイッチをミックスポジション(センターポジション)にするとシリーズ配線になる仕様で、シングルコイルでありながらハムバッカーのような太い音になる。
後にギブソンがハムバッカーを開発するが、フェンダーはそれよりも前に似たような機構を開発している。
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ボディシェイプ初期モデルのボディウエスト(くびれ)は左右対称で、オフセット(左右非対称)ではなかった。
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ネック / 指板1956〜1959年頃まではワンピースメイプルネック。
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スケールスケールは22.5インチ。フレット数は21。
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ピックガードアノダイズ仕上げアルミニウム製ピックガード。発売当初はアノダイズ仕上げのアルミニウム製ピックガードであったが、1959年の再設計の際にプラスチックのピックガードなった。アルミニウムのピックガードは、ヘアライン加工(細かい傷を付ける加工)したアルミ板材を電極処理して酸化皮膜で金色に着色していた。
56年と57年のVintage Fender Duo Sonic です。 pic.twitter.com/Y55oOQTjwS
— Tomo Fujita (@TomoJustFunky) July 25, 2015
1959–1964の仕様
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ネック / 指板1959年からローズウッド指板に。1958年はフェンダーがメイプルネックからローズウッド指板に切り替え始めた時期で、Duo-Sonicもそれに合わせて仕様変更となった。
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ピックガードアルミニウムからプラスチックのピックガードに。
1960 Fender Duo Sonic Desert Sand All Original
$3,100 · Bowling Green, KY
Rare and absolutely Stunning example of a 1960 fender Duo Sonic, complete with OHSC and ash tray!! You won’t find a cleaner more pristine example. pic.twitter.com/dpFIq2KyyE— Undercover Indie ® (@UndercoverIndi) July 17, 2020
1964-1968年の仕様
1964年のMustang(ムスタング)の発売に合わせ、Duo-SonicとMusicmasterも大幅に仕様変更。この時期は「Duo-Sonic Ⅱ」というモデル名で販売されていた。ヘッドのデカールに「Ⅱ」が付いた個体と付いていない個体がある。
Duo-Sonic Ⅱのデカール
Got a date on our Fender Duo Sonic II #fender #offsetguitars #1966 #vintageguitars #fordayz pic.twitter.com/BA00tHMySM
— Bridgman Brothers (@BridgmanBroCo) September 29, 2017
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ボディシェイプボディがMustangと同じ仕様となる。サイズは少し大きくなり、ウエストは左右非対称のオフセットになった。
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ピックアップセレクターピックガード下部にあったトグルスイッチが廃止となり、代わりに、ピックガード上部に2つのピックアップセレクターが設置された。2つのピックアップセレクターはそれぞれリアとフロントのピックアップに対応しており、フェイズ(位相)効果の切り替えができる。
・リアとフロントのセレクターが同じ方向に向いている場合、フェイズイン(極性が同じになる)になってハムバッカーのような太い音になる。
・リアとフロントのセレクターが逆方向に向いている場合、フェイズアウト(極性が逆になる)になって低音域が削られた細い音になる。 -
スケール / フレット数スケールとフレット数を以下の2タイプから選択可能であった。
・24インチスケールと22フレットネック
・22.5インチスケールと21フレットネック -
ヘッドラージヘッドに変更。
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ピックガード1964年までのモデルと以降のモデルでは、ピックガードの形状が変わっている。
1964年まで:ピックガード上にボリュームノブとトーンノブを取り付ける構造
1964年から:ボリュームノブとトーンノブは金属プレートに設置、ピックガードと切り離す構造右下の画像をよく見ると、金属プレートにボリュームノブとトーンノブが載っている。
コシのあるサウンドのDuo Sonic IIが入荷。
FENDER
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フェンダーメキシコ製Duo-Sonic(1993〜1999年)
1993〜1999年の間、フェンダーメキシコからリイシューモデルが販売されていた。
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スケール / フレット数22.7インチのショートスケール。フレット数は20で、オリジナルより1フレット少ない。
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ボディカラーブラック、トリノレッド、アークティックホワイトの3種類。
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ピックアップセレクターファーストモデル同様、トグルスイッチを採用。
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— GUITAR TRIBE FUKUOKA(ギタートライブ福岡) (@GUITARTRIBEFUKU) July 13, 2018
スクワイヤ・Classic Vibe(2008〜2011年)
フェンダー傘下のスクワイヤのClassic VibeシリーズにDuo-Sonicが加わり、2008〜2011年にかけて販売されていた。Classic Vibeは1950〜70年代のフェンダー製のギターを再現したシリーズ。
スクワイヤ製のDuo-Sonicは1950年代のファーストモデルを元にしている。価格を抑えながらも、オリジナルモデルのDuo-Sonicを可能な限り再現していた。
Fender Duo-Sonic 勝手に比較
左から現行、2010年頃のSquier、1957年ビンテージ
昨日からDuo Sonicのことしか考えていない・・ pic.twitter.com/v5pMtdfl7l— Alphabet Love (@alphabet_love) August 16, 2020
リニューアル版(2016年〜)
2016年、フェンダーからリニューアル版のDuo-Sonicが再販された。リニューアルに伴い、シンプルピックアップ2基搭載のDuo-Sonicに加え、フロントにシングル、リアにハムバッカーを搭載したDuo-Sonic HSがラインナップに加わった。スケールはいずれも24インチ、ネックシェイプはC字型。
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Duo Sonic(シンプルピックアップ2基)オリジナルモデルと同じく、シンプルピックアップ2基を搭載したモデル。オリジナルと異なり、ミドルポジションではシリーズ配線にならず、パラレル配線でのハーフトーンになる。
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Duo Sonic HS(フロント:シンプルピックアップ、リア:ハムバッカー)フロントにシンプルピックアップ、リアにハムバッカーを搭載したモデル。ハムバッカーをシングルコイルに変えるプッシュ/プル式のトーンポットスイッチを搭載。
通常の>Duo SonicとDuo Sonic HSの比較動画